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第55回全日本吹奏楽コンクール高校の部を聴いて 前編

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今回、吹奏楽コンクール高校の部を前半・後半通して聴いたのだが、朝9時から午後6時過ぎまでぶっ通しだとさすがに疲れた。各12分の持ち時間で、29校演奏したのだから、実質6時間近く音楽漬けだった事になる。

それに課題曲は4曲しかないのでそれを繰り返し聴き続けることになる。特に今年は課題曲IV マーチ「ブルースカイ」が大人気で29校中、実に14校がこれを選んでいた。

前半の部・後半の部と審査員は交代しない。だから審査員の皆さんも僕と同じ体験をされたわけだ。ご苦労様である。

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さて、個々の感想に移ろう。色々考えたが、各支部ごとに分けて書くことにした。このブログを訪問してくださる方は淀工ファンが多いので、やはりここから始めなければならないだろう。

関西代表 大阪府立淀川工科高等学校 金賞

21回目(10回連続)の金賞受賞おめでとう!その全てを指揮したのは丸谷明夫 先生(丸ちゃん)である。自由曲は4回目となるラヴェル/「ダフニスとクロエ」。実は今回の星組(コンクール・メンバー)でダフニスを聴くのは6月のサマーコンサート以来、2度目である。事前に2003年の全日本における完璧で神がかった演奏をDVDで鑑賞していたので、サマコンの時点ではまだまだだなという感想だった。正直、「今年のメンバーで大丈夫だろうか…」という一抹の不安さえあった。しかし、さすが丸ちゃんである。4ヵ月後にはきっちり仕上げてきた。生徒たちの血の滲むような努力にも惜しまぬ拍手を送りたい。

淀工サウンドの素晴らしさは、ppの美しさにあると断言しよう。アマチュア・バンドの落とし穴は音を奏でることの面白さに目が眩んで、鳴らし過ぎることにある。だからpやppで十分音を落とすことが出来ず、平板な演奏になってしまう。また、どうしても下手な演奏は弱音でピッチが揃わずハーモニーが濁る。

淀工ではそれがない。ffからppまでダイナミクスの幅が非常に広く、縦と横がぴったり合っている。曖昧なところが皆無で各声部がきわめて明瞭に聴こえる。さらに丸ちゃんの指揮は緩急も自在で引き締まっている。もう、文句なしの金賞だった。

そうそう、それから最初演奏の準備が整ってステージのライトが照らされたとき、淀工生全員が背筋を伸ばし胸を張って客席の方を真っ直ぐ向いていたのはびっくりした。おまけに彼らは笑みを浮かべていた。その雄姿が眩しかった!ここまで堂々とした態度は他校では見られなかった。

丁度一週間前に大阪では御堂筋パレードがあったのだが、星組も全員パレードに参加したようだ。どこよりも沢山練習をしているという自負がそのまま態度に結びつき、演奏にも現れるのだろう。

明浄学院高等学校 金賞

明浄は大阪市内にある女子高で、6回目の全国大会出場である。

自由曲は中橋愛生/科戸の鵲巣(しなとのじゃくそう)。昨年、春日部共栄高校と創価学会関西吹奏楽団が全国大会で披露し、観客の度肝を抜いて共に金賞に輝いた難曲である。

明浄の演奏もそれに引けをとらず、素晴らしいの一言であった。響きは細部まで磨かれ透明度が高い。非常に明晰でピッチもよく合っている。

成績発表で表彰台に立った生徒が泣いていた。初の金賞受賞おめでとう!そして感動をありがとう。

大阪桐蔭高等学校 銀賞

甲子園で優勝したこともある野球部が有名な私立高校である。吹奏楽部は創部わずか2年で全国大会に出場し、銀賞を受賞した。初登場の昨年に引き続き2年連続出場である。

ステージが明るくなってまず驚いたのは、ハープ2台とコントラバス3台が、それぞれ純白の専用台に乗っていたことである!私立校で弦バスに台があるのはしばしば見かけるが、ハープは珍しい。

自由曲はドビュッシー/「海」〜風と海との対話。確かに上手で正確緻密な演奏である。でもそれだけ、という印象は拭い去れなかった。何かが足りない。その「何か」とは僕の頭の中に具体的言葉があるが、相手は素人の高校生なのでここでは明言を避けたい。

北海道代表 北海道旭川商業高等学校 銀賞 / 北海道札幌白石高等学校 銀賞

北海道は常連の東海大四高が今年は3出休みであった。旭川商の自由曲は「ダフニスとクロエ」第2組曲より。ダフニスの吹奏楽版は編曲者が異なっても<夜明け、全員の踊り>が選ばれることが多いのだが、旭川は指揮者の佐藤淳 先生ご自身による編曲で<パントマイム、全員の踊り>という組み合わせだった。<パントマイム>はフルートの上手さが光っていた。全体も音がよく出ていたし、縦が揃っていた。ラヴェル特有の半音階の美しさが際立っていた。惜しくも銀賞だったが、金賞に値する演奏だったと想う。

札幌白石は公立の高校で、1990-94には全国大会で5年連続金賞を受賞したそうだ(その後3出1休の規定が出来た)。今回の自由曲はフェルラン/交響曲第2番「キリストの受難」より。吹奏楽オリジナル曲で珍しかった。

東北代表 福島県立磐城高等学校 金賞 / 福島県立湯本高等学校 銀賞 / 宮城県泉館山高等学校 銅賞

磐城の課題曲「ブルースカイ」は他校と全く異なり、激しく力強いマーチに仕上がっており瞠目した。そしてそのスタイルは、自由曲であるバルトーク/「中国の不思議な役人」にもそのまま受け継がれた。猛々しく、原始的パワーに満ちたバルトーク。圧巻だった。あと、男子生徒が学ランだったのが曲の雰囲気にも合っていて印象的だった。

湯本の自由曲は三善晃/管弦楽のための協奏曲。編曲は磐城の指揮をされている根本直人 先生。この曲を今まで全国大会で演奏しているのは全て東北代表校らしいのだが、どうしてなんだろう?三善晃さんは東京都生まれで東北とは縁もゆかりもない筈なのだが。演奏は大変上手く、細部まで明快に響いた。迫力もあり、金賞でも良かったんじゃないかな。

泉館山の自由曲は真島俊夫/鳳凰が舞う〜印象、京都 石庭 金閣寺〜。昨年アンサンブルリベルテ吹奏楽団が全国大会で初披露した吹奏楽オリジナル作品で、僕の大好きな曲だ。またこれはフランスで開催された国際作曲コンクールでグランプリを受賞している。ちなみに真島さんは、淀工お得意の「カーペンターズ・フォーエバー」の編曲者でもある。さて泉館山の演奏の方だが、勢いはあったのだが細部に些か粗が見受けられたのが残念だった。

北陸代表 富山県立富山商業高等学校 銀賞 / 福島県立武生東高等学校 銅賞

富山商業の自由曲は長生淳/千載万葉の雪。同校の委嘱作品である。オーケストラ作品の編曲を自由曲に選ぶ学校が主流の昨今、吹奏楽オリジナル作品を積極的に取り上げる姿勢は高く評価したい。

武生東の自由曲はプロコフィエフ/バレエ音楽「シンデレラ」より。同じ編曲者でこの曲を広島国際学院も取り上げていたが、どちらも銅賞だった。正直言って、曲自体が魅力に乏しいなぁという印象。いや、プロコフィエフ自体は割と好きなんだけれど。バレエ音楽「ロミオとジュリエット」なんか起伏に富んでるし。それに比べると「シンデレラ」は平板なんだなぁ。

東関東代表 船橋市立船橋高等学校(千葉県) 銀賞 / 作新学院高等学校(栃木県) 銀賞 / 横浜創英中学・高等学校 銅賞

東関東は昨年に比べると、どうも低調という感が否めなかった。今年は御三家が揃って三出休みの年だったので、その影響が大きかったのかも。

さて、今回はここまで。関西を除く東京以西は次回のおたのしみに。

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吹奏楽」カテゴリの記事

コメント

はじめまして 淀工大好き人です。
コメントいただき 早速飛んできました。
普門館の1日お疲れさまでした~というより
現場にいられるって 幸せですよ~(^^

子供たちの演奏を評価していただき
ありがとうございます。
コンクール ほんとにがんばりましたよ===

彼らの演奏を聴いて 元気さや陽気さが力強さをたくさんの人に感じてもらえたらうれしいなぁ~と
おもいます。
マーチングもみんながんばるはずです!
元気をもらいにきてくださいね。

投稿: ちぃ | 2007年10月26日 (金) 23時16分

こんばんは。
長丁場お疲れ様でした。
丁寧なコメント、とても参考になりました。

一般の部(大学・職場の部もですが)、聴きに行きます。
お世話になっている方々の曲の演奏やご出演がありますので、どちらかというとこちらがメインかもしれません。

「普門館の床」はもらいましたか?私はもらってきました(^-^)

投稿: ごいんきょ | 2007年10月26日 (金) 23時37分

ちぃ様、ようこそお越し下さいました!

ひとつの曲を何ヶ月もかけて練り上げていくというのは大変なことです。死に物狂いで練習して全日本に出場した生徒さんたちは、その結果に関わらず本当によく頑張ったと想います。お疲れ様でした。

さて、来月は全日本マーチングコンテストですね。淀工を含め、全日本吹奏楽コンクールに出場した学校も沢山、出場します。こちらも愉しみです。

投稿: 雅哉 | 2007年10月27日 (土) 11時37分

ごいんきょ様、いつもコメントありがとうございます。

さて、「甲子園の土」ならぬ「普門館の床」を配っていたらしいですね。全然知りませんでした。残念な気もしますが、でも自分が出場したわけではないし……ま、いいか。

新聞の号外ももらい損ねてしまいました。

投稿: 雅哉 | 2007年10月27日 (土) 11時50分

こんにちは
普門館話なのですが
わたしも 普門館の床も号外ももらい損ねました。
普門館の床は家に帰ってから知り(--;
号外は息子が持って帰ってから知り・・・
でもそのままおばあちゃん宅にもっていってしまいました。。
どれも記念に残るものですよねぇ~~・・・
でも、写真いっぱい撮りましたから~
笑顔の子供たち撮れましたから~~(^^)
良しです!

つぎは大阪城ホール。
自転車圏内なんです(^^;
チケットゲットできますようにぃ~と・・・祈るより、ダイヤル回さないとね(^^)v
がんばって練習してきたものをみたいですからね。

投稿: ちぃ | 2007年10月29日 (月) 17時15分

ちぃ様、コメントありがとうございます。

息子さんも「普門館の床」のことは知らなかったのですか?もしそうならひどい話ですね。やっぱり公平に情報公開して、機会均等にしないと。

しかし、こういうことは「もの」には置き換えられないですからね。普門館の舞台に立ったという、その体験だけで貴重な財産となるのではないでしょうか。

投稿: 雅哉 | 2007年10月30日 (火) 09時07分

はじめまして。いつも淀工情報をありがとうございます。
コンクールから帰ってきて、さて洗濯するかと荷物を開けたら、タイルがいちまい・・・・??

ごいんきょさんのコメントで謎が解けました。
そうか、普門館の床だったのかぁ~
ありがとうございました!

これからも楽しみにしてますネ。

投稿: ぴい | 2007年10月30日 (火) 21時16分

こんばんわ。
遅ればせながら、大会、お疲れ様でした。

丁寧な感想で、色々と参考になります。
もちろん、「そうそう~!」と思う事も(笑
待ちに待った憧れの地、普門館。入った瞬間の熱気に私自身テンションあがりっぱなしでした。
そして、憧れの淀工の演奏になった瞬間、ホロッときてしまいました。もちろん他の高校も全国大会だけあって見事な演奏で。聴きに行って、本当に良かったと思いました。

そして、こちらのHPに来て初めて知った
「普門館の床…。」しまった…!見逃した…と。
ちょっとほしかったなぁとか思ったり…。(笑

投稿: アン | 2007年10月31日 (水) 18時58分

こんばんは。
「普門館の床」のお話、お役に立てて何よりです(^-^)

↓参考までに写真のリンクです。
「普門館の床」は真ん中の黒いのですね。
http://coral-b.tea-nifty.com/ver2/2007/10/post_bca4.html

投稿: ごいんきょ | 2007年10月31日 (水) 23時46分

皆さま、短期間に沢山のコメントをありがとうございます。

話題沸騰の「普門館の床」ですが、写真入りの新聞記事をご紹介しておきましょう。こちらです。

投稿: 雅哉 | 2007年11月 1日 (木) 08時56分

こちらも拝見しにきました.
とても丁寧に各団体の感想を書かれているので、感心してしまいました.
一日の演奏が懐かしく思い起こすことができました.

私の場合、たまたま館内をふらふら歩いていて、普門館の床を発見しましたので、ひとついただきましたよ☆
新聞記事があったのですね.

時々こちらに遊びにこさせていただきます.

投稿: kayo | 2007年11月 3日 (土) 08時49分

雅哉さんの淀工に関するコメントを拝見して
安心いたしました。
他の学校もすばらしい演奏だったようですね!
全国に行くまでには本当に大変な練習を積んできたのでしょうから…
現場で実感できなかった事が残念です><
マーチングのチケットもゲットできず…(涙

来年の課題曲は現役高校生の曲も選ばれているらしく、今までとは違った楽しみも増えそうですね(*^-^*)

投稿: FIZ | 2007年11月 4日 (日) 12時41分

kayoさん、ようこそお越し下さいました!ちゃんと「普門館の床」を持って帰られたのですね。羨ましいです。

FIZさん、全日本マーチングコンテストのチケットは自由席なら11月6日消印有効でまだ間に合う筈ですが……。

僕は指定席券を確保しました。今年の全日本吹奏楽コンクールでは三出休みのために出場で出来なかった柏市立柏高等学校や習志野市立習志野高等学校も大阪城ホールにやって来るので非常に愉しみです。しかしマーチングの場合、出入も含めて各校7分しか持ち時間がないので短いですね。

投稿: 雅哉 | 2007年11月 5日 (月) 08時51分

自由席があるのを忘れてましたっ!(涙
来年に賭けますっ!
7分の持ち時間でまとめあげるのも
想像以上の大変さがあるのでしょうね…
雅哉さんの解説を楽しみにしてます^^
ぁ。
トラックバックありがとうございました。

投稿: FIZ | 2007年11月 7日 (水) 22時55分

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