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宮川彬良/大阪フィル・ポップス・コンサート

これは宮川彬良とアンサンブルベガ、そして宮川彬良&大阪市音楽Dahhhhhhn!の記事とあわせてお読みいただけると良いだろう。

関西で八面六臂の大活躍をする宮川彬良が音楽監督を務める大阪フィル・ポップスの演奏会に往った。会場はザ・シンフォニーホールである。

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ポップス・オーケストラの代表選手はアーサー・フィードラーが指揮したボストン・ポップス・オーケストラだろう。「シンコペイテッド・クロック」「そりすべり」「ブルー・タンゴ」等でおなじみのルロイ・アンダーソンはボストン・ポップスの座付き作曲家とも言うべき存在で、その多くをこのコンビが初演している。フィードラー亡き後、1980年〜1993年まで常任指揮者を勤めたのが映画音楽の巨匠、ジョン・ウイリアムズである。来日公演もあり、ジョンの大ファンである僕は当時棲んでいた岡山から大阪フェスティバルホールまで馳せ参じた。

ボストン・ポップスはアメリカの名門、ボストン交響楽団を母体とする。オフシーズンである夏に首席奏者らがソロ活動などのために抜け、残りのメンバーで編成されている。佐渡裕率いる兵庫芸術文化センター管弦楽団(PACオケ)もPAC POPSというコンサートを展開しているが、ここもボストン・ポップス方式を採用している。先日PAC POPSを聴きに往ったのだが、首席奏者たちは不在だった。

ボストン・ポップスに対抗して1980年代に台頭してきたのがエリック・カンゼル率いるシンシナティ・ポップス管弦楽団である。ここはシンシナティ交響楽団の別名であるが、首席奏者は抜けない。だから上手い。

大阪フィル・ポップスはこのシンシナティと同じ方式である。コンサートマスターは長原幸太さんだし、各パートの首席奏者も揃い踏み。今年4月の定期あたりから第2ヴァイオリンのトップを務めている特別客演奏者:佐久間聡一さんもいた(佐久間さんは大阪クラシックでも大活躍だったが、いつになったら大フィルの正式団員になられるのだろう??)。

現時点で大阪フィル・ポップスの実力は、老舗ボストン・ポップスを凌駕しているのではなかろうか?それくらい充実した内容の演奏会であった。

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今回のテーマは「夏から秋への手紙」。まずは定番、アキラ作曲「ザ・シンフォニック・パラダイス」で華麗に始まり、サティの「ジュ・トゥ・ヴ(あなたが欲しいの)」が演奏された。全ての曲はアキラが編曲している。この「ジュ・トゥ・ヴ」はアキラが吹奏楽用に編曲したバージョンもあり先日の大阪市音楽団との演奏会で披露されたが、オーケストラ版は全く雰囲気が異なるアレンジで、アキラの才能の豊かさに改めて驚嘆した。

吹奏楽版はバート・バカラック(カーペンターズ「遥かなる影」)風の味付けがされている。管弦楽版は秋らしく浪漫的。アキラ弾くピアノがサティで、オーケストラがその恋人の役割を担当し、両者が囁き合っているような雰囲気を醸し出していた。Oh, ビューティフル!

お次がブラームス/交響曲第三番の3楽章。映画「さよならをもう一度」で使用された楽曲。もともとオーケストラの曲をアキラがさらにピアノとオーケストラ用にアレンジ。その無駄にゴージャス(Too Much)なところが良い。本来この憂愁を湛えた主旋律はチェロが演奏するのだが、アキラは意表をついてヴァイオリンに弾かせた。ウン、その発想の転換が面白い。

秋なのに、何故か暑苦しい「燃えよドラゴン!」「荒野の七人」が続いた。アキラ曰く、

「夏にこんな曲を聴くのはたまりませんよねぇ。涼しくなった今だからこそ、夏を回想しましょう」

要するに、何でもありということだ。「燃えよドラゴン!」では首席奏者、近藤浩志さんがチェロで「アチョー」というブルース・リーの掛け声を声帯模写(弦音模写?)されたのが可笑しかった。近藤さんはアキラ率いるアンサンブル・ベガのメンバーでもあり、アキラとはあ・うんの呼吸である。

そして「ひき潮」とビートルズの「イエロー・サブマリン」。秋には何故か海の風景がよく似合う。「イエロー・サブマリン」はピッコロ・トランペットがフィーチャー(feature)され、秋月孝之さんが名人芸を披露された。ヘンデルの「水上の音楽」を彷彿とさせるバロックな響きのあるアレンジで、洒落ていた。

後半冒頭はクラリネットの首席、金井信之さんの卓越したテクニックを堪能できる「クラリネット・ポルカ」。道上洋三さんが長年パーソナリティーを勤める朝日放送のラジオ番組テーマ曲。大阪フィル・ポップスを始めた当初は観客が席数の半分くらいしか入らず、アキラは何度もこの番組に出演し、宣伝させて貰ったそうである。それがどうだろう。今ではチケットはすぐに完売。補助席も出る人気ぶりである。

そうそう、このコンサートで第2クラリネットを担当していた田本摂理さんのことを話さなければならない。田本さんは大フィルの正式メンバーだが、驚いたことに先日放送された「N響ほっとコンサート」に田本さんらしき人物を発見!トラ(客演)としてわざわざ大阪から参加されたのだろうか?「ほっとコンサート」は昨年、NHK交響楽団が有史以来初めて吹奏楽を演奏したということで話題になったその第2弾である(公演日は8月5日)。実はこれ、金井信之さんが仕掛け人であるなにわ<<オーケストラル>>ウインズへの対抗意識むき出しの企画だと巷では囁かれている。やっぱり管楽器奏者はプロになっても吹奏楽をやりたいんだね。

話が横道に逸れた。後半のプログラムで特に印象的だったのは「砂山」。なんだかお祭りの音楽みたいな勢いのある編曲になっていて新鮮だった。

最後は「ディズニー・シンフォニック・パレード!」。秋とどう関係があるのか全く不明だが、いいのさ!愉しければ。フィナーレらしく賑やかで、大いに盛り上がった。

アンコールは以下の通り。

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大阪フィル・ポップスは年2回定期的に演奏会を開いている。次回は4月。未体験の方は是非どうぞ。天才アキラのひらめきと大フィルの底力に圧倒されること請負である。

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