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2007年8月22日 (水)

ベクシル 2077 日本鎖国

評価:D+

日本のロボット工学が進みすぎて世界から孤立し、「ハイテク鎖国」に追い込まれるという冒頭の設定は面白いんだ。でもその先がグダグダになっちゃうのが哀しいところ。SF的に全く辻褄が合っていないし、オリジナルの脚本が駄目。例えば何故アンドロイドは昭和風の生活をしているのかとか、国土の大半がどうして山河もなく、草木も生えない荒野と化してしまったのか等説得力に欠けるし、りんごはどこで栽培されているのかも不明だ。これならプロのSF作家に物語を書いてもらった方が良かったんじゃないか?

「マッドマックス」「スター・ウォーズ エピソード4&6」「バイオハザード」「マトリックス」「新世紀エヴァンゲリオン」「イノセンス(というか、『アップルシード』を含めた士郎正宗の漫画)」を彷彿とさせる場面が延々と続く。つまり、どこかで観たような絵のオンパレードで、全くオリジナリティが感じられない。

人間の役者の動きをキャプチャーして3D-CGにし、セル画風に着色する3D-ライブアニメという方式を採用しているが、人物の動きがゆっくりでぎこちなく、表情の変化も鈍い。まるでロール・プレイング・ゲームみたいだ。 モーション・キャプチャーの所為かなと一瞬想ったが、考えてみればピーター・ジャクソン監督の「キングコング」とか「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムも同じ方式にもかかわらず動きは滑らかで早いし、もっと表情豊かである。要するに日本のCG技術が遅れているのと、映像センスの問題なのだろう。

曽利文彦監督の実写映画「ピンポン」は傑作だったが、こちらの新作は完全な期待はずれ。結局、「ピンポン」は原作が松本大洋で脚色が宮藤官九郎(クドカン)。他者に委ねたから面白い話になったのに対し、「ベクシル」は曽利さんが自分で原案・脚本までやっちゃったから、こんな独りよがりな駄作に成り下がったのだろう。

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