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ALWAYS 続・三丁目の夕日

評価:F

前作、「ALWAYS 三丁目の夕日」について2年前に僕が書いたレビューはこちら。評価はB+としている。それは今でも変わらない。

文句なしに傑作である。

とも書いた。確かにその通り。

しかし、今回の続編はもう救いようがない。今年の最低映画作品賞はこれに決まり。続編でこれだけの落差を感じたのはリーズ・ウィザースプーン主演の「キューティ・ブロンド ハッピーMAX」以来だ。「ゴッドファーザー Part III」も酷かったが、あれは3作目だからな……。

続編を製作すると聞いて、出演している堤真一は「前作で完結していた気がしていた。やると聞いた時は、どうなんだろう? と思った」と発言している。また、吉岡秀隆は、「最初に出演の話をいただいた時は、反対だったんです。物語が完結したら、その後の展開は観客の想像に任せた方がいい」と固辞するつもりだったことを吐露している。

映画を観終わった感想は「彼らの予感は正しかった」ということである。この続編はこの世に存在すべきではなかった。徹頭徹尾、物語は前作の蛇足でしかない。そして自己模倣が目立つ。具体例を挙げよう(以下ネタバレあり)。

・堀北真希が石原裕次郎の映画を観に行って、スクリーンに向かって声援を送るのは、前作で鈴木オートに初めてテレビが届いた日のエピソードの焼き直しである。

・鈴木(堤真一)が戦死した戦友の幽霊と酒を酌み交わす場面は、前作で宅間先生(三浦友和)が死んだ妻子と邂逅するのと同じパターン。ミエミエでアホらしい。

・大阪に行くはずだったヒロミ(小雪)が茶川(吉岡秀隆)のもとに帰ってくるクライマックスも、前作で父親に連れ去られた淳之介が車から飛び出して戻ってくるラストと全く同じ。もうウンザリ。

大体、このクライマックスは不自然極まりない。茶川は自宅に近所の人々が沢山集まっている中、淳之介に「父親と一緒にへ帰れ!」と言って口論となる。そして「ちょっと表に出ろ!」と言う。ここがどう考えても変だ。どうして二人は表に出る必然性があるのか?表に出ても、近所の人々は窓や玄関から彼らの動向を固唾を呑んで見守っているので状況は変わらない。

つまり、表に出なければヒロミが茶川の元に戻ってきたことが分からない。口論しているとふと、茶川の目の端にそこにいる筈のないヒロミの姿が映る。そして感動のクライマックスへ!そのあざとい作劇術の為だけに二人は表に出なければならなかったのである。ゴミみたいなシナリオだ。

薬師丸ひろ子が日本橋で昔の恋人と再会する場面(<「君の名は」かよ!?)は本編と無関係で全く不要である。また詐欺師が登場して、茶川が芥川賞を受賞出来るよう審査員を買収しようと言って三丁目の人々を騙すのだが、そこで皆で協力してお金を出し合うのは果たして美談だろうか?仮にそれが詐欺でなく茶川が受賞できたとして、それを彼らは素直に祝福できるのだろうか?僕はそんな三丁目の人々に幻滅したし、彼らをそこまで貶めた監督の山崎貴を軽蔑する。結局、偽善的な登場人物ばかりの中で理性的な発言をするのは小日向文世さん演じる淳之介の父親だけである。

前作は沢山の人物が登場し様々なエピソードが展開されたが、物語が東京タワーの完成に向かってそれを軸に見事に収束していく醍醐味があった。しかし今回は既にタワーが完成しており、それぞれの人間模様がバラバラのまま放散していった。この映画の唯一の見せ場は、冒頭のゴジラ登場シーンくらいかな。

映画は商品である。「ALWAYS 三丁目の夕日」は大ヒットし、関係者たちは潤った。続編を作ろうという話が出るのは当然である。そして続編公開前日に日本テレビが一作目を放送するなど宣伝戦略も功を奏し、二作目は前作を上回る興行成績を上げている。大成功だ。

しかし山崎監督よ、貴方は映画で生計を立てているプロフェッショナルであると共に、映画作家でもあるのではないか?作品は後世にまで残る。こんな代物を撮って恥ずかしくは無いのか?まともな続編が作れないと想ったら、そこで降板し他者に委ねる勇気を持つことも作家としての誠意だと想うのだが。

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