大阪シンフォニカー「近代音楽へのアプローチ」第2弾
10月17日(水)、大阪シンフォニカー交響楽団のいずみホール定期演奏会に往ってきた。前回の感想はこちら。
今回は管楽器の為に書かれた二曲
R・シュトラウス/13管楽器のためのセレナード
ドヴォルザーク/セレナード
と、弦楽のための二曲
ヴェーベルン/弦楽四重奏のための5つの楽章(弦楽合奏版)
エルガー/序奏とアレグロ
が交互に演奏され、最後に両者が一緒になって
ラヴェル/バレエ音楽「マ・メール・ロワ」組曲
を演奏するという、なかなか洒落たプログラム編成であった。いずれも20世紀初頭に作曲された音楽だ。今年のシンフォニカーの定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)は、オーソドックスで魅力が乏しいものだったが(来年のラインアップは最高!)、いずみホールでの企画は打って変わってユニークで面白い。
ドヴォルザークの弦楽セレナードは有名だが、木管セレナードもあったということは今回初めて知った。R.シュトラウスは17歳の時の作品だそうだが、これが演奏されるのも非常に珍しい。貴重な体験をさせてもらった。
大阪フィルハーモニー交響楽団の弦楽セクションが優秀なことは有名だが、シンフォニカーの弦も、それに負けず劣らず上質である事を今回改めて認識させられた。特に素晴らしかったのがエルガー。この序奏とアレグロは弦楽合奏と弦楽四重奏が組み合わさったような仕掛けが施された曲で大変美しい。エルガーの曲はあの有名なチェロ協奏曲もそうなのだが、黄昏時の切なさを感じさせる。僕が序奏とアレグロを初めて聴いたのはサー・ジョン・バルビローリ/ロンドン交響楽団のCD。究極の名演で、無人島に持って往きたい一枚である。しかし実演を聴くのは今回初めてで、涙が出そうなくらい感動した。シンフォニカーの楽員のみなさん、素敵な音楽をありがとう。
なお、この序奏とアレグロはケン・ラッセル監督がBBCで製作したドキュメンタリー映画「エルガー/ある作曲家の肖像」でも印象的に使われている。これは大変な名作なので、ディーリアスを主人公とした映画「夏の歌」と併せて、是非ご覧頂きたい。レンタルビデオ屋さんで置いているところもあるだろう。
マ・メール・ロワとはマザー・グース(伝承童謡)のことであり、もともとは子供たちの為に書かれたピアノ連弾曲である。5曲からなる組曲で「眠れる森の美女のパバーヌ」「親指小僧」「パゴダの女王レドロネット」「美女と野獣の対話」「妖精の園」と各々につけられたタイトルが可愛らしい。クラリネットの「美女」と「野獣」を表現するコントラファゴットのやり取りがユーモラスである。考えてみると、この名曲も生演奏で聴くのはこれが初めてであった。
ちなみに全日本吹奏楽コンクールでラヴェルのダフニスとクロエは、現在まで88回演奏されており、2007年の高校の部でも、実に4校が取り上げた。一方、マ・メール・ロワはのべ7回しか演奏されていない。こちらは比較的静謐な曲なので、吹奏楽向けではないのかも知れない。
最後に、この演奏会に出演されたファゴット奏者の方が書かれたブログ、「ふーじーの見た空」をご紹介しておく。こちらからどうぞ。
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コメント
お越しいただいてありがとうございました。
トラックバックを辿って、読ませて頂きました。
実は、裏ではいろいろあるのですが、色々な人が読むところで書くのははばかられる内容も多いので・・・・(苦笑)
今後ともどうぞ、温かい目で見守ってやってくださいませ。
投稿: 藤崎 | 2007年10月31日 (水) 23時12分
藤崎さん、ようこそ。
いずみホールでの「近代音楽へのアプローチ」シリーズは、後2回ありますね。いずれも既にチケットを購入しております。次回はいよいよ夏木マリさん登場!とても愉しみです。
投稿: 雅哉 | 2007年11月 1日 (木) 08時51分