宮川彬良とアンサンブル・ベガ
兵庫県立芸術文化センター大ホールに宮川彬良&アンサンブル・ベガの夏休みSpecial!「あつまれ天才!~リズムは友だち~」を聴きに往った。1日2回公演、ホールの総客席数は約2000あるのだが、チケットが即日完売したという凄まじい人気ぶりである。
宮川彬良さん(以下、親しみを込めて”アキラ”と呼ばせていただく)は「マツケンサンバII」の作曲で有名だが、アレンジャーとしても卓越した才能があり、NHK教育テレビで月-金の朝・夕に放送されている子供向け音楽番組「クインテット」の作・編曲、出演もこなしている。放送時間10分のこの番組は大人が観ても十分楽しめる優れた内容である。CMでも歌われた「ただいま考え中」はこの番組から生まれた名曲である。
アキラはただいま関西で大活躍中。大阪フィル・ポップス・コンサートの音楽監督でもあり、年2回の公演は常に完売し立ち見が出る盛況振りである。またプロの吹奏楽団である大阪市音楽団とも意気投合し、テレビ朝日「題名のない音楽会21」に二週連続出演。さらにこのコンビは9月1日にザ・シンフォニーホールでコンサート「炸裂ライヴ!」を開く(既に立見席を含め完売)。
アンサンブル・ベガは宝塚市のベガ・ホールを拠点に活動している。作・編曲、ピアノ、お話を担当するアキラを中心に、第1・第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、クラリネット、ファゴット、ホルンの9名で構成されている。いずれも名手揃いだが特にサイトウ・キネン・オーケストラや紀尾井シンフォニエッタのメンバーでもあるクラリネットの鈴木豊人さんの温かく豊かな音色にはいつも聴き惚れてしまう。ちなみに「クインテット」の”フラットさん”の音は鈴木さんが吹いている。
今回のコンサートは「夏休みSpecial」なので、子供たちが中心だ。小学生以下が客席の半分を占め、実に賑やかだった。アキラの軽妙なトーク、可笑しな仕草は子供たちにもバカ受けで、会場に笑い声が途絶えることはなかった。
コンサートの前には「音の動物園」といって、ロビーに子供たちが並び様々な楽器に触れてみる体験コーナーがあった。
また、「家から音の出るものを持って大集合!お父さんの靴・ペットボトルにお米・空き瓶など何でもOK!」というアキラからの指令が予め出ていて、「トルコ行進曲」「マツケンサンバII」等で観客全員が演奏に参加する場面もあった。
冒頭の「すみれの花咲く部屋」(ベガのテーマ曲で宝塚歌劇の定番でもある)からアキラの洗練されたアレンジを堪能。特に<音符の国ツアー>のコーナーでブリテンの「青少年のための管弦楽入門(別名:パーセルの主題による変奏曲とフーガ)」が9人で演奏できるよう巧みに編曲されていたのには、ほとほと感心した。
アンコールの最後はアキラ作曲「クインテット」テーマ。一緒に歌う子供たちもいて、大いに盛り上がった。幼い時にこういうコンサートを聴いて育っていく会場の子供たちに一寸だけ嫉妬心を感じた。
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