博多ラーメン 一蘭
たまには食のエンターテイメントの話もしよう。
地元の人の評価は知らぬが、部外者の立場で見れば博多ラーメンの代表選手といえば断然博多一風堂と一蘭であろう。
僕が中国・四国地方に住んでいた時は、本当に美味しい博多ラーメンを食べることなど夢のまた夢であった(どうやら現在では博多一風堂の岡山店や松山店が出来たらしい)。
大阪に来てさすがに都会だなぁと感嘆したのは博多一風堂の長堀店や梅田店があったことである(現在ではなんば店、堀江店と増殖中)。
しかし実は、僕が好きなのは博多一風堂よりも一蘭の方だった。ところが一蘭は大阪に店舗がない。一蘭は昔から東京には進出しており、例えばJR渋谷駅からタワーレコード渋谷店に向かう道すがらに支店があるので、東京に遊びに行った時はしばしば立ち寄って「嗚呼、旨いなぁ」と涙を流しながら舌鼓を打ったものである。そして「東京に出店しながら、何故大阪にはないのか!」と憤りを感じていた。
そして遂に待望の、いや、悲願の一蘭大阪進出を耳にしたのは今年9月初旬のことであった。ところが待ち望んでいたのは僕だけではなかったらしく、オープンと同時に100人行列が出来たとか、2時間待ちとか、土日は整理券が200枚以上配布されたとか、想像を絶する話ばかり耳にしてたじろいだ。
という訳でオープンから一ヶ月が経過した。そろそろほとぼりもさめた頃だろうと見計らい、客が少なそうな平日の夕刻を狙って一蘭道頓堀店を攻めた。
案の定、すんなりと店内に入ることが出来てラーメンにありついた。
旨かったことは言うまでもない。長年の切実な願いがようやく天に届いたという感慨がひとしおである。
博多もつ鍋の蟻月(ありづき)、そして博多水炊きの華味鳥(はなみどり)も大阪進出を果たし、博多の名店が出揃った印象がある。もう一生、福岡に足を運ばなくても心穏やかに日々暮らしていけそうだ。
余談: 北は北海道旭川から南は九州の熊本まで、「ここは旨い!」と評判のラーメンを食べ歩いてきたが、僕が日本一だと確信しているラーメン店は広島県尾道市の朱華園である。小説「火宅の人」で有名な最後の無頼派・檀一雄(1912-1976)がこの店のことをエッセイに書き、映画「時をかける少女」(1983)の撮影中に原田知世も来店したという逸話が後世に語り継がれている。
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