Viva!オスカー・ナイト〜宴のあとに
WOWOWで再放送された、アカデミー賞授賞式ノーカット版を今見終えたところである。まず今年のアカデミー賞結果から。赤字にした箇所は僕の予想が的中した部門である。
作品賞:ノーカントリー
監督賞:ジョエル & イーサン・コーエン
「ノーカントリー」
主演女優賞:マリオン・コティヤール
「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」
主演男優賞:ダニエル・デイ=ルイス
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
助演女優賞:ティルダ・スウィントン
「フィクサー」
助演男優賞:ハビエル・バルデム
「ノーカントリー」
脚本賞:「JUNO/ジュノ」
脚色賞:「ノーカントリー」
撮影賞:「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
編集賞:「ボーン・アルティメイタム」
美術賞:「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」
衣装デザイン賞:「エリザベス:ゴールデン・エイジ」
メイクアップ賞:「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」
作曲賞:「つぐない」
歌曲賞:「Once ダブリンの街角で」から
“Falling Slowly”
録音賞:「ボーン・アルティメイタム」
音響編集賞:「ボーン・アルティメイタム」
視覚効果賞:「ライラの冒険 黄金の羅針盤」
長編アニメーション映画賞:「レミーのおいしいレストラン」
外国語映画賞:「ヒトラーの贋札」
(製作国:オーストリア)
長編ドキュメンタリー:「『闇』へ」
というわけで、今年の的中は13部門。昨年と同じであった。昨年の総括はこちらに書いている。
蓋を開けてみると、昨年同様にアカデミー賞の国際化が目立った。主演女優賞とメイクアップ賞を受賞した「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」はフランス映画である。助演男優賞を受賞したハビエル・バルデムは「海を飛ぶ夢」などで有名なスペインの名優。主題歌賞を受賞したグレン・ハンサードはアイルランドのロックグループ「ザ・フレイムス」のリード・ボーカル兼ギター奏者。同じくマルケタ・イルグロヴァはチェコ出身。また美術賞を受賞したダンテ・フェレッティはイタリア人である。
主演男優賞を受賞したダニエル・デイ=ルイスはイギリス人。この時のプレゼンターが同じくイギリス出身のヘレン・ミレン(映画「クィーン」でエリザベス女王を演じ主演女優賞を受賞)でデイ=ルイスが戯けてミレンに跪き、オスカーを受け取ったのが可笑しかった。つまり、アカデミー賞はアメリカ一国だけのお祭りでは最早なく、真の意味でボーダレスな映画の祭典となったのである。
また、外国映画賞を史上初めてオーストリアが受賞したことも特記すべきであろう。ドイツは例えば最近でも「ブリキの太鼓」「善き人のためのソナタ」で受賞するなど、元々映画が盛んな国である。しかしお隣のオーストリアは映画に無関心な国で、国民の大半は「サウンド・オブ・ミュージック」さえ観たことがないそうである。僕は昔、ザルツブルクで「サウンド・オブ・ミュージック」のロケ地めぐりバスツアーに参加したことがあるのだが、乗客の殆どはアメリカ人だった。
さて、今宵オスカー・ナイトの主役はなんといってもマリオン・コティヤール!もう、彼女に尽きるだろう。エディット・ピアフの魂が憑依したかのような演技は、鬼気迫るものがあったが、素顔の彼女は真にチャーミングなパリジェンヌである。授賞式でのドレスも素敵だったし、メイクアップ賞で「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」が受賞した時から目に涙を一杯浮かべていたのも好感度大。そして主演女優賞で自分の名前が読み上げられた時の驚きの表情、声を震わせながらのスピーチも感動的で、なによりもその清らかな涙に心洗われた。本当におめでとう!ちなみにフランス人がアカデミー主演女優賞を受賞するのは1958年のシモーヌ・シニョレ以来、史上2人目の快挙である(なんと50年ぶり!)。
それにしてもつい先日、2月21日に映画「ライラの冒険 黄金の羅針盤」のキャンペーンで来日し、超セクシーなマタニティー・ドレスで日本人を魅惑したニコール・キッドマンが、いつの間にかプレゼンターとして授賞式に現れたのには唖然とした。二コールは現在40歳。その色褪せぬ美しさは現代の驚異である。
そうそう、以前にも書いたがマリオン・コティヤールとハビエル・バルデムはロブ・マーシャル監督(「シカゴ」、「SAYURI」)の新作ミュージカル映画「ナイン」に出演予定だったのだけれど、オスカーを受賞したものだからギャラが高騰するのは必至(2,3倍は当たり前)。ちゃんと無事、出てくれるのだろうか!?
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