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2007年7月17日 (火)

いずみシンフォニエッタ大阪の描く北欧

いずみシンフォニエッタ大阪の第16回定期演奏会「美しき北欧、新しき北欧」を聴きに往った。

Izumi

指揮はいずみシンフォニエッタ大阪常任指揮者、飯森範親さん。現代音楽の初演を積極的に行い、その普及に貢献したことが評価されて芸術選奨文部科学大臣新人賞、中島健蔵音楽賞などを受賞したマエストロである。

いずみシンフォニエッタ大阪(ISO)はいずみホールのレジデント・オーケストラで、現代音楽演奏を主目的としている。大フィルやシンフォニカー、センチュリーなど他の主な在阪オケがベートーベン、ブラームス、チャイコフスキーといったありきたりの曲ばかり垂れ流す中で、大変貴重な存在である(関西フィルは20世紀以降の作品に意欲的に取り組んでいるが、如何せんあそこは大阪で一番技量が劣るのが残念)。

ISOは常設ではなく、年3回の定期演奏会を行い、そのつど関西にゆかりのある優秀なプレーヤーたちが全国から集結してくるのである。いわば小澤征爾が率いるサイトウ・キネン・オーケストラとか、紀尾井ホールのレジデント・オーケストラ=紀尾井シンフォニエッタ東京と同じようなシステムとなっており、実際ISOのメンバーの中にはサイトウ・キネンや紀尾井にも参加している人がいる。だから小編成ながらオケのレベルは極めて高い。

ISOの楽しみの一つに、19時の開演前に行われるロビーコンサートがある。今回は下の写真の通り。

20070713184252

日本でも指折りの名手の演奏が間近に聴けるのだからこんな嬉しい事はない。この時の模様はフルート奏者:安藤史子さんのブログに写真付きで紹介されているのでご覧あれ。

ロビー・コンサートは大阪フィルハーモニー交響楽団でも今年の3/8「会員感謝のためのコンサート」で行われたのだが、それ一回きり。是非大フィルでもこうした企画を継続してもらいたいものだ。

さて、今回ザ・フェニックスホールとの共同企画によるテーマは「環バルト海の音楽」。没後100年のグリーグ(ノルウェー)と没後50年のシベリウス(フィンランド)の音楽がプログラム冒頭と最後に配置され、その間に挟まれるように現代フィンランドを代表するリンドベルイとエストニアの作曲家ペルトの音楽が演奏された。

まず弦楽合奏による「ホルベルグ組曲」があって、管楽器とパーカッションによる「フラトレス」が続く。そしてプログラム前半最後に弦と管がはじめて一緒になって「アリーナII」を演奏するという考え抜かれた構成にほとほと感心した。このあたりISOの提唱者で音楽監督でもある作曲家:西村 朗さんと、同じく作曲家でプログラム・アドバイザーの川島素晴さんの面目躍如といったところだ。

「ホルベルグ組曲」と後半のシベリウス「悲しきワルツ」「ペリアスとメリザンド」では弦の美しさを堪能した。飯森さんは例えばペルゴレージやベートーベンを指揮するときは弦にピリオド(ノン・ビブラート)奏法を指示するような人なので、今回のグリーグやシベリウスでも適所にノン・ビブラートが取り入れられており、新鮮で響きに透明感があった。

ペルトの「フラトレス」は古楽の影響を受け、あたかも祈りのように静謐な音楽である。僕は弦楽合奏版のCDを持っているが、管楽八重奏+打楽器版は今回初めてだった。こちらもなかなか耳に心地良かった。

今回の演奏会の白眉はなんと言ってもリンドベルイの「アリーナII」だろう。これは指揮者コンクールの課題曲として作曲されたそうで、目まぐるしく変化する変拍子が非常に複雑な作品であった。指揮者にとっても演奏者にとっても大変難しい曲だと思われるが、飯森さんの明快な手綱さばきのもと、ISOの面々も軽々とこなし、聴いているこちらとしてはスリリングで非常に面白い体験をさせてもらった。是非これからも、このような興味深い新作を紹介していってもらいたい。

次回からのISOの公演予定はこちらをご覧あれ。

そうそう、今回気がついたのだがISOに参加しているヴァイオリン奏者、高木和弘さんは1972年大阪生まれで東京交響楽団の若きコンサートマスターである。高木さんの経歴を見るとドイツ・ヴュルテンブルク・フィルハーモニー管弦楽団の第一コンサートマスターを経て現在、山形交響楽団の客演特別コンサートマスターも兼務されている。あれ?これらのオケは全て飯森さんとの関わりも深いではないか(ヴュルテンブルクの音楽監督、山響のミュージック・アドヴァイザー兼常任指揮者、東響の正指揮者)。ふたりの深い絆が伺われ、まるで大植英次さんと長原幸太さんの信頼関係みたいだなと想った次第である。

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