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2007年12月18日 (火)

once ダブリンの街角で

評価:C+

日本の映画公式サイトはこちらだが、アメリカのサイトの方が主題歌を全曲(しかもステレオ!)で聴けるので、是非そちらも覗いてみて下さい。

さて最近のアカデミー賞の傾向から考えると、今年の歌曲賞は本作の"Falling Slowly"でほぼ決まりだろう、悔しいけれど。個人的には「ヘアスプレー」に受賞して貰いたいのだが、現実的にはちょっと厳しいことも分かっているつもりだ。

Onceの音楽は確かに素晴らしいし、音楽映画として出来は悪くない。冒頭はストリート・ミュージシャンをやっている主人公の歌から始まるのだが、これがポータブルレコーダーで録音したような音の悪いモノラル。ところが彼がプロを目指してスタジオ入りし、デモCDをレコーディングする場面で音声がステレオとなり、完成してスタジオを出るとドルビー・サラウンドになる仕掛けが施されているのである。

また照明も、最初は素人が当てたみたいに薄暗く、まるでぴあフィルムフェスティバルの自主映画か「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」みたいに汚い映像なのだが、それが最後には計算された熟練の照明に早変わりすると行った具合に、映画の文体そのものでアマチュア→プロフェッショナルへの変容を示す鮮やかな演出には感心した。

しかし、話そのものは陳腐である。この映画から音楽を差し引いたら、安っぽいボーイ・ミーツ・ガールのメロドラマしか残らない。いわば音楽のプロモーション・ビデオに毛が生えた程度の作品である。だからグレン・ハンサードの歌に琴線が触れた人は観ればいいし、そうでない人にとっては無縁の映画であろう。

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