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2007年10月28日 (日)

日本テレマン協会/古楽器によるハイドン第2弾!

10月22日(月)に延原武春/テレマン室内管弦楽団・合唱団による、ハイドンのオラトリオ「天地創造」を聴きにいずみホールに往った。

これは以前レポートした、オラトリオ「四季」に続く、日本テレマン協会のクラシカル楽器(古楽器)によるハイドン・シリーズ第2弾である。オラトリオ「四季」の演奏会は「大阪文化祭」に参加しており、なんんと全87団体から選ばれてグランプリに輝いた(詳細はこちら)。それだけ聴き応えのあるものだったということだが、今回の「天地創造」も、それに負けず劣らず素晴らしかった。

古典派の中で、モーツァルトやベートーベンと比較するとハイドンは極めて演奏される機会が少ない。たまに取り上げられても、「告別」「軍隊」「時計」といった、タイトルのついた一部の交響曲だけである。ましてや、独唱や合唱も加わる規模の大きなオラトリオはもっと稀。

バロック・チェリストの鈴木秀美さんがオーケストラ・リベラ・クラシカを結成し、指揮者としてハイドンの初期交響曲を集中的に演奏するようになった当初も、周囲の反応は冷淡だった。鈴木さんを含めて、オーケストラ・メンバーの大半が一度も演奏したことのない曲ばかりだったという。しかしその演奏会シリーズは豊かな実りをもたらし、聴衆にハイドンの魅力を知らしめることとなった。その成果はCDとなって聴くことが出来る。

今回、日本テレマン協会の企画による「四季」と「天地創造」というオラトリオを連続して聴いて感じたことは、ハイドンの無尽蔵の面白さである。ハイドンは曲の中に様々な仕掛けを施している。「天地創造」では鳥の鳴き声や動物の嘶きが聞こえ、川のせせらぎがスケッチされる。そう、それは明らかにベートーベンの交響曲第六番「田園」に繋がっているのである!

ベートーベンはハイドンの弟子だった。そして恐らくベートーベンが生涯をかけて模索したのは、ハイドン的世界の深化だったのではないだろうか?ハイドンの曲を聴けば、ベートーベンがもっと見えてくるのである。

ハイドンの曲は劇的で起伏に富む。そして基本的に明るい。楽天的、いや、能天気と言ってもいい位に。ハイドンの音楽を聴くのは愉しい。心がウキウキする。「天地創造」は演奏時間が2時間くらいの大作だが、非常に新鮮で一瞬たりとも退屈することはなかった。

そしてハイドンは(モーツァルトも!)やはり、作曲者の頭の中に響いていたであろう、当時のクラシカル楽器(古楽器)の鄙びた音で聴くのが良い。ビブラートを鬱陶しいくらい掛けた、モダン奏法によるヴァイオリンの虚飾はいらない。ノンビブラート奏法によるバロック弦は清々しく、素直に耳に入り心地よい。古典派をビブラートで弾くのは20世紀という時代が残した負の遺物である。古典派はノンビブラートで。これこそが21世紀音楽ルネッサンス(古典文化復興運動)なのである。

日本人はまだ、本当のハイドンを知らない。

追伸:延原武春/テレマン室内管弦楽団は来年、クラシカル楽器によるベートーベンの交響曲全曲演奏会に挑戦する。日本では初の試みだ。「荘厳ミサ曲」も取り上げられる。今から非常に愉しみだ。

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