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2008年1月11日 (金)

ある愛の風景

評価:B

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デンマーク映画を観るのは久しぶりだ。多分、アカデミー外国語映画賞を受賞した「バベットの晩餐会」(1987)以来だろう。なんと20年ぶり!

監督はスサンネ・ビア。本作の後に彼女が撮った「アフター・ウェディング」はアカデミー外国語映画賞の候補になるなど高い評価を受けた。それ故彼女はハリウッドに招聘され、既にハル・ベリー、ベニチオ・デル・トロ主演で1本撮り終えたそうである。また「ある愛の風景」もハリウッドでのリメイクが決定しているとか。

「ある愛の風景」の基本プロットはすれ違いのメロドラマである。デンマーク軍に所属する夫がアフガニスタンに派兵され、戦死したという誤報が妻の下へ届く。暫くして捕虜になっていた夫は救出され家族の元に戻るのだが、その間にふたりの間には埋めがたい溝が出来ていて……。

骨格はジャック・ドゥミ監督のフランス映画「シェルブールの雨傘」(1964、カンヌ映画祭グランプリ)を彷彿とさせるのだが、そこから物語りは大きく逸脱して観客の安易な予想を裏切っていく。スサンネ・ビア監督は執拗なクローズ・アップで登場人物たちの内面に迫り、人間の深淵をえぐり出す。彼女の撮り方の特徴は目や口、指先など肉体の局部への拘りである。女性らしいその繊細な心理描写、そして秋の紅葉を背景に展開していく手法などから僕はドゥミ未亡人であるアニエス・ヴァルダの名作「幸福」(1965、ベルリン国際映画祭銀熊賞・審査員特別賞受賞、キネマ旬報第3位)を想い出した。

つまり「ある愛の風景」はある意味ドゥミとヴァルダの精神的申し子なのだ。映画は国境を越える。そのことを僕は今回改めて感じ入った。

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