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2007年12月 7日 (金)

満身創痍のラフマニノフ〜大植英次/大フィル 定期

大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団による第413回定期演奏会に往った。

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曲目はブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番(独奏:ルノー・カプソン)とラフマニノフ/交響曲第2番である。

ブルッフについては特に語るべきところがない。ゆったり流れる大河のような音楽。古典派はこの速さでは困るが、ロマン派ならこれもありだろう。

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さて、問題はラフマニノフである。大植さんはミネソタ管弦楽団の音楽監督時代に「交響的舞曲」をレコーディングするなど、得意とする作曲家である。

しかし、今回の演奏は今年の9月に大阪クラシックで聴いたチャイコフスキー/「悲愴」の火の玉の如く燃え上がる演奏や、ドヴォルザーク/「新世界より」の気宇壮大なそれとはまるで別人の、生気のない弛緩した音楽で愕然とした。

特に3楽章のアダージョ、今にも演奏が止まってしまうのではないかと心配になるくらい息も絶え絶えの演奏。あまりに遅くてアンサンブルも崩壊寸前。本来これはハリウッドの映画音楽を彷彿とさせ、官能的にうねる法悦の音楽の筈なのだが……。

4楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェ(=快速に、生き生きと!)もテンポが上がらない。せいぜいアレグレット(やや速く)かモデラート(中くらいの速さで)程度。その音楽に覇気は感じられない。

もしかしたら僕の認識が間違っているのかもしれないと想い、帰宅して直ちに所有しているアシュケナージ/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団とデュトワ/フィラデルフィア管弦楽団のCDを聴き返したのだが、ザ・シンフォニーホールで今回聴いた演奏の方が明らかに遅かった。

これは大変なことになった、と想った。6月の定期、大植さんが緊急降板された時のブラームスの演奏については「誰もいない指揮台」という記事で書いたが、むしろあの時の方が引き締まって熱のこもった音楽だったように記憶している。

心なしか演奏が終わった後の第1ヴァイオリンの長原さん、梅沢さん、第2ヴァイオリンの佐久間さん、田中さん、チェロの近藤さん、秋津さんらの顔が暗く沈んでいるように見えた。これが僕の単なる杞憂であることを切に願う。

現に同じ演奏会を聴かれたぐすたふさんはブログ「不惑ワクワク日記」でこの演奏を絶賛されている。これほどまでに受けた印象が異なるのというのも、音楽とは不思議な芸術である。

在阪4オーケストラのうち、大阪シンフォニカー交響楽団、大阪センチュリー交響楽団、そして関西フィルハーモニー管弦楽団は既に来年度の定期演奏会の予定を発表している。しかし大フィルは今回の定期でも発表はなかった。年末の第九演奏会の時には詳細が明らかになるらしいのだが、さて、一体どうなることやら……。

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コメント

なかなか手厳しいご意見ですね(笑)。でも、そういわれても仕方のないところもあったと思います。

満身創痍、確かにそうかもしれません。

でも、僕がこの演奏の彼岸に音楽が屹立するのを確かに感じたのも事実なんですね。満身創痍の音楽の中に、まだ死なない、まだ墜ちない力があったようにも思います。

今、できれば僕としては、今聴衆が彼らを暖かく支えるべきときなのではないか、と思っています。

投稿: ぐすたふ | 2007年12月 7日 (金) 16時24分

ぐすたふさん、コメントありがとうございます。

今聴衆が彼らを支えなければならない……確かにそうなのでしょう。ただ、昨日指揮台に立たれた大植さんは見ていて痛々しかったです。

僕は大植さんが大好きですし、これからも末永く大フィルの音楽監督を続けて頂きたいと心から願います。

しかし、今は少し過密なスケジュールを調整され、しばらく休養される時間も必要なのではないかという気も、一方でするのです。

投稿: 雅哉 | 2007年12月 7日 (金) 17時16分

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