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2007年9月19日 (水)

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

評価:A-

テレビ東京で放送された「新世紀エヴァンゲリオン」は質の高い画期的アニメーションであった。途中までは。

問題は監督の庵野秀明である。回を追うごとに混乱していく製作現場の中で、恐らく庵野は精神的極限状態にいたり、(「地獄の黙示録」のカーツ大佐の如く)自分が神にでもなったかのような錯覚に陥ったのであろう。奢り高ぶった彼はテレビ・シリーズ最終回「世界の中心でアイを叫んだけもの」で、エヴァの世界を解体し、混沌のまま無責任に放置した。それは単なる独りよがりでしかなかった。

製作進行がオン・エアに間に合わず、彩色や動画に回す時間すらなかっただろうというお家の事情は理解できる。しかしあれは酷すぎた。ファンに対する背信行為である。

テレビの25・26話をリメイクした劇場映画「THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に」も製作されはしたが、納得のいく結末だったとはお世辞にも言えない。結局、大風呂敷を広げすぎた物語は破綻し、「新世紀エヴァンゲリオン」は未完に終わったのである。

何か勘違いをした庵野はその後、惨めな迷走を続ける。実写映画「式日」「キューティーハニー」などはことごとく失敗。特に「キューティーハニー」は、最低の映画を選ぶゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)が日本にあれば確実に受賞できたであろう。

庵野が次に作ったテレビアニメ「彼氏彼女の事情」は「世界の中心でアイを叫んだけもの」同様に独善的で意味不明な展開をし、視聴率は低迷。アニメファンからもそっぽを向かれた。

10年かかって庵野は漸く自分の過ちに気付き、オレにはもう「エヴァ」しか残っていないという現実を悟ったのだろう。彼は「エヴァ」に帰還し、新劇場版に取り組むことになった。是非今度こそ前回の愚を繰り返すことなく、最後まで真摯に取り組んで欲しい。

さて、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」について語ろう。

いや、殆ど完璧な出来なんだ。宇多田ヒカルの歌さえなければ。最後のアレが「エヴァ」の世界観を粉々にぶち壊しちゃうんだよ。だから評価にマイナス付き。

いや、あんな代物を流すくらいならテレビ同様に「Fly Me to the Moon」で良かったんじゃないの?「月」は重要なモチーフだし。それかオープニングの主題歌「残酷な天使のテーゼ」も好きだったのに。

GAINAXに是非お願いしたいのは、新劇場版のDVDを出す時に、エンディングで宇多田ヒカルの歌が流れない別バージョンに切り替えられるようにして欲しいということである。

さて、今回は序章に過ぎないので、テレビ版の第1話から6話までをほぼ忠実に再現する。台詞は全く一緒だし、ご丁寧に各々の場面の構図までそっくりそのままである。

では何が違うかというと、細部のクオリティの高さである。今回はCGを大胆に取り入れ、それでいてセル画との違和感を感じさせない繊細な作業が行われている。特に変わったのは最大の山場、ヤシマ作戦。シト(使徒)ラミエルが進化していたので驚いた!テレビ版では単なるダイアモンド型の八面体だったのに、今回は華麗にメタモルフォーゼ(変態)するんだよね。その神々しいまでの美しさに見惚れた。

登場するシトの順番が入れ替わっていたり、カヲルくんが早々と出てきたりと、今後テレビ版とは違った展開を見せてくれそうな予感あり。期待に胸が膨らむ。

そうそう、最後に褒めておきたいのは「杉原トウジ」の声を担当した関智一。トウジは大阪出身という設定なのだが関は東京出身で、テレビ版でその喋る言葉は明らかにエセ関西弁であった。ところが、新劇場版ではちゃんと関西弁に聴こえるではないか!別人が喋っているのかと想ったくらいである。関も恐らくこの十数年、関西のアニメファンから散々文句を言われて精進したんだろうなぁ。トウジの関西弁も明らかに進化していた。

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