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バッハ・コレギウム・ジャパン「エジプトのイスラエル人」

大阪いずみホールで開催されたバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の演奏会に往った。演目はヘンデルのオラトリオ「エジプトのイスラエル人」である。

BCJは指揮者の鈴木雅明さんを中心に1990年に結成された古楽器(オリジナル楽器)によるオーケストラと合唱団。雅明さんは神戸市出身で、弟でバロック・チェリストの秀美さんもBCJのメンバーである。'92年から神戸松蔭女子学院チャペルでJ.S.バッハの教会カンタータ全曲演奏会シリーズを開始し、現在も続いている。これは同時期にスウェーデンBIS社で録音され、CDが次々と発売されている。海外での評価も極めて高く、世界でも指折りの古楽オーケストラに成長した。今年はイギリスのBBCプロムスにデビューし、あの有名なラストナイトの舞台となるロイヤル・アルバート・ホールで演奏した(ただ、このホールは収容人数がなんと8,000人!普門館よりはるかにキャパが大きい。バッハを演奏するには空間が広すぎると想うのだが……)

なおメンバーのひとり、チェンバロ奏者・鈴木優人(まさと)さんは雅明さんのご子息であるが、今回の演奏会には参加されていなかった。

BCJがいずみホールに来るのはバッハ/ミサ曲ロ短調 以来、2年ぶりである。ただ、その間に鈴木秀美さんが、バッハ/無伴奏チェロ組曲の全曲演奏会を行い、さらに指揮者としてオーケストラ・リベラ・クラシカの演奏会もあった。BCJのミサ曲ロ短調はつい先日CDが発売され、「レコード芸術」誌で特選盤になっている。

さてこの演奏会まで、そもそもヘンデルに「エジプトのイスラエル人」という曲があることさえ知らなかった。しかし実際に聴いてみると、劇的で起伏に富み、非常に面白かった。むしろ先日聴いた「メサイア」より、はるかに傑作ではなかろうかと想われた。

このオラトリオは3部に分かれるが、第1部はヘンデルの旧作からの丸ごとの借用で独自性に乏しく、省略されることが慣習化されているそうである。今回の演奏会でも第2部から開始された。第2部は「出エジプト記」、第3部が「モーセの歌」。つまり映画「十戒」やアニメーション「プリンス・オブ・エジプト」で描かれた物語が展開していく。

エジプト軍に追われたイスラエルの民を導くモーセ。彼は紅海をふたつに開き、その間を歩いて渡ってゆく。ここで金管やティンパニが大活躍。壮大なスケールで聴き応えがあった。

さらに付点のリズムで飛び跳ねる蛙を表現し、弦の32分音符で蝿、しらみ、イナゴが飛び回る情景を描いたり、ヒョウがはじめポツポツと、やがて激しく降ってくるなど音楽描写に躍動感がありワクワクした。

アンコールも華やかで愉しかった。

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10月8日の記事「民族と楽器」でも書いたことだが、日本は弦の国と呼ばれるくらい、優秀な弦楽奏者を多数輩出してきた。だからオランダの18世紀オーケストラでも活躍しているヴァイオリンの若松夏美さんを筆頭に、BCJの弦パートは全員日本人である。しかし、金管楽器はどうも苦手な民族らしく、BCJのトロンボーン奏者3名は全員外国人奏者であった。この傾向は鈴木秀美さん率いるオーケストラ・リベラ・クラシカも同様である。

今回ティンパニを担当された方に見覚えがあるなぁと想っていたら、菅原 淳さんであった。菅原さんは38年間の長きに渡り読売日本交響楽団の首席ティンパニ奏者をなさり、今年の6月に定年退職を迎えられた。読響の常任指揮者に迎えられた巨匠スタニスラフ・スクロヴァチェフスキが振った定期演奏会が先日NHKで放送されたのだが、その時に菅原さんがマエストロを訪ね、「今日で最後になります」と挨拶されている様子が収録されていた。菅原さんとBCJ。意外な組み合わせだが迫力満点で最高だった。

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