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2007年8月18日 (土)

たそがれコンサート〜市音の日 2007

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8月17日大阪城音楽堂に「たそがれコンサート」を聴きに往った。今年3度目である。今回は「市音の日」。プロの吹奏楽団である大阪市音楽団(市音)が単独で演奏を行った。この日のテーマは<日本スケッチ>、日本の作曲家の作品が3曲並んだ。

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指揮を担当したのは小松一彦さん。小松さんは現代邦人作曲家の作品を精力的に取り上げてきたことが評価され、第19回中島健蔵音楽賞を受賞されている。ちなみに、いずみシンフォニエッタのシェフである飯森範親さんも今年、第25回中島健蔵音楽賞を受賞。

飯森範親さんは来る9月21日にいずみホールで市音を振って「青春の吹奏楽 名曲セレクション 70'sヒットパレード」というコンサートを開催する。「マスク」「シンフォニア・ノビリッシマ」「吹奏楽のための民話」「朝鮮民謡の主題による変奏曲」「アルメニアン・ダンス」など懐かしい名作が目白押しだ。一方、小松一彦さんは11月22日市音の定期演奏会に登場する予定。

小松さんも飯森さんも桐朋音楽大学指揮科を卒業している。小松さんは桐朋で故・斉藤秀雄氏に師事。小澤征爾さん、市音の芸術顧問である秋山和慶さん、関西フィル常任指揮者の飯守泰次郎さんも斉藤秀雄の門下生である。そして斉藤最後の弟子が大フィル音楽監督の大植英次さんという人物相関図が出来上がる。後に大植さんは小澤さんからの紹介でレナード・バーンスタインに出会うことになる。

さて演奏のほうであるが、精力的な小松さんのタクトの下、高度な技能集団である市音の音を楽しんだ。まあ、はっきり書いちゃうけれど市音の金管セクションは在阪のどのオーケストラより上手い。プロの吹奏楽団に限って言えば、市音の演奏水準は現在の東京佼成ウインドオーケストラを明らかに凌駕している(須川展也さんのいる佼成Saxセクションは除く)。シエナと比べて、どっこいどっこいといったところかな。

まず最初が天神祭などを素材とした大栗 裕の「大阪俗謡による幻想曲」。指揮者・朝比奈 隆からの依頼でオーケストラ版が作曲され、後に作曲者自身の手で吹奏楽用に編曲された。吹奏楽版を初演したのも市音である。この曲については「関西の作曲家によるコンサート」と「大阪名物夏祭り!!」の記事で詳しく語っているので、ここでは繰り返さない。良い演奏ではあったがこの曲については、やはり大阪府立淀川工科高等学校吹奏楽部(淀工)の丸谷明夫 先生(丸ちゃん)の解釈に止めを刺すという気がする。祭の荒々しいまでの躍動感・勢い・熱狂といった全てを丸ちゃんは余すところなく音楽で表現する。全日本吹奏楽コンクールにおける淀工の演奏(全五回)それぞれが素晴らしいし、丸ちゃんが振ったなにわ<<オーケストラル>>ウインズ 2003の録音も究極の名演である。

次に演奏されたのは伊藤康英 作曲「ぐるりよざ」。長崎の隠れキリシタンを題材にした吹奏楽の名曲中の名曲である。「ぐるりよざ」の語源はグレゴリオ聖歌「Gloriosa」(グロリオーザ)に由来する。長い歴史の中でその読み方が変化していったのだ。

曲はI.祈り II.唄 III.祭りの3部に分かれ、第1部では男声合唱によるグレゴリオ聖歌がラテン語で唄われる。この合唱部分を市音がどう処理するのか注目された。結局、その箇所で楽器を演奏していない男性奏者たちが唄った。高校の吹奏楽部ではそんなに珍しいことではないが、市音の人達が唄うのは初めて聴いた!いやはや、なかなか上手で驚きました。

第2部はもの悲しい龍笛が印象的な楽章。その響きに心静かに耳を傾けていると突然、近くに坐った女性の携帯の着メロが鳴り出した。しかも2回連続で!!あまりの無神経ぶりに心底腹が立った。

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上の写真は休憩時間の様子である。会場はほぼ満席。市音の人気ぶりが伺えよう。

休憩を挟んで貴志康一の交響組曲「日本スケッチ」が演奏された。貴志についても「関西の作曲家によるコンサート」で書いた。第二次世界大戦前に28歳で夭折し、最近再評価されつつある作曲家である。原曲はオーケストラ作品で森田一浩さんによる吹奏楽編曲版は2005年、市音の定期演奏会で初演された(僕もその場に立ち会った)。I.市場 II.夜曲 III.面 IV.祭りの4部に分かれている。非常に親しみやすい旋律に溢れ、日本的叙情を味わえる作品である。なんと、指揮の小松一彦さんは今から25年前に関西フィルを振って、この「日本スケッチ」のオーケストラ版を貴志の母校で演奏されたことがあるそうだ。さすが中島健蔵音楽賞を受賞されたマエストロだけのことはある。素晴らしい!

「大阪俗謡による幻想曲」「ぐるりよざ」「日本スケッチ」と、全てが祭りに関連しているというプログラム構成も見事であった。アンコールは山田耕作の「この道」(編曲者は不明)。巧みなアレンジで聴き応えがあった。もう、無料コンサートとはとても思えない盛り沢山で贅沢な演奏会であった。演奏が終わって盛大な拍手と共に「ありがとう!」という声が会場からあがった。その通り。大阪市音楽団、本当にありがとう。

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コメント

コメントとトラックバックありがとうございました。
素敵なコンサートの雰囲気が伝わってきました。
あの夕暮れから夜になっていくところがいいんですよね、たそがれコンサート。
私もまた行きたいです。

投稿: ごいんきょ | 2007年8月18日 (土) 18時02分

ごいんきょ様、ご訪問頂きありがとうございます。

仰るとおり、音楽を聴きながら辺りが次第に暗くなっていくのが、何とも魅力的です。五月蠅いくらいの蝉の鳴き声も雰囲気を盛り上げてくれますね。ただ、藪蚊が多いことが唯一の難点ですが…

投稿: 雅哉 | 2007年8月22日 (水) 08時11分

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こんばんは。 今日は演奏会のご紹介です。 7月、8月は大阪市野外音楽堂で毎週金曜 [続きを読む]

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