2026年4月10日 (金)

大阪桐蔭高等学校吹奏楽部 定期演奏会 2026(思い出の「アナと雪の女王」「ライオンキング」)

3月15日(日)フェスティバルホールへ。大阪桐蔭高等学校吹奏楽部定期演奏会(最終公演)を聴く。指揮は監督の梅田隆司先生。

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 I部

 ・ミュージカル「アナと雪の女王」
 ・ミュージカル「ライオン・キング」

II部

 ・ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」より
 ・吹奏楽部21年間の歩み(郷間幹男 編曲「嵐メドレー」)
 ・甲子園応援コーナー〜リクエストコーナー
 ・卒業生を送る歌(ゆず「友 〜旅立ちの時〜」)
 ・Superfly「愛をこめて花束を」
 ・フィナーレ(「銀河鉄道999」「星に願いを」「Sing Sing Sing」)

今年の1月10日まで定演でミュージカル『キャッツ』をする予定だったが、梅田先生が姪っ子に訊ねると「それ知らない。『ライオンキング』ならよく知ってる」と反応があり、急遽演目を変更したそう。学校は今回の演目のために4台の3Dプリンターを購入した。それにより、『アナと雪の女王』のオラフ(雪だるま)や『ライオンキング』に登場するライオンのお面、キリン、プンバァ(イボイノシシ)などの造形が素晴らしく、ブロードウェイ版と比べても遜色ないと思った。またアナとエルサが着る、青と緑のドレスが洗練されたデザインでとても美しく、息を呑んだ。

『アナ雪』のナンバー〈雪だるまつくろう〉〈生まれてはじめて〉を久しぶりに聴きながら、いろいろなことが頭の中を走馬灯のように駆けめぐった。真っ先に目に浮かんだのがアニメの日本語吹替版を担当した神田沙也加だ。彼女が18歳で舞台デビューしたミュージカル『イントゥ・ザ・ウッズ』(スティーヴン・ソンドハイム作詞・作曲)の赤ずきんちゃん役を僕は東京で観ており(可憐だった!)、最後に出演したミュージカル『マイ・フェア・レディ』大阪公演のチケットも持っていた。しかし大阪に来る前の札幌公演で彼女は宿泊していたホテルから飛び降り自殺してしまった。痛ましいことだ。愛着障害が原因と考えられ(共演していた前山剛久の言動はトリガーでしかなく、根はもっと深い)、幼少期に受けた心の傷(両親の不在)は大人になっても癒やされないのだということを思い知らされた。彼女が14歳の頃から大地真央のことを「ママ」と呼び慕っていたというエピソードが胸に刺さる。『アナと雪の女王3』は2027年に公開予定だが、アナの吹替は誰がするのだろう?考えただけでも胸がキュッとなる。

『アナ雪』が2014年3月に日本で公開された当時僕は劇場で3D上映を観たと記憶している。雪が立体的に降り落ちてくるのが印象的だった。あの頃は3Dがブームだったが、3D眼鏡が煩わしいからなのか現在は完全に下火になった。特にアニメの3D上映って皆無なのでは?

また映画が公開された年、紅白歌合戦で『アナ雪』コーナーがあり神田も出演したが〈ありのままで〉を歌ったのはMay J.であり、エルサ役の松たか子はこの曲を一度もTVの歌番組で披露していない。あくまで声優としての契約であり、どうやら生歌を披露するにはディズニーからの許可が必要らしい(それを一手に引き受けているのがMay J.というわけ)。

『アナ雪』は一応アンデルセンが原作ということになっているが、映画『ウィキッド ふたりの魔女』を観てむしろミュージカル『ウィキッド』を徹底的に研究し作劇しているのだな、ということにはたと気付いた。『ウィキッド』のエルファバとグリンダの友情=シスターフッドが、エルサとアナという文字通り姉妹の関係に置き換えられており(アンデルセン童話に姉妹は登場しない)、『ウィキッド』第一幕のクライマックスで歌われる"Defying Gravity"を基に『アナ雪』の名曲"Let It Go"〈ありのままで〉が生まれた。歌詞の内容は殆んど同じである。両者の繋がりの決定的証拠は舞台版『ウィキッド』のエルファバ初演キャストであるイディナ・メンゼルが『アナ雪』英語版でもエルサのアフレコを担当し、"Let It Go"〈ありのままで〉を歌っていること。因みにイディナ・メンゼルは伝説的傑作ミュージカル『レント』モーリーン役のオリジナル・キャストであり、映画『ウィキッド ふたりの魔女』でもエメラルド・シティの場面でグリンダ役だったクリスティン・チェノウェスと一緒にカメオ出演している。

というわけで梅田先生、いつか大阪桐蔭の定演でも『ウィキッド』を取り上げてください!

それからオラフの日本語吹替は元々ピエール瀧だったのだが、2019年に麻薬取締法違反容疑で逮捕された後はオラフの声を差し替えたものが配信・販売されている。よってピエール瀧バージョンは今や幻となってしまった。なおテレビ出演も出来なくなった彼はその後『全裸監督』『地面師たち』『新幹線大爆破』などNetflix専属俳優として大活躍している。こうしたキャンセル・カルチャーは本当に愚かなこと。ディズニーには猛省を促したい。

『ライオン・キング』演奏前に梅田先生が「先日劇団四季の公演を家族と観てきましたが、うちの方が優れているという自信があります」と仰った。その根拠の一つとして劇団四季はオーケストラが録音音源であり、大阪桐蔭は迫力のある生演奏であることを挙げておられた。

ここで少し補足説明をしておきたい。1998年12月20日(日曜日)『ライオンキング』東京公演初日、僕は四季劇場[春]の客席にいた。これがこけら落としだった。その時はブロードウェイと同様、全てが生演奏だった。

調べてみると劇団四季『ライオン・キング』が東京限定で生オーケストラ演奏を実施していたのは2011年までだっようだ。つまりその年の3月11日に東日本大震災があり公演を一時休止。再開にあたり節電への協力や公演維持の安定性を考慮する形で、現在のスタイル〈(管弦楽器は)カラオケ+客席左右のバルコニー等で演奏する生パーカッション〉へと移行したらしい。

現在劇団四季が東京公演で生オーケストラを起用しているのは『オペラ座の怪人』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のみ。ただしこれらの演目も東京以外の劇場では全てカラオケである。

過去に遡ってみよう。ミュージカル『キャッツ』1983年の東京初演(新宿・西口の特設テント劇場「キャッツ・シアター」)は生演奏だったが、85年に大阪(梅田「キャッツ・シアター」)へ移る際、以下のような理由で録音音源に切り替わったと言われている。

劇団四季を創設した演出家・浅利慶太は「生オーケストラだと、その日の指揮者や奏者のコンディションでテンポが微妙にズレる」「ダンサーは(ジャンプしたあと)空中で止まることができない。重力に従って必ず決まった時間に着地する。だから完璧に計算されたダンスを見せるためには、テンポが不変のテープ(当時)でなければならない」 という屁理屈を展開した。また劇団四季は最新の音響設備を導入しており、「生演奏よりも録音の方が、劇場内のどこにいてもクリアで迫力のある理想的なバランスで音楽を届けられる」とも主張した。もしこの言い分がまかり通るのであれば『白鳥の湖』『ジゼル』『ロメオとジュリエット(プロコフィエフ)』などすべてのバレエ演目は生演奏ではなく、録音音源に切り替えなければならないことになる……んなアホな!!

また1989年10月1日近鉄劇場(天王寺区上本町)で開幕した『オペラ座の怪人』大阪初演は生オーケストラによる演奏だったが、1995年MBS劇場(大阪市北区堂島)での再演はカラオケになった。

まぁ要するに真の目的は経費、特に人件費を削減したかったのだろうと僕は推測する。劇団の仕事だけで役者が食っていけるようにするということが一番重要で、浅利にミュージカルに対するはそもそもなかったのだ。

では何故東京だけ(一部劇場は)生オーケストラなのか?おそらくそれは演劇評論家などマスコミ対策なのだろうと僕は邪推する。「どうして生の舞台なのに音楽はカラオケなの?」と問い詰められたり、記事に書き立てられたら都合が悪いでしょ?再演とか地方公演なら口うるさいライターは来ない。

ただ劇団四季の名誉のために言い添えておくと、1999年11月14日に福岡シティ劇場(福岡県福岡市博多区)で幕を開けたミッシェル・ルグラン作曲のミュージカル『壁抜け男』は地方公演としては珍しく生演奏だった(僕は初日に観た)。実はこれ、たった3人の奏者でピアノ・木管楽器・パーカッションを演奏するという小編成なので、人件費がかからないから実現したのだろう。しかし後の全国ツアーでは従来のカラオケ上演になってしまったのだけれど……閑話休題。

大阪桐蔭定演の感想に戻ろう。全日本吹奏楽コンクールで銀賞に終わった自由曲『火の鳥』は精彩を欠いた(指揮者と曲目との相性の問題だろう)。

 ・ 史上初の快挙「オペラ座の怪人」全日本吹奏楽コンクールへ!〜梅田隆司/大阪桐蔭高等学校吹奏楽部 (2024年はこの自由曲で全国大会金賞受賞)

〈リクエストコーナー〉で客席から要望があったのは『ハウルの動く城』から〈人生のメリーゴーランド(JAZZ Ver.)〉と〈カリスマックス(Snow Man)〉。〈カリスマックス〉ではサングラスをした9人の男子生徒が歌った。特に〈人生のメリーゴーランド(JAZZ Ver.)〉に痺れた!『ウエスト・サイド物語』やミシェル・ルグラン作曲の〈キャラバンの到着(映画『ロシュフォールの恋人たち』より)〉でも感じるのだが、梅田先生のタクトって『火の鳥』のような生真面目なクラシック音楽ではなく、こういったJAZZYな曲でその真価を最大限に発揮するんだよね。グルーヴがある。

そしてアンコール。大阪桐蔭の魅力爆発、真骨頂の『銀河鉄道999』を聴きながら、アニメでメーテルの声を当てた池田昌子に思いを馳せた。彼女は今年3月3日に亡くなった。享年87歳。原作者の松本零士はメーテルのモデルの一人としてジュリアン・デュヴィヴィエ監督のフランス映画『わが青春のマリアンヌ』のヒロインを挙げており、実はテレビ放映時にマリアンヌの吹替を担当したのが池田昌子だったのである。松本零士には『わが青春のアルカディア』という作品もあり、タイトルの類似は決して偶然ではない。『わが青春のマリアンヌ』はとっても素敵な映画なので機会があればぜひ観てみてください。

 ・ 大阪桐蔭高等学校吹奏楽部 定演/ミュージカル「銀河鉄道の夜」〜宮沢賢治の深層心理にダイブする。 2017.02.21

で通常は『銀河鉄道999』の後に『星に願いを』で〆なのだが、曲が終わると梅田先生が「もうあと2分ある」と無茶ぶりで疾風怒濤の『Sing Sing Sing』に突入!えっ、えっ、えっ!!前代未聞のアンコールに大興奮。ノリノリで最高!!!場内が熱気で包まれたことは言うまでもない。いいものを聴かせてもらった。来年もまた来ます。

 ・ 第55回全日本吹奏楽コンクール高校の部を聴いて 前編 2007.10.25 (大阪桐蔭の演奏をこの日初めて聴いた)
 ・ 
第57回全日本吹奏楽コンクール高校の部を聴いて 2009 《後編》 2009.10.31 (大阪桐蔭がこの年初めて全国大会金賞に輝く)

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2026年3月19日 (木)

2026年アカデミー賞総括!

さて、先日公開した僕の受賞予想で外れたのは撮影・長編ドキュメンタリー・短編アニメーション・短編実写映画・キャスティングの各賞で計5部門。つまり全24部門中19部門的中した。まずまずの成績だろう。

ちなみに星海社新書から刊行されている【なぜオスカーはおもしろいのか? 受賞予想で100倍楽しむ「アカデミー賞」】の著者、 Ms.メラニーは今年18部門的中だったので、また勝った。

作品賞と新設されたキャスティング賞が一致するのはつまらない。この状況があと5年続いたら「キャスティング賞不要論」が噴出するに違いない。

『ワン・バトル・アフター・アナザー』のショーン・ペンはこれが3回目のオスカー受賞。果たしてそれほどの役者だろうか?大いに疑問である。だってあのメリル・ストリープと同数だぜ!?授賞式に出席もしないし、やはりすごく感じ悪い(ウクライナでゼレンスキー大統領と面会していたらしい)。どうしても好きになれない。

『罪人たち』のオータム・デュラルド・アーカポーは女性として初めて撮影賞を受賞したのだそうだ。これは大いに喜ばしい。

主演男優賞をまたしても逃したティモシー・シャラメは気の毒だが、考えてみればもし彼が受賞していれば演技賞の4人全員が白人になってしまうわけで、またSNSで#OscarsSoWhite(アカデミー賞はあまりに白い)というハッシュタグが流行し、叩かれる事態になりかねなかった。だから『罪人たち』のマイケル・B・ジョーダン受賞は妥当だったと言えるだろう。

さて、黒人がアカデミー監督賞を手にするのはあと何年後になるのだろう?(女性は既に2人受賞している)

 

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2026年3月14日 (土)

2026年アカデミー賞大予想!

恒例の第98回 米アカデミー賞受賞予想である。2026年の授賞式は日本時間3月16日(月)に開催される。自信がある(鉄板)部門には◎を付けた。

 ・ 作品賞:ワン・バトル・アフター・アナザー◎
 ・ 監督賞:ポール・トーマス・アンダーソン『ワン・バトル・アフター・アナザー』◎
 ・ 主演女優賞:ジェシー・バックリー『ハムネット』◎
 ・ 主演男優賞:マイケル・B・ジョーダン『罪人たち』
 ・ 助演女優賞:エイミー・マディガン『ウエポンズ』
 ・ 助演男優賞:ショーン・ペン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
 ・ キャスティング賞:罪人たち◎
 ・ 脚本賞(オリジナル):ライアン・クーグラー『罪人たち』◎
 ・ 脚色賞(原作あり):ポール・トーマス・アンダーソン『ワン・バトル・アフター・アナザー』◎
 ・ 視覚効果賞:アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ◎
 ・ 美術賞:タマラ・デヴェレルシェーン・ヴィア『フランケンシュタイン』◎
 ・ 衣装デザイン賞:ケイト・ホーリー『フランケンシュタイン』◎
 ・ 撮影賞:マイケル・バウマン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
 ・ 長編ドキュメンタリー賞:パーフェクト・ネイバー:正当防衛法はどこへ向かうのか(Netflix)
 ・ 短編ドキュメンタリー賞:あなたが帰ってこない部屋(Netflix)
 ・ 編集賞:アンディ・ユルゲンセン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
 ・ 国際長編映画賞:センチメンタル・バリュー◎
 ・ 音響賞:『F1』
 ・ メイクアップ&ヘアスタイリング賞:『フランケンシュタイン』◎
 ・ 作曲賞:ルドウィグ・ゴランソン『罪人たち』
 ・ 歌曲賞:"Golden"『K-POPガールズ!デーモン・ハンターズ』◎
 ・ 長編アニメーション賞:K-POPガールズ!デーモン・ハンターズ◎
 ・ 短編アニメーション賞:バタフライ(Papillon)
 ・ 短編実写映画賞:ドロシーの友人

作品賞・監督賞は確実だが、今年一番分からないのは演技部門だ(ただし主演女優賞を除く)。主演男優賞は『マーティ・シュプリーム』のティモシー・シャラメ、助演女優賞は『罪人たち』のウンミ・モサクかも知れない。また、助演男優賞は正直『センチメンタル・バリュー』のステラン・スカルスガルドが取って欲しい。ショーン・ペンはあんまり好きになれないんだよね。

新設されたキャスティング賞。作品賞と同じだったら意味がないよね。

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2025年12月31日 (水)

2025年映画ベスト30選+個人賞発表(ファム・ファタール賞もあるよ)!

2025年に初めて日本で劇場公開された作品、並びに配信された映画のなかからベスト作品を選んだ。ただし、『アドレセンス』『セヴェランス』『ザ・スタジオ』『ザ・ピット/ピッツバーグ救急医療室』といったTV シリーズ/ミニ・シリーズは対象外である。

【映画ベスト30】

1. チェインソーマン レゼ篇
2. ワン・バトル・アフター・アナザー
3. ウィキッド ふたりの魔女
4. 教皇選挙
5. トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦 
6. アプレンティス ドナルト・トランプの創り方
7. 国宝
8. ふつうの子ども
9. 罪人たち
10. ナイブズ・アウト ウェイク・アップ・デッドマン(Netflix配信)
11. フロントライン
12. ブルータリスト
13. フランケンシュタイン(Netflix配信)
14. スーパーマン
15. F1/エフワン
16. ハウス・オブ・ダイナマイト(Netflix配信)
17. 野生の島のロズ
18. サブスタンス
19. K-POPガールズ!デーモン・ハンターズ(Netflix配信)
20. ジェイ・ケリー(Netflix配信)
21. 旅と日々
22. 秒速5センチメートル(実写版)
23. 名もなき者 COMPLETE UNKNOWN
24. 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
25. リアル・ペイン~心の旅~
26. 天国と地獄 Highest 2 Lowest(Apple TV+ 配信)
27. 藤本タツキ17-29(Part-1,2)
28. ノスフェラトゥ
29. ひゃくえむ。
30. 悪い夏
次点. ANORA アノーラ
次々点. Flow
次々々点. WEAPONS/ウェポンズ

【個人賞】

ファム・ファタール賞:上田麗奈「チェンソーマン レゼ篇」レゼ役
主演女優賞:河合優実「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」「悪い夏」「旅と日々」
助演女優賞:アリアナ・グランデ「ウィキッド ふたりの魔女」
主演男優賞:レオナルド・ディカプリオ「ワン・バトル・アフター・アナザー」
助演男優賞:ルイス・クー「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」 
監督賞:ポール・トーマス・アンダーソン、あるいは、PTA! PTA!!PTA!!!「ワン・バトル・アフター・アナザー」
オリジナル脚本賞:高田亮「ふつうの子ども」
脚色賞:ポール・トーマス・アンダーソン、あるいは、PTA! PTA!!PTA!!!「ワン・バトル・アフター・アナザー」
作曲賞:ジョニー・グリーンウッド「ワン・バトル・アフター・アナザー」/牛尾憲輔「チェンソーマン レゼ篇」
歌曲賞:米津玄師:"JANE DOE"「チェンソーマン レゼ篇」
撮影賞:オータム・デュラルド「罪人たち」
美術賞:ネイサン・クロウリー、リー・サンデルズ「ウィキッド ふたりの魔女」
衣装デザイン賞:ポール・タゼウェル「ウィキッド ふたりの魔女」
編集賞:スティーヴン・ミリオン「F1/エフワン」

【コメント】

僕にとってファム・ファタールの定義は〈その人のためだったら破滅してもいい、命を失っても構わないと思える女〉である。そして「チェンソーマン レゼ篇」にはなんとファム・ファタールが二人も登場する。言わずもがなマキマさんとレゼだ。クゥーッ!痺れるぜ。上田麗奈の声の演技には陶然となった。まさにこれぞ男を狂わす魔性の女。最早ひれ伏すしかない。

河合優実は昨年「ナミビアの砂漠」「あんのこと」で各映画賞の主演女優賞を総なめにしたわけだが、今年も気を吐いた。僕が挙げた作品以外にも今年は「敵」「ルノワール」があり、まさに飛ぶ鳥を落とす勢い、〈インディーズ(独立プロ)の女王〉の名をほしいままにしている。あとNHK朝ドラ「あんぱん」美人3姉妹の次女"蘭子"役も光り輝いていた。主演の今田美桜が気の毒なくらい。

レオナルド・ディカプリオはアカデミー主演男優賞を(お情けで)受賞した「レヴェナント:蘇りし者」よしも、その後の肩の力が抜けたコメディー路線の方が断然好きだ。いや~「ワン・バトル・アフター・アナザー」のダメ親父、最高!!

アカデミー作品賞・監督賞を受賞した「ANORA アノーラ」よりも、ショーン・ベイカー監督の映画なら前作「レッド・ロケット」の方がしみじみ良かった。これは恐らく多くの人が同意してくれる筈だ。

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2025年10月16日 (木)

近況報告(あるいは、なぜ当ブログは最近更新頻度が低下しているのか?)

最近、記事の更新を怠っていて読者に対して申し訳なく思っている。事情を説明しよう。

ふと「フランス語を勉強しよう!」と思い立ち、2020年4月からNHKラジオ『まいにちフランス語』を3年間聴いた。

それと並行して22年4月から『まいにちドイツ語』を3年、23年4月から『まいにちイタリア語』を聴いている。

週に6日ラジオ講座を聴いて学習期間は25年4月に1500日を達成、イタリア語とドイツ語講座の聴講はそれぞれ1000回を超えた(来年度からフランス語に戻ろうと考えている)。同じ日に3つ以上の放送を聴いたのは現在520回に上る(ラジオストリーミング『NHKゴガク』で自分の視聴履歴が確認出来る)。だからブログを書く時間的余裕がなくなった。

まさに「五十の手習い」である。動機となったのは以下の通りだ。

僕は中学生の頃からオペラを愛好していた。まずはヴェルディやプッチーニのイタリア・オペラ、そしてワーグナー(ドイツ)が作曲した楽劇『ニーベルングの指環』(全4夜)のLPレコードをお小遣いをためて購入し、熱心に聴いた。たしか全部で16枚だったと記憶している(『ラインの黄金』3枚+『ワルキューレ』4枚+『ジークフリート』4枚+『神々の黄昏』5枚)。1980年前後の話だ。当時LPレコードには日本語対訳が添付されており内容の理解には困らなかった。

配信時代の今、逆に歌詞対訳を手に入れることが難しくなってしまった(対訳付きCDのニューリリースもコストが嵩むのでなかなか困難だ。CDの売上は落ち込むばかりで、はっきり言って採算が取れない)。

そういった経緯でオペラやベートーヴェンの第九の歌詞を原語で理解出来たら楽しいだろうな、と思った。ただ想定外の事態が発生した。先日より『ニーベルングの指環』対訳本を購入し勉強し始めたのだが、なんと!現在の辞書には載っていない中世ドイツ語とか、古ゲルマン語がいくつも登場するのだ。そうか、この作品は神話の世界を描いており、現代の日本人が『古事記』とか『源氏物語』を原文で理解しようとしても困難なのと多分似ているのだろう。

フランス語についてはフランソワ・トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』『恋のエチュード』やジャン=リュック・ゴダール監督『気狂いピエロ』、ジャック・ドゥミ監督『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』などヌーベルバーグの作品理解に役立つだろうと考えた。イタリア映画もフェデリコ・フェリーニの『カビリアの夜』『甘い生活』『8 1/2』とかルキノ・ヴィスコンティ監督『山猫』『ルートヴィヒ/神々の黄昏』、あるいはジョゼッペ・トルナトーレ監督『ニュー・シネマ・パラダイス』なんか大好きだしね。クラシック音楽の楽譜も「アレグロ」とか「アダージョ」とか全てイタリア語で表記されている。

先日、テレビでNHK交響楽団の定期演奏会を視聴していたら音楽監督ファビオ・ルイージのインタビューがあった。彼はイタリア語で話していたのだが、その半分くらい何を言っているか聴き取れたので嬉しかった。

オーストリア・ウィーン在住のある日本人音楽家夫婦がYouTubeで語っていたのだが(夫はウィーン放送交響楽団に在籍)言語とその国の音楽には密接な関係があるのだという。確かにJ.S.バッハやベートーヴェンの音楽とドイツ語の硬い響き、ドビュッシーやラヴェルなど柔らかく曖昧模糊として拍子がはっきりしない印象派の音楽とフランス語には共通点がある。つまり言語学習は音楽理解にも役に立つ。

日本語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語。さて、次はどうしよう?いま取り組みたいと考えているのはラテン語。公用語としてはバチカン市国でしか話されていない特殊な言語である。映画『教皇選挙』では台詞に沢山取り入れられていた。イタリア語のルーツであり、イタリア人にとっては日本の中学・高校で古文を勉強するような感覚だろう。そしてフランス語とスペイン語もラテン語から派生した言語。だからヨーロッパの中学・高校ではラテン語が選択科目になっている。一般教養として重要なのだ。

レクイエムやその他のミサ曲など、宗教音楽は全てラテン語で歌われる。だから習得したい。ただし学習には難点があって、残念ながらNHKの語学講座にはないんだよね。しばらく独学でやってみよう。

何事を始めるのにも決して遅すぎることなどない。そうつくづく思う今日このごろである。僕はこのことをこよなく愛する大林宣彦監督の映画『はるか、ノスタルジィ』から学んだ。

(追伸)なお毎年恒例、年末の映画ベスト20(または30?)や来年のアカデミー賞大予想は実施する予定だ。乞うご期待。今年観た作品では『ワン・バトル・アフター・アナザー』『チェンソーマン レゼ編』『ハウス・オブ・ダイナマイト』『教皇選挙』『ウィキッド ふたりの魔女』『国宝』とか痺れたなぁ。あ、アカデミー作品賞・監督賞を受賞した『ANORA アノーラ』はイマイチ。

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2025年9月26日 (金)

柳家喬太郎なにわ独演会2025

9月21日(日)ドーンセンターホール@大阪市へ。

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昼の部

 ・ 柳家喬太郎:白日の約束 
 ・ 坂本頼光:無声映画『日の丸太郎武者修行の巻』『赤ずきん』
 ・ 柳家喬太郎:品川発廿三時廿七分(三遊亭圓朝 作『離魂病』より)

夜の部

 ・ 柳家喬太郎:梅津忠兵衛(小泉八雲 作)
 ・ 坂本頼光:無声映画『國士無双』(伊丹万作 監督)
 ・ 柳家喬太郎:鳥もつ煮込み

喬太郎は安定の面白さなのだけれど、今回なんといっても目をみはったのが坂本頼光の活弁。特に伊丹万作(伊丹十三の父)の『國士無双』(1932)はすっとぼけたコメディで秀逸の出来であった。もともとの上映時間は84分だが、現在見られるのは21分の短縮編集版であり、とても残念なことだ。

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2025年9月25日 (木)

柳家喬太郎独演会 IN 兵庫県立芸術文化センター 2025

5月17日(土)兵庫県立芸術文化センターへ。柳家喬太郎独演会を聴く。

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昼席(古典)

 ・柳家やなぎ:初天神
 ・柳家喬太郎:夢の酒
 ・玉川奈々福:陸奥間違い(浪曲)
 ・柳家喬太郎:寝床

夜席(新作)

 ・柳家やなぎ:ベランダ
 ・柳家喬太郎:侵略指南
 ・玉川奈々福:金魚夢幻(浪曲)
 ・柳家喬太郎:やとわれ幽霊

なんと!兵庫芸文で浪曲が口演されるのはこれが初めてだそう。

喬太郎は半年前に新潟に行ったとき、十二指腸潰瘍で緊急搬送され10日間入院したそう。その後禁煙していると。

トレードマークの白髪を真っ黒に染めていて驚いたのだけれど、劇団ラッパ屋の公演『はなしづか』に出演するための役作りだったと。共演は春風亭昇太、ラサール石井ほか。

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2025年3月 2日 (日)

2025年 アカデミー賞大予想! 

恒例の第97回 米アカデミー賞受賞予想である。2025年の授賞式は日本時間3月3日(月)午前9時から開催される。自信がある(鉄板)部門には◎を付けた。

 ・ 作品賞:『教皇選挙』
 ・ 監督賞:ショーン・ベーカー『ANORA アノーラ』◎
 ・ 主演女優賞:デミ・ムーア『サブスタンス』◎
 ・ 主演男優賞:ティモシー・シャラメ『名もなき者』
 ・ 助演女優賞:ゾーイ・サルダナ『エミリア・ペレス』◎
 ・ 助演男優賞:キーラン・カルキン『リアル・ペイン 心の旅』◎
 ・ 脚本賞(オリジナル):ジェシー・アイゼンバーグ『リアル・ペイン』
 ・ 脚色賞(原作あり):ピーター・ストローハン『教皇選挙』◎
 ・ 視覚効果賞:『デューン 砂の惑星 PART2』◎
 ・ 美術賞:ネイサン・クロウリー『ウィキッド ふたりの魔女』◎
 ・ 衣装デザイン賞:ホリー・ワディントン『ウィキッド』◎
 ・ 撮影賞:ロル・クローリー『ブルータリスト』◎
 ・ 長編ドキュメンタリー賞:ノー・アザー・ランド 故郷は他にない◎
 ・ 短編ドキュメンタリー賞:ザ・レディ・イン・オーケストラ NYフィルを変えた風
 ・ 編集賞:ニック・エマーソン『教皇選挙』◎
 ・ 国際長編映画賞:アイム・スティル・ヒア(ブラジル)◎
 ・ 音響賞:『デューン 砂の惑星 PART2』◎
 ・ メイクアップ賞:『サブスタンス』◎
 ・ 作曲賞:ダニエル・ブルンバーグ『ブルータリスト』◎◎◎
 ・ 歌曲賞:“El Mal”『エミリア・ペレス』
 ・ 長編アニメーション賞:野生の島のロズ
 ・ 短編アニメーション賞:フシギなフラつき
 ・ 短編実写映画賞:The Man Who Could Not Remain Silent

今年最大の博打は作品賞と主演男優賞である。巷では作品賞が『ANORA アノーラ』、主演男優賞は『ブルータリスト』のエイドリアン・ブロディが最有力と言われている。『ANORA アノーラ』を観たが、僕は作品賞にふさわしい内容と思えなかった。Sex workerが主人公で成人指定(R18+)されており、万人向けではない。面白い作品だし、カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを受賞するのは理解出来るのだけど。

『ブルータリスト』も『名もなき者』も鑑賞済みだが、ティモシー・シャラメの演技は本当に素晴らしかった。スターとしてのオーラがある。ティモシーがもし主演男優賞を受賞したら、現在29歳ということで『戦場のピアニスト』で受賞した時のエイドリアン・ブロディと最年少受賞タイ記録ということになる。

レオナルド・ディカプリオが『レヴェナント』で受賞したのが41歳、ブラット・ピットが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で受賞したのが56歳。イケメン男優に演技力があることを認めるのが余りにも遅すぎるという【ハリウッド業界人の悪癖】を、ここで打破すべきだ。女優の場合は20歳代でも惜しげもなくオスカーを与えるくせに(グウィネス・パルトロー【疑惑の】受賞は25歳、ジェニファー・ローレンスは22歳、シャーリーズ・セロンとエマ・ストーンは28歳、リース・ウィザースプーンは29歳)。まあ女優は【旬】が短いから早めに与えているというのはあるのだけれど。グウィネスは消えてしまったし、リースは最早映画スタジオからお声がかからないため、テレビ・シリーズに活路を見いだしている。

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2024年12月30日 (月)

2024年映画ベスト30+個人賞+今年はテレビドラマも!

毎年恒例、映画ベストを発表しよう。2024年に劇場で初公開された作品及び、Netflix, Amazon Prime Video, Max(日本ではU-NEXTと提携)などインターネットで配信された作品を対象とする。また今回は連続テレビドラマ(Limited Series)も特別賞として取り上げる。

配信まで待てばいいかと高をくくって見逃した作品がいくつかある。『パスト ライブス/再会』『侍タイムスリッパー』『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』『悪は存在しない』『グラディエーター2』『ロボット・ドリームズ』などは後日適宜追加していくだろう。

個人賞については2020年にベルリン国際映画祭で男優賞・女優賞という区別が廃止され、主演俳優賞・助演俳優賞に置き換えられた。日本でも毎日映画コンクールで今年から演技賞が統合され、男女を問わず主演・助演それぞれ2人までを選ぶ方法となり、そのシステムを当ブログでも採用することに決めた。

それではいってみよう。

 1.デューン 砂の惑星PART 2
 2.チャレンジャーズ
 3.ルックバック
 4.哀れなるものたち
 5.オッペンハイマー
 6.夜明けのすべて
 7.関心領域
 8.ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
 9.マッドマックス:フュリオサ
 10.  落下の解剖学
 11.異人たち
 12.  カラーパープル(ミュージカル版)
 13.ブリッツ ロンドン大空襲(アップルTV+配信)
 14.陪審員2番(ワーナー・ブラザース → Max → U-NEXT配信)
 15.ラストマイル
 16.エイリアン:ロムルス
 17.  ナミビアの砂漠
 18.ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽
   (ドキュメンタリー/ディズニープラス配信)
 19.ボーはおそれている
 20.ミッシング
 21.あんのこと
 22.アメリカン・フィクション(Amazon プライム・ビデオ配信)
 23.シビル・ウォー アメリカ最後の日
 24.憐れみの3章
 25.カラオケ行こ!
 26.瞳をとじて
 27.オーメン・ザ・ファースト
 28.デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション
 29.ジム・ヘンソン:アイディアマン
   (ドキュメンタリー/ディズニープラス配信)
 30.マリウポリの20日間(ドキュメンタリー/NHKで放送)
 31.  ツイスターズ
 32.Cloud クラウド
 33.18x2君へと続く道
 34.あのコはだぁれ?

特別賞(テレビドラマ部門)『ディスクレーマー 夏の沈黙』(アップルTV+)/『海に眠るダイヤモンド』(TBS)/『虎に翼』(NHK)/『地面師たち』(Netflix)/『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』(テレビ東京)

監督賞:ドゥニ・ヴィルヌーヴ(デューン 砂の惑星PART 2)/アルフォンソ・キュアロン(ディスクレーマー 夏の沈黙)
主演俳優賞(映画):エマ・ストーン(哀れなるものたち、憐れみの3章)/河合優実(あんのこと、ナミビアの砂漠、ルックバック)
主演俳優賞(Limited Series):ケイト・ブランシェット(ディスクレーマー 夏の沈黙)/豊川悦司(地面師たち)
助演俳優賞(映画):ジェシー・プレスモン(シビル・ウォー アメリカ最後の日)/マーク・ラファロ(哀れなるものたち)
助演俳優賞(Limited Series) :杉咲花(海に眠るダイヤモンド)/ピエール瀧(地面師たち)
脚本賞(オリジナル):野木亜紀子(ラストマイル、海に眠るダイヤモンド)
脚色賞(原作あり):トニー・マクナマラ(哀れなるものたち)
撮影賞:グリーグ・フレイザー(デューン 砂の惑星PART 2)/エマニュエル・ルベツキ、ブリュノ・デルボネル(ディスクレーマー 夏の沈黙)
作曲賞:ルドウィグ・ゴランソン(オッペンハイマー)
編集賞:マルコ・コスタ(チャレンジャーズ)
歌曲賞:幾田りら feat. ano「青春謳歌」(デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション)
美術賞:ショーナ・ヒース 、ジェームズ・プライス哀れなるものたち)
衣装デザイン賞:ホリー・ワディントン(哀れなるものたち)
音響賞:デューン 砂の惑星PART 2
視覚効果賞:デューン 砂の惑星PART 2
流行語大賞:ピエール瀧「もうええでしょう!」(地面師たち)

2024年はなんといっても河合優実の年だった。新たな才能の出現に震えた。

テレビドラマにおいては向田邦子賞受賞の二人、野木亜紀子(獣になれない私たち)と吉田恵里香(恋せぬふたり)が『海に眠るダイヤモンド』と『虎に翼』で大いに気を吐いた。最高傑作と言っても過言ではない。そして2025年、本家本元・向田邦子の『阿修羅のごとく』が是枝裕和監督の手でNetflexオリジナル・ドラマとして蘇る……感無量。

『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』で2度アカデミー作品賞・監督賞を受賞した巨匠クリント・イーストウッドの新作『陪審員2番』が劇場公開されず、12月20日に配信スルー(北米はMax、日本はU-NEXTで見放題)となったことに全世界の映画ファンは衝撃を受けた。紛れもなく堂々たる傑作だが、地味だし、低予算なので、仮に劇場公開したところで採算が取れる可能性はほとんどない。時代を象徴する事件だった。

『チャレンジャーズ』はキレッキレの編集とトレント・レズナー&アッティカスによる斬新な「テクノ」ミュージックが圧倒的に素晴らしい。僕は昔からテニスってとても「映画的」なスポーツだと思っていた。対戦する選手の表情の切返し(カットバック)、飛び散る汗、ラケットに弾き返されるボールの軌跡、左右に振られる観客の首の動き。そこにはリズムが生まれる。加えて本作は「ボール目線」という信じがたいショットもインサートされ、興奮はクライマックスへ。途轍もない体験だった。これが映画だ!

『異人たち』は山田太一の小説『異人たちとの夏』をイギリスを舞台に置き換えて翻案したものだが、大林宣彦監督版を上回る出来だったと思う。

『カラーパープル』はスピルバーグ監督版(1985)よりリメイク版に軍配を上げる。85年版の上映時間が2時間34分なのに対し、2023年版は2時間21分。通常ミュージカル化したら長くなるはずなのに、なんという手際の良さ。お見事。

ピクサーの『インサイド・ヘッド2』は期待外れ。物語として詰まらない。

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』前章・後章については、原作と異なるラストに僕は納得いかなかったのだが、後日発表されたアニメシリーズ版(全18話)の方が断然いい!オープニングでano×幾田りらが歌う新曲「SHINSEKAIより」もいい!!作詞・作曲は『デデデデ』の原作者・浅野いにお。大した才能だ。

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2024年12月13日 (金)

柳家喬太郎 なにわ独演会 2024

9月23日(月・祝)ドーンセンターホール@大阪市へ。昼夜通しで柳家喬太郎の落語を聴く。

昼の部

 ・ 柳家喬太郎:母恋いくらげ
 ・ 神田茜:初恋エンマ
 ・ 柳家喬太郎:居残り佐平次

夜の部

 ・ 柳家喬太郎:ウルトラのつる
 ・ 神田茜:あのころの夢
 ・ 柳家喬太郎:おせつ徳三郎

神田茜の創作講談は心底退屈だった。とにかく物語としてつまらない。時間の無駄。

喬太郎の新作『母恋いくらげ』は桂春蝶で2回聴いたことがあるが、本人が演じるのにめぐり逢うのはこれが初めてかも。あと『極道のつる』は知っているけど『ウルトラのつる』はお初だった。

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