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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

評価:B

小説「ハリー・ポッター」シリーズは第3巻まで各巻1冊の分量だった。しかし第4巻「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」から上下巻2冊に倍増した。

だから映画版も本来は上映時間を延ばすか、あるいは前編・後編に分けるかすべきところである。しかし、プロデューサーは「炎のゴブレット」を従来通りの長さの作品に仕上げることを決断する。主な対象が子供たちなのだから、これは致し方ない選択だったろう。結局、映画「炎のゴブレット」は原作のダイジェストにならざるを得ず、慌ただしくて分かりにくい駄作に成り果てた。

今回の「不死鳥の騎士団」も原作は長いので、映画の出来に期待はしていなかった。それに監督のデヴィッド・イェーツは従来テレビで仕事をしてきた人で、映画は全くの新人である。全く大きな賭けに出たもんだ。

ところがあにはからんや、「不死鳥の騎士団」は「炎のゴブレット」とは雲泥の差。大層出来が良くて驚いた。シリーズ最高傑作は間違いなくメキシコの巨匠アルフォンソ・キュアロンがメガホンを取った「アズカバンの囚人」であるが、「不死鳥の騎士団」はその次に来るくらいの面白さだった。

まず話が分かりやすい。前4作はスティーヴ・クローヴスがシナリオを担当していたが今回からマイケル・ゴールデンバーグに代わった。それが功を奏したのであろう。登場人物が整理され、見通しが良くなった。特に新聞記事などを上手く利用して、物語をポンポンと進めていく手際の鮮やかさには感心した。

「炎のゴブレット」のマイク・ニューウェルは才能の欠片もない映画監督である。「炎のゴブレット」も全く創意工夫のない平板な画面構成で退屈した。また、演技指導も駄目駄目で、なんでハーマイオニーは始終怒ってんだかさっぱり分からなかった。しかし今回は、例えばホグワーツ魔法魔術学校を俯瞰ショットで捕らえるなど、ハッとするような構図が随所で見られた。ハーマイオニーも前作よりはるかに可愛く撮られていたし、3人の友情がしっかりと描かれていた。また新キャラクター、魔法省から送り込まれるアンブリッジ先生の強烈な個性も上手く醸し出されていた。

「炎のゴブレット」で音楽を担当したパトリック・ドイルは印象に残る旋律を残さなかったが、今回のニコラス・フーパーは良い仕事をした。平明で耳に心地よい様々な新しいモチーフ(テーマ)が登場して愉しめた。

ただ少々気になったのは…これは以前から感じていたことなのだが…このシリーズ、余りにも「スターウォーズ」から影響を受けすぎてるんだよね。ハリーとヴァルデモードの関係はまるでアナキン・スカイウォーカーと皇帝パルパティーンみたいだし、「不死鳥の騎士団」におけるヴァルデモードとダンブルドア校長との対決シーンはパルパティーンvs.ヨーダの場面に酷似している。

まあそれはともかく、「炎のゴブレット」で地に落ちたシリーズの復調を素直に喜びたい。次の「ハリー・ポッターと謎のプリンス」でも監督のデヴィッド・イェーツと音楽のニコラス・フーパーは続投するようなので、今から愉しみである。でも最終章では是非アルフォンソ・キュアロンとジョン・ウィリアムズに復帰してもらいたいものだ。

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受信: 2007年9月 4日 (火) 00時17分

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