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2007年6月22日 (金)

しゃべれどもしゃべれども

評価:B

「一瞬の風になれ」で今年の本屋大賞および吉川英治文学新人賞を受賞した佐藤多佳子の小説を映画化。「一瞬の風になれ」は高校陸上部が舞台。これは、あさのあつこ「バッテリー」野球)、森 絵都「DIVE !! (飛び込み)と並んで、児童文学出身の女性作家たちによるスポーツ青春小説三部作と呼びたい。

森 絵都の直木賞受賞作「風に舞いあがるビニールシート」は確かに良い小説だが、僕は断固として「DIVE !!」小学館児童出版文化賞)を推したい。読んでて燃えたね完全燃焼オリンピックを目指す少年たちが熱い。そして清々しい。最高の青春小説だ。森 絵都、佐藤多佳子、あさのあつこ御三家による座談会がテレビ放送されたが、それによると「DIVE !!」は着実に映画化の企画が進行中らしい。是非実現してもらいたい。「一瞬の風になれ」も間違いなく映画化される。だって昨年までの本屋大賞受賞作(「博士の愛した数式」「夜のピクニック」「東京タワー/オカンとボクと、時々、オトン」)は全て映画化されているのだから。

話が少々脱線した。まあ落語でいうところのマクラだと思って聞き流して欲しい。さて、映画「しゃべれどもしゃべれども」である。落語の話だ。考えてみれば噺家が主人公の映画というのは珍しい。あまり記憶にない。岩井俊二の「花とアリス」にもヒロインが落語に挑戦する場面はあるけれど、それが本筋じゃないからなぁ。

原作も軽妙で実に面白い小説なのだが、それを上手く交通整理し、且つオリジナルの味を損ねないように上手に脚色してある。平山秀幸 監督はまれに「レディ・ジョーカー」みたいなとんでもな映画を撮るけれど、基本的には手堅い職人なので(特に「愛を乞うひと」は傑作)今回もプロとしての腕前を見事に発揮し、見応えある佳作となっている。

主人公を演じた国分太一 が実にいい。活舌がよくて本物の噺家に見える。ジャニーズなのに不思議と和服もよく似合う。

仏頂面のヒロインを演じた香里奈もはまり役。ただ、原作では彼女のあだ名が<黒猫>であるということが映画でははっきり示されていないので、彼女が落語を披露するときに、何故お囃子が「ねこふんじゃった」なのかが観客に分かり辛いのが残念であった。

しかしとにかく出色だったのは大阪から東京に転校してきた少年を演じた森永悠希クンだろう。実際に森永クンは大阪出身だそうで、関西弁全開の「まんじゅうこわい」はおもいっきり笑かしてもろたわ。天才子役の出現である。

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