アメリカン・ギャングスター
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リドリー・スコットは映像がスタイリッシュで好きな監督だ。今回フィルモグラフィを眺めながら数えてみると彼のデビュー作「デュエリスト/決闘者」以降「アメリカン・ギャングスター」まで実に14本目観ていた。で、結論。「アメリカン・ギャングスター」はその中で最も退屈な作品だった。
評価:D
この作品は1970年代、ニューヨークのハーレムを舞台に組織犯罪のボス、フランク・ルーカスと、彼を追うリッチー・ロバーツ刑事を描いた実話である。
ロバーツを演じるラッセル・クロウは精彩を欠き、「L.A.コンフィデンシャル」のバド刑事の方が魅力的だったし、ギャング役のデンゼル・ワシントンはリドリーの弟、トニー・スコット監督とコンビを組む時(「クリムゾン・タイド」「マイ・ボディーガード」等)の方が断然光っている。
いつものスコット作品らしからず映像にキレがなく、眠気を催す。銃撃戦の迫力はかつての「ブラックホーク・ダウン」に遠く及ばない。これで上映時間157分は辛い。この締まりのないシナリオを書いたのが、あの「シンドラーのリスト」のスティーヴン・ザイリアンだということが俄に信じ難い。
結局、今まで観たリドリー・スコット作品の中でベスト3を挙げろと言われたら僕は迷わず「デュエリスト/決闘者」(1977)、「エイリアン」(1979)、そして「ブレードランナー」(1982)を選ぶ。いずれも彼の最初期の作品である。スコットは年と共に創作力が衰えているのではなかろうか?
それから本作では女優の魅力のなさも目を覆いたくなった。考えてみれば、リドリー・スコットってスピルバーグ同様に女優を生かす(輝かす)ことが下手だよなぁ。「エイリアン」のシガニー・ウィーバーは素晴らしかったけれど、そもそもあれは女として描かれていない。
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コメント
こんにちは、初めてここでコメントします。
うーん、確かに初期のようなキレは無かったんですが、リドリー・スコットなりの骨太な演出に牽引力があったので157分の上映時間は苦にはなりませんでしたね。
俺は「スカーフェイス」が好きなので麻薬王
フランク・ルーカスの物語も結構面白く見れたんですが、やっぱここで好き嫌いがわかれてしまうんでしょうか。
投稿: S | 2008年2月 6日 (水) 14時52分
Sさんコメントありがとうございます。
まあ、ひとつの映画を観ても人の感想はそれぞれであり、そこが映画という芸術の面白いところなんだと想います。
僕はリドリー・スコットの体質としてリアルな映画を撮るよりも、スタジオ撮影を主体とした、宇宙船とかユニコーンが出てくるような非現実的世界の方が似合うような気がします。
投稿: 雅哉 | 2008年2月 6日 (水) 15時38分