これは是非聴きたい。厳選!関西のクラシック・コンサート
今回は関西地区限定の話題。春からのコンサートで、面白そうなものをいくつか取り上げてみたい。
大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団および宮川彬良/大阪フィル・ポップスの演奏会は常にチケットが完売し立ち見まで出るので、ここでは省略する。今更僕が紹介するまでもないだろう。
今年の関西クラシック音楽界で最大の話題は児玉 宏さんが大阪シンフォニカー交響楽団の音楽監督に就任されるさことだろう。大植さんと共になにわ二大巨匠時代の到来である。大植さんはロマン派以降の作曲家、特にマーラーが得意。でもブルックナーは苦手。それを補って余りある存在が児玉さんなのである。これからのブルックナー演奏は全てシンフォニカーにお任せだッ!是非チクルスもやって欲しい。以前、児玉さんが指揮する至高のブルックナーを聴いた感想はこちら。プロコフィエフを含む名曲コンサートはこちら。ブルックナーの定期で児玉さんは2007年音楽クリティック・クラブ賞を受賞された。……という訳で、今後のお勧め。まず、
大阪シンフォニカー定期演奏会(児玉さんが振る演奏会は全て推薦!まあ、僕に騙されたと想って一度足を運んでみて下さい。後悔は絶対させません)そして、
河内長野ラブリーホール「祝祭コンサート」
次にご紹介したいのは
神尾真由子さんのチャイコフスキー国際コンクール優勝記念コンサート
神尾さんは大阪府豊中市出身のヴァイオリニスト。現在まだ21歳。チャイコフスキー国際コンクールのドキュメンタリーがBSで放送されたのだが、まず2次予選通過の発表で自分の名前が読み上げられてもニコリともしない。しかしファイナルの結果発表、2位でライバルの名が読み上げられた瞬間、彼女が大はしゃぎでガッツポーズをしている姿を見た時に「この娘はただ者ではない」と確信した。
NHKの特集番組では彼女が大阪の実家に帰省すると、毎夜近所をジョギングしている様子が収録されていた。体を鍛えるヴァイオリニストがいるという事実を初めて知った。
彼女の弾くヴァイオリンの特徴は何と言ってもその力強さにある。非常に線が太い音がするが、しかし決して濁らない。内面は火の玉のように燃えているのだけれど、ちゃんと自分の感情をコントロールする術を心得ている。そこが凄い。間違いなく21世紀最高のヴァイオリニストになるだろう。必聴。
さて、続いて古楽の世界へお連れしよう。1960年代から始まったオリジナル楽器(古楽器)によるバッハ・ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェンの演奏は成熟期を迎え、いまや時代を席巻しつつある。その世界のトップ・ランナーが鈴木雅明/バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)と鈴木秀美/オーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)である(メンバーはかなり重複している)。ちなみに、鈴木雅明・秀美 兄弟は兵庫県神戸市出身である。
BCJは昨年イギリスのBBCプロムスにデビューし、あの有名なラストナイトの舞台となるロイヤル・ アルバート・ホールで演奏した。また彼らが演奏するバッハ/「ミサ曲 ロ短調」のCDはレコード・アカデミー大賞(銀賞)に輝いた。
そのBCJが3月にザ・シンフォニーホールでバッハの最高傑作と呼び声の高い「マタイ受難曲」を演奏する。詳細はこちら。これを聴き逃す手はない。
作曲家の武満徹はこの曲をこよなく愛し、「マタイ受難曲の良さが分からないのは人類じゃない」とさえ豪語していたそうである。そして彼が死の二日前、病床のFMラジオで聴いていたのもマタイだった。
関連blog記事:「お茶の時間」にしませんか?
BCJの演奏会は兵庫県立芸術文化センター小ホールでも催される。
バッハからメンデルスゾーンへ 〜イエス、我が喜び〜(5月28日、水)
オリジナル楽器(フォルテピアノを含む)で演奏されるメンデルスゾーン。これは愉しみだ。メンデルスゾーンは指揮者として、当時忘れ去られていた「マタイ受難曲」を約100年ぶりに復活上演したことでも有名である。これがバッハ再評価の契機となった。メンデルスゾーンが20歳のことである。
これはバルトルド・クイケンの記事でもご紹介したが、なにより注目すべきは肩掛けチェロ!とも言うべき楽器、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラが登場すること。写真はこちら。見た目が何となくユーモラスである。
も是非ご紹介したい。オリジナル楽器(古楽器)による交響曲全曲演奏会は本邦初の試みである。延原さんは楽譜に指定されたメトロノーム速度に則した指揮をされるので、溌剌として若々しいベートーヴェンが聴けるだろう。
最後は華麗なるオペラの世界へ!
歌、踊り、笑いが渾然一体となるお洒落なエンターテイメント。桂 ざこばさんも出演される。そしてこの公演の一番の注目は森 麻季さん!(ダブル・キャストなので日程要注意)
実は彼女のことを初めて知ったのが今年の年頭にテレビで放送された「NHKニューイヤーオペラコンサート」である。その可憐な容姿と、美しい歌声に一気に魅了された。正に現代のディーヴァである。豪華なドレスのセンスも抜群だった。
また3月には神戸文化ホールで森 麻季&横山幸雄デュオコンサートというのもある。
それにしても、小澤征爾/新日本フィルの大阪公演は、豪華キャストの「メリー・ウィドウ」より木戸銭が高いのだから、これはもはや狂気の沙汰と言っても過言ではないだろう。
今までご紹介したコンサートは(小澤征爾以外)全て僕も往く予定。興味を持たれた方、また会場でお会いしましょう。
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