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2007年8月 2日 (木)

京都でエビータ ほか

8月1日、京都で劇団四季の「エビータ」を観劇した。

その日は9月に1週間開催される大植英次プロデュース大阪クラシック有料公演の発売日だったので、京都に往く前に朝10時にチケットぴあに並んで無事目的の公演を確保。特に心配だったのが最終日、大植さん指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団による「新世界より」(大阪市役所シティホール)。トリの公演なのでこれには大阪市長もやってくるし、昨年も写真入で大々的に新聞報道された。昨年のチャイコフスキー第4交響曲は、あっという間にチケットが売り切れて涙を呑んだので、今回は気合を入れて臨んだ。案の定、夜になってから電子チケットぴあで確認すると、「新世界より」のみ即日完売であった(500円という安さも大きいだろう。1500円の「悲愴」@シンフォニーホールはまだ余裕がある)。大阪クラシックのチケット獲得合戦について不惑ワクワク日記さんにも体験談が掲載されているのでご紹介しておく。

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さて、JR京都駅構内の風景である。ここに立つといつも映画「ガメラ3」でガメラとイリスがここで対決して、京都駅が粉々に破壊された情景を懐かしく想い出す。

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四季の京都劇場は京都駅に直結している。もともとはジャニーズの専用劇場だったものを譲り受けたので、客席シートとかは他の四季劇場とは異なる。もちろん東京と違ってオーケストラの生演奏は入らず、カラオケ専用劇場。

四季の「エビータ」は2005年に演出・舞台装置・衣装・振り付けなどが一新された。僕は旧演出を1997年11月2日に岡山で観ている(全国公演)。エビータは鈴木京子さん、ペロンは今井清隆さん、チェは現在と同様に芝 清道さんだった。

今井さんは「オペラ座の怪人」をどうしても演じたくて1995年に四季に飛び込んだ。ペロン、ガストン(美女と野獣)など試験期間を経て、1998年5月20日の東京公演初日からオペラ座の怪人として舞台に立ち、東京公演が終了するとさっさと四季を辞めてしまった(笑)。

鈴木さんも既に四季を退団されているが、まあ、容姿・歌唱力・演技力の全てが凡庸な女優さんで、エバ・ペロン(エビータ)を演じらるような器ではなかった。

その点、今回の井上智恵さんのエバは見事である。存在感があり、強い意思を感じさせる。彼女を初めて観たのが「オペラ座の怪人」名古屋公演のクリスティーヌだったが(1998年1月)、その頃から歌に感情が込められる実力派だと感心していた。本当に彼女は美しく花開いた。

ペロンを演じている渋谷智也さんは明らかなミスキャスト。声が細く声量がないし、軍人・大統領としてのカリスマ性に欠ける。誤解のないように書いておくが、僕は例えば渋谷さんが演じる「壁抜け男」の画家役などは好きである。つまり渋谷さんをペロンに抜擢する行為そのものが間違っているのだ。

チェの芝さんは文句なし。パーフェクト。

今回出色だったのはミストレス(ペロンの愛人)役を演じる苫田亜沙子さん。大阪四季劇場「オペラ座の怪人」クリスティーヌ役の開幕キャストだ。もう兎に角その美しい歌声が素晴らしい!今回も聴き惚れた。

旧演出と比較して新演出・舞台装置はより洗練されスタイリッシュ。完成度が極めて高い。加藤敬二さんのダイナミックな振り付けも見事。新生「エビータ」は見応えあるプロダクションである。

観劇後バックステージツアーに参加した。舞台の上に上がらせてもらい、奈落を覗き込んだり、舞台裏に案内されたり非常に貴重な体験をさせてもらった。中ぜり・前ぜりを上下させたり盆を回転させたりする機構など、丁寧な解説をして下さった舞台監督や裏方さん達にこの場を借りて感謝する。

僕は前から疑問に思っていたのが、カラオケなのにどうやって俳優さんたちは歌い出しのタイミングが分かるのだろうということ。舞台監督さんの説明で、音楽に併せて2階席前面に設置されたLEDと呼ばれる赤や緑のライトが点滅し、それが指揮者の代わりとなってキューを出していることが判明した。なるほど、実に面白い仕組みだ。

大阪に戻り、その足で梅田ガーデンシネマで「アヒルと鴨のコインロッカー」を観たのだが、それはまた別の話。

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コメント

雅也さん、こんにちは。コメントありがとうございました。

いいですねえ、ミュージカル!!このあいだも、別のブログにミュージカルに行きたいけど行けない、と書き込んだのですが、こう立て続けにミュージカルの記事を目にすると、嫌がおうにも気持ちがむずむず・・・

大阪四季劇場のオペラ座の怪人の、来期分が近々発売になるようで、ちょっと心が傾いているところです。

投稿: ぐすたふ | 2007年8月 3日 (金) 15時48分

ぐすたふさん、コメントありがとうございました。四季の「オペラ座の怪人」は、東京公演以外はカラオケ(世界的にみてもこの作品をカラオケ上演しているのは日本だけでしょう)というのが気になるのですが、それさえ目を瞑れば見応えあります。また、今度京都で上演される「ジーザス・クライスト・スーパースター」も素晴らしいですよ。なお、「ジーザス」はエルサレム版よりも、ユニークなジャポネスク版がお勧めです。

投稿: 雅哉 | 2007年8月 3日 (金) 16時17分

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