タロットカード殺人事件 SCOOP
評価:C-
映画公式サイトはこちら。
ウディ・アレンが脚本・監督した前作「マッチ・ポイント」は掛け値なしの傑作であった。スカーレット・ヨハンソンの官能的美しさをこれほどまでに引き出した映画は他に無いし、これは「真珠の耳飾の少女」と並ぶ彼女の代表作となった。「タロットカード殺人事件」でもスカーレットがヒロインを演じている。
喜劇王チャーリー・チャップリンは生涯に3度結婚をした。最初の妻の年齢は結婚当時16歳(チャップリンは28歳)。2度目の妻が16歳、そして3人目が17歳(この時チャップリンは53歳)。このように彼は若い女性しか愛せないという性癖があった。
ウディ・アレンもチャップリンと似たところがある。アレンはミア・ファーローと結婚していた当時、養女のスーン・イと不倫関係となり(ミアが「いつからの関係なの?」と問い詰めると、スーン・イは「高校3年から」と答えたという)、泥沼の騒動の果てに離婚、その後スーン・イと再婚するという大スキャンダルを巻き起こした。
で、現在アレンがぞっこんなのがスカーレット・ヨハンソンというわけだ。最新作"Vicky Cristina Barcelona"でも3度目の起用をしている。
「マッチ・ポイント」では裏方に徹したアレンだが、「タロットカード殺人事件」では役者としても出演している。要するにお気に入りのスカーレットと、スクリーン上で共演して仲が良いところを観客に見せつけたいという願望を満たすためだけに作られた映画であり、それ以上でも以下でもない。
死神が登場したり、コメディタッチでなかなか愉しめた。ただ役者としてのアレンは金太郎飴みたいな人で、いつも同じー小心者で神経質なユダヤ人。もうこのキャラクターには飽き飽きした。
しかしこちらも端から「どうせそういう映画だろう」と高を括って観に往っているので、腹も立たない。スカーレットが水着姿になる魅惑的なセクシー・ショットもあり、アレンもちゃんと押さえるべきところは押さえていた。さすが映画職人である。
そうそうヒュー・ジャックマンも出ていたが、今回の彼は単なる添え物みたいな扱いだった。
ちなみに、僕の好きなアレン映画ベスト5は「マンハッタン」「ハンナとその姉妹」「カイロの紫のバラ」「世界中がアイ・ラヴ・ユー」そして「マッチ・ポイント」である。
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コメント
こんばんは。
占い好きなのでこの映画も見ようかと思っていたのですが、あまりタロットカードは関係ないということで結局未見のままです。
雅哉さんの感想で十分な感じですね(^-^)
全国大会の感想、あと職場・一般の部で完了です。
なるべく早めに書きます。
投稿: ごいんきょ | 2007年12月 5日 (水) 23時17分
ごいんきょ様、こんにちは。
連続殺人の現場にタロットカードが置かれているというだけで、それ以上の意味は全くありません。原題もシンプルにSCOOPですし。つまり邦題で「占い好きの女の子を引っ掛けよう」という映画宣伝部の戦略ですね。
スカーレット・ヨハンソンの水着姿を見たい!という人以外には無駄な2時間です。
投稿: 雅哉 | 2007年12月 6日 (木) 10時24分