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ジーザス・クライスト=スーパースター

これはオペラ座の怪人京都でエビータ ほかの記事と併せてお読み頂けるとありがたい。

劇団四季の「ジーザス・クライスト=スーパースター」にはジャポネスク・バージョンとエルサレム・バージョンがあり、今回は江戸版とも称されるジャポネスク・バージョンを観てきた。場所は京都劇場である。ジャポネスク版は関西では実に16年ぶりの上演となる。

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このミュージカルはブロードウェイ初演が1971年。劇団四季が歌舞伎仕立てで「ジーザス」を取り上げたのが73年(当初はロック・オペラ「イエス・キリスト=スーパースター」というタイトル)。イエス:鹿賀丈史、ユダ:飯野おさみ、マリア:島田祐子、ヘロデ王:市村正親というキャストだった。さらにその3年後にエルサレム版が生まれた。80年に鹿賀が四季を退団し、81年よりジーザスは山口祐一郎が起用される。さらに1991年、ジャポネスク版はロンドンの「ジャパンフェスティバル」でも上演された。

隈取メイクで純白の八百屋(傾斜)舞台。そして五台の大八車(だいはちぐるま)が舞台狭しと駆け巡る。音楽は三味線・和太鼓・尺八など和楽器が取り入れられている。イエス・キリストの物語を歌舞伎の世界に持ち込んでも全く違和感はない。浅利慶太氏の独創的な演出が光る。特に花魁を引き連れ、人力車に乗って現れるヘロデ王が最高!大見得を切ってヘロデを演じる下村尊則さんの独壇場である。僕がジャポネスク版を見るのはこれで3回目(過去2回は東京)なのだが、見る度にヘロデの衣装が変化しているのも面白い。

また金森馨の美術、岩谷時子の訳詩が素晴らしい。エディット・ピアフが歌った「愛の讃歌」の日本語訳でも有名な岩谷さんは後に、「レ・ミゼラブル」や「ミス・サイゴン」でもその豊かな才能を発揮することになる。ちなみに「オペラ座の怪人」は岩谷さんが担当されていないので、訳詩が今ひとつである。

大八車を操作する白子も含めて49名。四季の中でも最も多いカンパニーである。一方、エルサレム版は荒野が広がるだけのシンプルな舞台で、大八車も白子も要らない。だからツアー公演に向いている。恐らくそれが、全国公演を含む地方公演で近年エルサレム版ばかりが上演されてきた理由ではないかと想われる。

僕はエルサレム版は余り評価しない。舞台装置は変化に乏しいし、衣装も地味。演出も凡庸で見るべきものがない。だから断然ユニークなジャポネスク版をお勧めする。

さて、劇団四季は「オペラ座の怪人」「ライオンキング」「ウィキッド」など、80年代後半以降初演された作品は東京では生オーケストラ、大阪など地方の専用劇場ではカラオケという方式で上演を続けている。しかし、「ジーザス」や「キャッツ」などは東京でもカラオケ上演である。実は劇団がミュージカルを始めた当初は全てカラオケ上演だった。しかし、「ミュージカルを音楽テープで上演するなどけしからん!」とマスコミや演劇評論家から散々叩かれて、仕方なしに東京限定で生オーケストラに切り替えたという経緯がある。だが既にカラオケで始めてしまった作品を途中から方針変更することも出来ない。そういう訳で初期の演目だけ東京でもカラオケという不自然な形態になってしまった。だから、大阪四季劇場でいまだに劇団が「オペラ座の怪人」等をカラオケ上演を続けていることについては、その姿勢を批判しない在阪マスコミも責任の一端を担っていると僕は考える。

ただ、この「ジーザス」ジャポネスク版に関する限りは、カラオケも致し方ないだろう。前にも書いたように、特殊な和楽器を使用している為に生演奏するには恒常的なミュージシャン確保が困難だと想われるからだ。よって僕はジャポネスク版の現在の上演形態に納得しているし、十分満足している。四季の演目の中でも一、二を争う完成度だと想うので、これからも、どのように舞台が進化していくか見守っていきたい。

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