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ライラの冒険 黄金の羅針盤

評価:B+

映画公式サイトはこちら。フィリップ・プルマン原作のファンタジー「ライラの冒険」シリーズ3部作の第1作目の映画化である。先日発表されたアカデミー賞では視覚効果賞を受賞した(美術賞でもノミネート)。

まず本作で注目して欲しいのが、ライラを演じるダコタ・ブルー・リチャーズがルキノ・ヴィスコンティ監督の名作「ベニスに死す」に登場する美少年、"タッジオ"を演じたビョルン・アンドレセンに瓜二つだということ。是非ふたりを見比べてみてください↓

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余談だが、現在のグスタフ・マーラー ブームはこの「ベニスに死す」(1971)から始まった。ダーク・ボガード演じる主人公の作曲家(ポスター左手)はマーラーをモデルにしている。

さて、意外といっては失礼だが「黄金の羅針盤」はとても面白かった。少なくともハリー・ポッター・シリーズよりも僕はライラを推す。ハリーは亡くなった両親のことを懐かしんでばかりいるウジウジした少年だが、ライラは無鉄砲なまでに勝気である。まるで少女版スカーレット・オハラだ。特に映画の終盤、彼女が悪役・コールター夫人に対して行う情け容赦ない仕打ちには爆笑した。

ハリーの欠点は魔法に頼りすぎることにあると僕は想っているのだが、ライラは全くそんなことはない。彼女には自分自身の力で運命を切り開こうとする強い意志がある。オーディションで選ばれたダコタ・ブルー・リチャーズは正に適役である。

コールター夫人を演じるニコール・キッドマンが素晴らしい。磨きぬかれた完璧な美しさ。こういう冷たくサディスティックな役はニコールに良く似合う。彼女が付け鼻してオスカーを受賞した「めぐりあう時間たち」なんかより断然いい。

「スターウォーズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」(LOTR)で大活躍したクリストファー・リーが本作でまたまた登場したのには笑った。彼は現在85歳なのだけれど、シリーズ3作目まで大丈夫なのか?

それからライラのお供をする白熊クンの声をイアン・マッケラン(LOTRのガンダルフ役)をやっていたのにも仰天した。「ライラの冒険」を製作したニューライン・シネマはLOTRを生み出した映画会社でもあるのだが、いくらなんでもLOTRを意識し過ぎではないだろうか?

ラスト、コーション」ではバーナード・ハーマンを彷彿とさせる緊張感に富む音楽で魅了したアレクサンドル・デプラは今回、ライトモティーフを駆使したシンフォニックで格調高い音楽を繰り広げ、圧巻だった。彼には近い将来、是非ともアカデミー作曲賞を獲って貰いたい。ただし、"羅針盤のテーマ"(ライトモティーフ)が「ロード・オブ・ザ・リング」(作曲:ハワード・ショア)の"指輪のテーマ"に似ていたのはご愛嬌。

実はこの映画、1億8000万ドル(約194億円)の製作費を投じたにもかかわらず、アメリカとカナダではわずか6985万ドル(約75億円)しか回収出来なかった。この興行的失敗でニューライン・シネマはシリーズの継続をまだ正式に発表していない。ライラを演じたダコタ・ブルー・リチャーズは今後の見通しについて次のように語っている。

「(主要マーケット最後の公開国となる)日本での興行成績を待って、決めようと思っているんじゃないかしら」

つまり、ライラの運命は日本人の手に委ねられたということだ。日本でヒットするかどうかで僕たちが2作目以降を観ることが出来るかが決まる。ニコール・キッドマンシースルーのセクシー・ドレスで来日会見した気合いは伊達じゃない。

だからこのブログを読んでいる皆さん、是非映画館へ行こう!いや、本当に後悔はさせないから。その点は僕が太鼓判を押す。

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