燃える秋、京都
京都を訪ねるのは「玉砕!関西吹奏楽コンクール~京都頂上作戦」の事件以来である。人で溢れかえり騒然としている有名観光地は避け、あまり旅行者が来ないお寺で静かに秋を満喫することにした。
金福寺(こんぷくじ)である。庭園から芭蕉庵をのぞむ。
上の写真2枚は芭蕉庵から見た風景だ。
僕にとって京都といえば円谷プロダクション製作、TBS放送のテレビドラマ「怪奇大作戦~京都買います」(第25話、1969年)である。現在は「怪奇大作戦」DVD第6巻に収録されている。これは当時TBSのディレクターだった実相寺昭雄 監督(故人)の紛れもない最高傑作であり、テレビ映画史に燦然と輝く不滅の金字塔である。そしてSRI(科学捜査研究所)の牧 史郎を演じた怪優・岸田 森(故人)の代表作でもある。ちなみに「ドラキュラを演じさせたら、クリストファー・リーか岸田 森の右に出るものはいない」と巷では認識されている。
常寂光寺の山門である。「京都買います」で、失踪してしまった”仏像を愛した女”こと美弥子の幻影を追い求め、牧はひとり京都を彷徨する。その一場面でこの山門が登場する。背景に流れるギター独奏曲、ソル/「魔笛」の主題による変奏曲が印象深い。
そして物語の最後は、かつて尼寺だった祗王寺(ぎおうじ)が舞台となる。
その悲痛なラストシーンは衝撃的で、余韻が僕の心の中で未だ消えることなく残っている。30分にも満たない小品ながら「京都買います」ほど京都の美しさ、そして同時に醜さを残酷なまでに描き切った映画を僕は知らない。
他に京都を舞台とした映画でお勧めなのは、京マチコ主演・吉村公三郎監督の「偽れる盛装」(1951)と、若尾文子主演・川島雄三監督の「雁の寺」(1962)である。また小説では今年、山本周五郎賞を受賞した森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」を強く推したい。
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