2024年映画ベスト30+個人賞+今年はテレビドラマも!
毎年恒例、映画ベストを発表しよう。2024年に劇場で初公開された作品及び、Netflix, Amazon Prime Video, Max(日本ではU-NEXTと提携)などインターネットで配信された作品を対象とする。また今回は連続テレビドラマ(Limited Series)も特別賞として取り上げる。
配信まで待てばいいかと高をくくって見逃した作品がいくつかある。『パスト ライブス/再会』『ナミビアの砂漠』『侍タイムスリッパー』『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』『悪は存在しない』『グラディエーター2』『ロボット・ドリームズ』などは後日適宜追加していくだろう。
個人賞については2020年にベルリン国際映画祭で男優賞・女優賞という区別が廃止され、主演俳優賞・助演俳優賞に置き換えられた。日本でも毎日映画コンクールで今年から演技賞が統合され、男女を問わず主演・助演それぞれ2人までを選ぶ方法となり、そのシステムを当ブログでも採用することに決めた。
それではいってみよう。
1.デューン 砂の惑星PART 2
2.チャレンジャーズ
3.ルックバック
4.哀れなるものたち
5.オッペンハイマー
6.夜明けのすべて
7.関心領域
8.ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
9.マッドマックス:フュリオサ
10. 落下の解剖学
11.異人たち
12. カラーパープル(ミュージカル版)
13.ブリッツ ロンドン大空襲(アップルTV+配信)
14.陪審員2番(ワーナー・ブラザース → Max → U-NEXT配信)
15.エイリアン:ロムルス
16.ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽
(ドキュメンタリー/ディズニープラス配信)
17.ボーはおそれている
18.ラストマイル
19.ミッシング
20.あんのこと
21.アメリカン・フィクション(Amazon プライム・ビデオ配信)
22.シビル・ウォー アメリカ最後の日
23.憐れみの3章
24.カラオケ行こ!
25.瞳をとじて
26.オーメン・ザ・ファースト
27.デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション
28.ジム・ヘンソン:アイディアマン
(ドキュメンタリー/ディズニープラス配信)
29.マリウポリの20日間(ドキュメンタリー/NHKで放送)
30.Cloud クラウド
31.18x2君へと続く道
32.あのコはだぁれ?
特別賞(テレビドラマ部門)『ディスクレーマー 夏の沈黙』(アップルTV+)/『海に眠るダイヤモンド』(TBS)/『虎に翼』(NHK)/『地面師たち』(Netflix)/『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』(テレビ東京)
監督賞:ドゥニ・ヴィルヌーヴ(デューン 砂の惑星PART 2)/アルフォンソ・キュアロン(ディスクレーマー 夏の沈黙)
主演俳優賞(映画):エマ・ストーン(哀れなるものたち、憐れみの3章)/河合優実(あんのこと、ルックバック)
主演俳優賞(Limited Series):ケイト・ブランシェット(ディスクレーマー 夏の沈黙)/豊川悦司(地面師たち)
助演俳優賞(映画):ジェシー・プレスモン(シビル・ウォー アメリカ最後の日)/マーク・ラファロ(哀れなるものたち)
助演俳優賞(Limited Series) :杉咲花(海に眠るダイヤモンド)/ピエール瀧(地面師たち)
脚本賞(オリジナル):野木亜紀子(ラストマイル、海に眠るダイヤモンド)
脚色賞(原作あり):トニー・マクナマラ(哀れなるものたち)
撮影賞:グリーグ・フレイザー(デューン 砂の惑星PART 2)/エマニュエル・ルベツキ、ブリュノ・デルボネル(ディスクレーマー 夏の沈黙)
作曲賞:ルドウィグ・ゴランソン(オッペンハイマー)
編集賞:マルコ・コスタ(チャレンジャーズ)
歌曲賞:幾田りら feat. ano「青春謳歌」(デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション)
美術賞:ショーナ・ヒース 、ジェームズ・プライス(哀れなるものたち)
衣装デザイン賞:ホリー・ワディントン(哀れなるものたち)
音響賞:デューン 砂の惑星PART 2
視覚効果賞:デューン 砂の惑星PART 2
流行語大賞:ピエール瀧「もうええでしょう!」(地面師たち)
2024年はなんといっても河合優実の年だった。新たな才能の出現に震えた。
テレビドラマにおいては向田邦子賞受賞の二人、野木亜紀子(獣になれない私たち)と吉田恵里香(恋せぬふたり)が『海に眠るダイヤモンド』と『虎に翼』で大いに気を吐いた。最高傑作と言っても過言ではない。そして2025年、本家本元・向田邦子の『阿修羅のごとく』が是枝裕和監督の手でNetflexオリジナル・ドラマとして蘇る……感無量。
『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』で2度アカデミー作品賞・監督賞を受賞した巨匠クリント・イーストウッドの新作『陪審員2番』が劇場公開されず、12月20日に配信スルー(北米はMax、日本はU-NEXTで見放題)となったことに全世界の映画ファンは衝撃を受けた。紛れもなく堂々たる傑作だが、地味だし、低予算なので、仮に劇場公開したところで採算が取れる可能性はほとんどない。時代を象徴する事件だった。
『チャレンジャーズ』はキレッキレの編集とトレント・レズナー&アッティカスによる斬新な「テクノ」ミュージックが圧倒的に素晴らしい。僕は昔からテニスってとても「映画的」なスポーツだと思っていた。対戦する選手の表情の切返し(カットバック)、飛び散る汗、ラケットに弾き返されるボールの軌跡、左右に振られる観客の首の動き。そこにはリズムが生まれる。加えて本作は「ボール目線」という信じがたいショットもインサートされ、興奮はクライマックスへ。途轍もない体験だった。これが映画だ!
『異人たち』は山田太一の小説『異人たちとの夏』をイギリスを舞台に置き換えて翻案したものだが、大林宣彦監督版を上回る出来だったと思う。
『カラーパープル』はスピルバーグ監督版(1985)よりリメイク版に軍配を上げる。85年版の上映時間が2時間34分なのに対し、2023年版は2時間21分。通常ミュージカル化したら長くなるはずなのに、なんという手際の良さ。お見事。
ピクサーの『インサイド・ヘッド2』は期待外れ。物語として詰まらない。
『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』前章・後章については、原作と異なるラストに僕は納得いかなかったのだが、後日発表されたアニメシリーズ版(全18話)の方が断然いい!オープニングでano×幾田りらが歌う新曲「SHINSEKAIより」もいい!!作詞・作曲は『デデデデ』の原作者・浅野いにお。大した才能だ。
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