2026年7月22日 (水)

厳選!ミュージカル(舞台)のオールタイム・ベスト40

僕は今年、還暦を迎えた。初めて舞台ミュージカルを鑑賞してから40年以上になる。劇団四季(『ウエストサイド物語』@倉敷市民会館)を出発点として東宝ミュージカル、宝塚歌劇、三谷幸喜(『オケピ!』『新宿発8時15分』)、松尾スズキ&大人計画(『キレイ〜神様と待ち合わせした女』『キャバレー』)、音楽座ミュージカル(『リトルプリンス (星の王子さま) 』)、ホリプロステージ(『ピーター・パン』『DEATH NOTE The Musical』『生きる』『メリー・ポピンズ』)、劇団ひまわり(『銀河鉄道の夜』)、そしてブロードウェイやラスベガス(『オペラ座の怪人』)@アメリカ、ウエストエンド@イギリスなどでも観劇した。海外からの来日ツアー公演では『キャバレー』『コーラスライン』『エリザベート』『ロミオ&ジュリエット』『ヘアスプレー』『TOP HAT』に足を運んだ。またコルム・ウィルキンソン(『レ・ミゼラブル』初代バルジャン)、シンシア・エリヴォ(『カラーパープル』でトニー賞ミュージカル主演女優賞を受賞、映画『ウィキッド ふたりの魔女』で主人公エルファバを演じた)、ラミン・カリムルー(『オペラ座の怪人』ファントム/『レ・ミゼラブル』ジャン・バルジャン)、そして『RENT』オリジナル・キャストであるアンソニー・ラップ(マーク役)とアダム・パスカル(ロジャー役)らは来日コンサートで生歌を聴いた。

4stars

こうした経験から今までの自分の人生の集大成として当記事を書こうと思った。もしこれから新たにミュージカルを観たいと思っている若い人たちにとって何らかの羅針盤として役立つのなら幸いである。

ただし、僕の観劇歴には1つ留保すべき事項がある。それは今まで殆んど韓国産ミュージカルを無視してきたことだ。韓国が舞台ミュージカルに真剣に取り組み始めたのは、26年に及ぶ軍事政権が終わり文民政権が始まった1988年以降だから歴史が浅い。ちなみに正式なライセンス契約を結び、韓国人キャストによって初めてブロードウェイ・ミュージカルが上演されたのは1996年の"42nd Street"からである。

一方、日本における東宝ミュージカルの歴史は1963年帝国劇場における『マイ・フェア・レディ』が出発点なので実に四半世紀先んじている。さらに宝塚歌劇には110年以上の歴史がある(宝塚でブロードウェイ・ミュージカルが初めて上演されたのは1967年『オクラホマ!』から)。正直、韓国ミュージカルの実力を僕は舐めていた。故に2025年のトニー賞で韓国生まれの『メイビー、ハッピーエンディング』がミュージカル作品賞を受賞したことに衝撃を受けた。ストレート・プレイを含め日本の劇作家が手掛けた作品がブロードウェイの劇場で上演されたことは未だかつてない、皆無だ。我が国の演劇界の敗北を認めざるを得ない。不甲斐ない。今後は積極的に韓国産ミュージカルを観ていきたい。

前置きはこれくらいにしてまず【リスト】から。続いて【ひとつひとつ作品の解説】を書く。なお〈トップスリー〉に挙げた作品は、上から1,2,3位ではなく〈全部1位〉と解釈してもらって構わない。このレベルになると順位をつけ難い。以下5作品ごとに区切っているが、それぞれの枠内は昇順でなく、順不同と受け取って頂きたい。

原則1作曲家1作品に絞った。よってロイド=ウェバーの『キャッツ』も『ジーザス・クライスト・スーパースター』も『エビータ』も入っていない。またタイトル横の括弧()内は同じ作曲家、あるいは劇作家で代替可能な作品がある場合に示した。

【リスト(お品書き)】

〈トップスリー!:第1位〜第3位〉
オペラ座の怪人
エリザベート(↔ モーツァルト!)
ロミオ&ジュリエット

〈第4位〜第5位〉
ファン・ホーム
ファンタスティックス

〈第6位〜第10位〉
Merrily We Roll Along(↔ スウィーニー・トッド)
ポーの一族
キャバレー(↔ 蜘蛛女のキス)
ミス・サイゴン
ハミルトン

〈第11位〜第15位〉
ラグタイム(↔ アナスタシア)
ゴースト&レディ
パレード
シー・ラヴズ・ミー(↔ 屋根の上のヴァイオリン弾き)
銀河鉄道の夜

〈第16位〜第20位〉
ライオンキング
デスノート(↔ ジキル&ハイド)
プロデューサーズ
ラ・カージュ・オ・フォール
ジェーン・エア

〈第21位〜第25位〉
RENT
ノバ・ボサ・ノバ
回転木馬
コーラスライン
ガイズ&ドールズ

〈第26位〜第30位〉
42nd Street
春のめざめ
カン・カン
翼ある人びと-ブラームスとクララ・シューマン-
壁抜け男

〈第31位〜第35位〉
ジャージー・ボーイズ
ミー&マイ・ガール
ピーター・パン
ファントム
ウエスト・サイド物語

〈第36位〜第40位〉
クレイジー・フォー・ユー
オケピ!(↔ 新宿発8時15分)
ザ・ミュージック・マン
ある男
マイ・フェア・レディ

〈次点〉
ジプシー
ノートルダムの鐘
カム フロム アウェイ

【各論:作品ひとつひとつ紹介】

〈オペラ座の怪人〉

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イギリスの作曲家アンドルー・ロイド・ウェバーには『ジーザス・クライスト・スーパースター』『エビータ』『キャッツ』『サンセット大通り』など秀作が綺羅星のごとくある(ただし1996年『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド』以降は才能が枯渇し、駄作ばかり)。中でも突出した傑作が『オペラ座の怪人』である。ちょっと信じ難い完成度である。ジョエル・シューマッカーが監督した映画版もあるのだが、こちらはB級。ジェラルド・バトラー演じる怪人もイマイチ(当初はヒュー・ジャックマンがキャスティングされていたのだが、ミュージカル『ボーイ・フロム・オズ』ブロードウェイ出演と撮影時期が重なり降板した)。やはりハロルド・プリンスが演出した舞台版を観て欲しい。

〈エリザベート〉

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本作と『モーツァルト!』はオーストリア・ウィーン発のミュージカルである。どちらも作詞・台本:ミヒャエル・クンツェ、作曲:シルヴェスター・リーヴァイ。ただしこのコンビによるミュージカル『ベートーヴェン』は救いようのない駄作。『レベッカ』と『マリー・アントワネット』は、まぁ◯。『エリザベート』というとんでもない傑作を見つけてきて輸入した宝塚歌劇団は本当にエライ!宝塚版も東宝版も演出は小池修一郎だが、全く中身は違う。曲も一部異なっている。ウィーンからの引っ越し公演も観たが、日本版の方が優れていると断言出来る。因みに『モーツァルト!』の演出も小池だ。

〈ロミオ&ジュリエット〉

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シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』はオペラ化されたものとしてグノーやベッリーニの作品(『カプレーティ家とモンテッキ家』)が有名だが、これまで少なくとも40作品以上あると言われている(50作品近くという説もある)。他にもベルリオーズの劇的交響曲やプロコフィエフのバレエ音楽、チャイコフスキーの幻想序曲(管弦楽曲)もある。

因みにシェイクスピアの戯曲を基に作られたオペラは200作品以上あり、最も多いのが『ロミオとジュリエット』、次が『ハムレット』で30作品以上あるらしい。

ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』はジェラール・プレスギュルヴィックが作詞・作曲し、2001年フランスのパリで初演された。日本では小池修一郎が潤色・演出し、2010年宝塚星組が梅田芸術劇場で初演した。後に東宝版が上演され、後者も小池修一郎が演出。パリからの引っ越公演も観たが日本版は遜色なし。

〈ファン・ホーム〉

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2015年のトニー賞でミュージカル作品賞・台本賞・楽曲賞・主演男優賞・演出賞の5部門を受賞した。アリソン・ベクダルが書いた自伝的漫画(グラフィックノベル)を原作とし、レズビアンの女性を主人公とするミュージカルはこれがブロードウェイ史上初。作詞・台本・作曲を全て女性が手掛けた。主人公アリソンを3人の女優が演じる(社会人・大学生・小学生)。単なる回想形式ではなく、彼女らは同時に舞台に存在する。僕はこの手法にとても感銘を受けた。過ぎ去り死に向かう現在と、保存され、生の核を保持する過去は絶えず干渉しあい、交差しあう。アリソンはこの空間=記憶の中を自由に飛翔し、また戻ってくるのである。

〈ファンタスティックス〉1960年5月3日の初演以来、実に40年以上の長きに渡りオフ・ブロードウェイでロングランされていた(ロンドンの「ねずみとり」みたいなもの)。 ところが2001年9月11日にニューヨークで同時多発テロが勃発。観光客が激減し、そのあおりを受けて翌年の2002年1月13日に閉幕してしまう。本作を観て毎回思うのは「これぞミュージカルの原点!」ということ。落下してくるシャンデリアとか、左右舞台袖から登場し中央で合体する巨大バリケードとか、天井から舞い降りてくる実物大ヘリコプターとか、ド派手でスペクタクルな仕掛けはミュージカルに必ずしも必要ではなく、簡素な装置で美しい歌があり達者な演者さえいたらそれでいいんだ、ということ。宮本亜門の演出が素晴らしかった。後に彼はウエストエンド@ロンドンでも『ファンタスティックス』の演出を手掛けることになる。

〈Merrily We Roll Along〉

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泣く子も黙る大御所スティーヴン・ソンドハイムが作詞・作曲を手掛けた名作である。ソンドハイムの傑作といえば『ア・リトル・ナイト・ミュージック』『カンパニー』『スウィーニー・トッド』『太平洋序曲』『イントゥ・ザ・ウッズ』『パッション』『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ(日曜日にジョージと公園で)』など枚挙にいとまがないが(以上全て鑑賞済)、中でも衝撃を受けたのは『Merrily We Roll Along』だった。舞台の進行と共に物語は時間を遡っていく。こんなの観たことない!!『オペラ座の怪人』のハロルド・プリンスが演出した初演は52回のプレビュー、そしてたった16回の本公演で幕を閉じた。惨敗だった。しかし仕方がない、中身が前代未聞、斬新すぎたのだ。現在、リチャード・リンクレーターがポール・メスカル主演で映画を製作中なのだが、なにしろ『6才のボクが、大人になるまで。』と同様の方法で20年間かけて撮影中で、公開予定が2040年頃ということだから気が遠くなる話だ。それまで出演者やリンクレーター本人が生きているのかすら定かではない。

『スウィーニー・トッド』も凄い作品だ。こちらはジョニー・デップ主演でティム・バートンが監督した映画の出来も上々なのでお勧め。基本的にソンドハイムの舞台ミュージカルは宮本亜門の演出がいずれも出来が良い。日本で上演されていた『太平洋序曲』をたまたま来日中だったソンドハイムが観て、ブロードウェイでのリバイバル上演時に宮本を推薦したというエピソードはあまりにも有名。

〈ポーの一族〉

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宝塚歌劇が生み出したミュージカルの最高傑作。台本・演出は歌劇団のエース・小池修一郎。小池は歌劇団の演出家になって間もない頃に、原作漫画を書いた萩尾望都とミュージカル化の約束を交わしていて、正にライフワーク/集大成的作品となった。初演でエドガーを演じた明日海りおは、まるで漫画の中から飛び出してきたかのようだった。幽玄、かつ耽美。とにかく観ろ!観ればわかる。以上。

〈キャバレー〉1929年、ナチス・ドイツが台頭する前夜のベルリン。「キット・カット・クラブ」が舞台となる。ちなみにアドルフ・ヒトラーが首相に就任するのは1933年1月30日。『キャバレー』はベルトルト・ブレヒトが戯曲を書き、クルト・ヴァイルが作曲した音楽劇『三文オペラ』を踏まえた作品であり、鑑賞の手引きとしてそちらの方もぜひ抑えておきたい。両者の関係性を示す動かしがたい証拠として、1966年の『キャバレー』初演時にロッテ・レーニャがキャスティングされていたことが挙げられる。『三文オペラ』は1928年にベルリンの劇場で初演され、ロッテ・レーニャは娼婦のジェニーを演じた。彼女はクルト・ヴァイルの妻でもあった。

『キャバレー』は映画化され、アカデミー賞でライザ・ミネリが主演女優賞、ボブ・フォッシーが監督賞を受賞しており、確かに優れてはいるのだがロッテ・レーニャが演じた下宿屋の主人フロウライン・シュナイダーとユダヤ人果物店店主シュルツとの老いらくの恋のエピソードとか、ふたりの歌がばっさりカットされており映画しか知らない人は是非舞台版も観て欲しい。ちなみにクルト・ヴァイルはユダヤ人でナチスの台頭とともにアメリカに亡命、ブロードウェイの作曲家に転身した。

ジョン・カンダー(作曲)とフレッド・エブ(作詞)のコンビ作なら『蜘蛛女のキス』もお勧め。『シカゴ』も彼らの作品だよ。

〈ミス・サイゴン〉クロード=ミシェル・シェーンベルク(作曲)とアラン・ブーブリル(台本・作詞)のコンビは何と言っても『レ・ミゼラブル』が有名だが、僕は断然『ミス・サイゴン』を推す。ベトナムを舞台にプッチーニの歌劇『蝶々夫人』を下敷きにしている。プッチーニといえば『ラ・ボエーム』を基に『RENT』が生まれるなど、ミュージカルと縁が深い。

 ・  僕とミュージカル「レ・ミゼラブル」、愛憎の20年 (+オールタイム・ベスト・キャスト選出あり) 2012.11.23

〈ハミルトン〉作詞・台本・作曲・主演はリン=マニュエル・ミランダ。トニー賞で史上最多16ノミネートを獲得し、11部門受賞。さらにピューリッツァー賞(戯曲部門)に輝いた。因みにピューリッツァー賞を受賞したミュージカルは『南太平洋』『努力しないで出世する方法』『コーラスライン』、『RENT』、そしてソンドハイムの『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』などがある。現時点で『ハミルトン』がヒップホップ・ミュージカルの最高傑作であるのは間違いない。

アメリカ建国史が手によるように分かるし、ジョージ・ワシントンなど建国の父は全員白人で、その多くが荘園(プランテーション)を持ち黒人奴隷を使役していた。その彼らを全員〈非白人〉が演じるというコンセプトが面白い。故に白人至上主義者であるドナルド・トランプが本作を気に入らないのは当然のことであり、首都ワシントンにあるケネディ・センターで上演される予定だった『ハミルトン』を彼が阻止したのはこういう事情があったのである。なお本作はオジリナル・キャストで上演された公演を完全収録した映像をディズニープラスで観ることが出来る(日本語字幕付き)。

〈ラグタイム〉

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本作が不幸だったのは、初演が『ライオンキング』の年と重なり、トニー賞のミュージカル作品賞や演出賞などをあちらに攫われてしまったことである(『ラグタイム』は台本・楽曲賞などを受賞)。しかし2026年のトニー賞ではミュージカル・リヴァイヴァル作品賞・主演女優賞・主演男優賞に輝いて気を吐いた。

日本での上演までになんと25年もかかってしまった。最大の難問は民族の衝突を主題にしているから。つまりWASP(ホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタント)、ラトビアなど北欧や東欧から舶来したユダヤ系移民、そして黒人(アフリカ系アメリカ人)の3つのグループが登場する。しかし、これを軽々とクリアした藤田俊太郎の演出(発想)は素晴らしかった!

 ・  石丸幹二・安蘭けい・井上芳雄 /ミュージカル「ラグタイム」待望の日本初演! 2023.10.15

〈ゴースト&レディ〉劇団四季オリジナル・ミュージカル『ゴースト&レディ』は隔月誌「ミュージカル」において18名の評論家やジャーナリストの選考による2024年ミュージカル・ベストテンで【作品部門】第1位、【演出家部門】でスコット・シュワルツが第2位(第1位は『この世界の片隅に』の上田一豪)、主演の谷原志音が【女優部門】第3位、萩原隆匡が【男優部門】第6位に選出された。またMusical Awards TOKYO 2024 プレシーズンでは大賞・脚本賞・作曲賞・音楽監督(編曲)賞を受賞している。

紛れもなく本作は劇団四季オリジナル・ミュージカルの最高傑作である。台本も音楽も文句なし!世界で勝負出来る作品に仕上がった。

浅利慶太時代の『李香蘭』『ドリーミング(青い鳥)』などは箸にも棒にもかからないお粗末な代物だった。比較的『夢から醒めた夢』は鑑賞に耐えうるものだったが、戦争、災害、飢餓などで亡くなった子供たちの幽霊が沢山いる霊界空港の場面には鼻白んだ。こんな取ってつけたようなエピソード要る??ー浅利は作劇の才能が皆無だった、と心底思う。演歌・歌謡曲が専門の三木たかし(津軽海峡・冬景色/夜桜お七)に作曲を依頼するというセンスもいただけない。

『ゴースト&レディ』の成功は2018年4月に劇団内に新設された企画開発室の功績が大きいだろう(浅利は2014年に退任した)。ここから他に『バケモノの子』『ロボット・イン・ザ・ガーデン』等が生み出されている。

〈パレード〉1913年アメリカ南部のアトランタを舞台にユダヤ人差別を背景にした冤罪事件(実話)を描いているが、非常に似た話で映画「死刑台のメロディ」(1971)がある。これは1920年アメリカ北部マサチューセッツ州で実際に起こったイタリア移民サッコとヴァンゼッティ冤罪事件を扱っている。救いのない、陰惨な物語で、よくぞこれをミュージカルにしたな!と思った。トニー賞では最優秀台本賞、楽曲(作詞・作曲)賞を受賞。森新太郎の日本版演出が鮮烈で心に突き刺さった。

 ・  石丸幹二&堀内敬子(久々の)共演、そして衝撃的傑作!〜ミュージカル「パレード」 2017.06.14

〈シー・ラヴズ・ミー〉本作は1963年にブロードウェイで初演され、僕は涼風真世、市村正親の主演で何度か観た。その後、新演出/別キャストで再演されている。作詞:シェルドン・ハーニック、作曲:ジェリー・ボックのコンビは1964年に初演された『屋根の上のヴァイオリン弾き』を生み出したことでも世界中にその名を轟かせている。20世紀初頭、帝政ロシアの圧政下、ウクライナ地方に生きるユダヤ人一家の運命を追う(ポグロムも描かれる)不朽の名作『屋根の上のヴァイオリン弾き』は大好きなミュージカルで、市村正親主演で再演される度に観劇しているのだが、ここは涙を呑んで『屋根〜』ほど知られていない『シー・ラヴズ・ミー』を紹介したい。

本作はクリスマスを舞台に展開される心温まるロマンティック・コメディで、元になったのは1940年エルンスト・ルビッチ監督の映画『The Shop Around the Corner』。日本未公開で、ビデオ発売時の邦題は『街角 桃色の店』。この映画の原作はハンガリーの劇作家ミクローシュ・ラーズローが執筆し、1937年ブタペストで初演された戯曲 "Illatszertár(英題 Parfumerie)" である。

映画『恋人たちの予感』で脚本を書き、『めぐり逢えたら』で監督にも進出したノーラ・エフロンの両親は二人とも脚本家で、ミュージカル映画『回転木馬』『足ながおじさん』『ショウほど素敵な商売はない』のシナリオを共同で執筆している。ノーラは少女時代、クリスマスの時期になると両親に連れられ劇場で『シー・ラヴズ・ミー』を観て幸福感に包まれた思い出があり、その記憶を元にメグ・ライアンとトム・ハンクス主演で『ユー・ガット・メール』の脚本・監督をした。文通というガジェット(小道具)がメールに翻案された、というわけ。

〈銀河鉄道の夜〉

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これは劇団ひまわりが創り上げたミュージカルで、僕は大阪桐蔭高等学校吹奏楽部の定期演奏会で初めて出会った。

 ・ 大阪桐蔭高等学校吹奏楽部 定演/ミュージカル「銀河鉄道の夜」〜宮沢賢治の深層心理にダイブする。 2017.02.21

劇団ひまわり版はDVDを購入して鑑賞。主人公が石川由依だったのでびっくり仰天した。後に彼女は声優となり、『進撃の巨人』のミカサ・アッカーマンや『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主人公(タイトルロール)で名を馳せた。

西村友の音楽がしみじみ良い。

〈ライオンキング〉『美女と野獣』の舞台ミュージカル版を観たときは、「所詮子供だまし。つまらん」と思った。しかしトニー賞授賞式における『ライオンキング』のパフォーマンス(冒頭部)は息を呑んだ。アニメとは全く別物。凄い。女性として初めてトニー賞でミュージカル演出賞を受賞したジュリー・テイモアの手腕にただひれ伏すのみ。インドネシアのワヤン・クリット(影絵芝居)、バリ島の仮面舞踊劇トペン、文楽人形(パペット)など様々な手法を駆使し、圧巻である。

しかしその後、ジュリー・テイモアはブロードウェイ・ミュージカル「Spider-Man Turn Off The Dark」の演出に起用されるも制作が遅れ度重なる公演の延期、膨れ上がった予算、相次ぐキャストの負傷、散々な前評判で本公演前に解雇された。ブロードウェイの長い歴史のなかでも最も多くのトラブルに見舞われた作品として今では知られている。

〈デスノート〉本作はそもそも物語自体がむっちゃ面白いし、ミュージカルの台本の完成度も高く、フランク・ワイルドホーンの音楽も極上。ワイルドホーン作品としては初期の『ジキル&ハイド』も捨てがたい魅力がある。人格が分裂して歌うソロ・ナンバーなんか最高!

〈プロデューサーズ〉1968年にメル・ブルックスが監督した映画『プロデューサーズ』はコメディの傑作として名高い。それをメル・ブルックス自身が製作・脚本・作詞・作曲を務めたミュージカル『プロデューサーズ』は2001年に初演され、トニー賞で12部門をかっさらった。僕はこの年にブロードウェイで全オリジナル・キャストが揃った公演を観劇しており、抱腹絶倒の面白さだった(9・11同時多発テロの約2週間前の話だ)。後に演出を担当したスーザン・ストローマンが監督を務め、ネイサン・レインやマシュー・ブロデリックなどオリジナルキャストも多数出演した映画版が2005年に公開されたのだが、こちらは救いようがない駄作(flop)。スーザン・ストローマンには全く映像センスがなく、その後再び彼女が映画を撮ることもなかった。今にして思えば『ハミルトン』みたいに劇場でのパフォーマンスをそのまま映像に記録した方が良かったのではないだろうか?

〈ラ・カージュ・オ・フォール〉1973年に上演されたフランスの舞台劇をミュージカル化。その前に映画化もされており、原題はそのままなのだが、日本では『Mr.レディ Mr.マダム』というとんでもない邦題で公開された。ゲイのカップルが養子を迎えている設定なのだが、実は『マイ・フェア・レディ』も同様な構造なのではないかということに最近気が付いた!つまりヒギンズ教授とピカリング大佐というゲイカップルがイライザを養子として迎えるという物語。そう考えればヒギンズ最後の台詞「私のスリッパはどこだい?(Where the devil are my slippers? )」に納得がいく。どう見ても喧嘩した恋愛中の男女の会話とは思えないし。

〈ジェーン・エア〉僕は激情に駆られたようなブロンテ姉妹の小説『嵐が丘』と『ジェーン・エア』が大好きだ。そしてミュージカル『ジェーン・エア』は脚色が上手くよくまとめてあるしポール・ゴードンの音楽も◯。ジョン・ケアード(台本・作詞・演出)がお見事であった。日本のダブル・キャスト上白石萌音/屋比久知奈 のどちらも良い。

〈RENT〉山本耕史が主演した日本語版初演を僕は観ているのだが、当時はどうも本作の良さが理解不能だった。その後オリジナル・ブロードウェイ・キャストが多数出演した映画版(『ホーム・アローン』『ハリー・ポッター』シリーズのクリス・コロンバス監督)や、Blu-ray『レント・ライヴ・オン・ブロードウェイ』を観て、初めて真価が分かった。ストレートやゲイなどの性指向の違い、白人・黒人・ヒスパニックといった人種の違いなど多様性(diversity)が重大なモチーフとなっているので、日本人キャストだけだとそのニュアンスが十分に描き切れないのだ。それは『ウエスト・サイド物語』や『イン・ザ・ハイツ』でも同様だろう。そういう意味でとてもアメリカ的なミュージカルである。

〈ノバ・ボサ・ノバ〉宝塚歌劇はしばしば〈芝居(ミュージカル)〉+〈ショー(レビュー)〉という二本立てで興行するのだが、芝居の代表作が『ポーの一族』なら、ショー(レビュー)の最高傑作は間違いなく鴨川清作(作)『ノバ・ボサ・ノバ』である。異論は認めない。ショーで次にお勧めなのは荻田浩一(作)『パッサージュー硝子の空の記憶ー』かな?『ノバ』は宝塚歌劇にしか成し得ない、途轍もない作品である!観ていてその迫力に圧倒されること間違いなし。

〈回転木馬〉ロジャース&ハマースタイン2世のコンビで1つ選ぶなら、やはりこれかな?『サウンド・オブ・ミュージック』は映画の出来が良すぎるのであって、舞台版はそれほどじゃない。ただ『回転木馬』は父親が娘をひっぱたく場面があったり(しかも肯定的に描かれる)、現代人の価値観から言って「それはどうなの?」という複雑な気持ちになることも確かである。それは白人しか出てこない『オクラホマ!』も同じだ。

劇中のナンバー"You'll never walk alone"は感動的な名曲で今ではサッカー・ファンにとってのアンセムになっている。

〈コーラスライン〉泣く子も黙る名作中の名作。パンチが効いたマーヴィン・ハムリッシュの音楽は文句なし。ただ、複数の登場人物がバレエ映画『赤い靴』の話をするので、予めそちらの方も観ておいた方が感動が増すかも。リチャード・アッテンボロー監督による映画版の出来も良く、舞台版にはない新曲がある。

〈ガイズ&ドールズ〉僕は三度、宝塚歌劇版(2002年月組/2015年星組/2025年月組)を楽しんで来たのだが、『野郎どもと女たち』という邦題で公開された映画版(マーロン・ブランド、フランク・シナトラ主演)もすこぶる出来が良い。ニューヨークを舞台に粋で洒脱な作品である。

〈42nd Street〉兎に角、タップ・タップ・タップ!! (←言うまでもなくtap danceのことね)

〈春のめざめ〉トニー賞でミュージカル作品賞を筆頭に8部門受賞。青春の爆発する、暴走するエネルギーが溢れんばかりに描かれる。僕はこれを東京の劇団四季・自由劇場で観たのだが、主人公メルヒオールを演じた柿澤勇人に「スターを見つけた!」と一目惚れした。彼の演技は突出していた。カッキーはご承知の通り、その後まもなく劇団四季を辞め、今や『ジキル&ハイド』や「ディア・エヴァン・ハンセン』などで大活躍している。

 ・  「春のめざめ」と現代ブロードウェイ・ミュージカル論 (2009年9月@東京)

〈カン・カン〉コール・ポーターが作曲した傑作。1996年宝塚月組が久世星佳と風花舞主演で上演したのだが、その後全く再演されていない。大好きなミュージカルなのでとても残念だ。兎に角、クルクル舞う風花を観ているだけで気持ちよく、幸福感に浸った。

〈翼ある人びと-ブラームスとクララ・シューマン-〉宝塚歌劇団がシアター・ドラマシティで上演した作品。作・演出:上田久美子の才能に心底惚れた。彼女が早期退団してしまったのが残念でならない(理不尽な言いがかりをつけられ歌劇団を去らねばならなかった原田諒も!!)。

〈壁抜け男〉劇団四季が福岡シティ劇場で日本初演したフランス産ミュージカル。初日に僕は劇場にいた。作曲は『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』で有名なミシェル・ルグラン。四季の地方公演としては珍しく生演奏(通常はカラオケ)だったのだが、これは奏者が3人という少人数だから実現したのだろう。地味だけど滋味深い愛すべき小品。

〈ジャージー・ボーイズ〉ジャンルとしては『マンマ・ミーア!』同様、ジュークボックス・ミュージカルである。トニー賞でミュージカル作品賞受賞。日本版は『ラグタイム』の藤田俊太郎による演出が隙がなく、そしてアッキーこと中川晃教のパフォーマンスに打ちのめされること間違いなし。いやもう言葉を失う⋯⋯。クリント・イーストウッド監督が手掛けた映画版も極上の出来。

〈ミー&マイ・ガール〉よく『マイ・フェア・レディ』の男性版と言われるのだが、初演は本作の方が先(1937年)。但し、『マイ・フェア・レディ』の原作であるジョージ・バーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』は1913年初演なので、そちらを参考にした可能性は否めない。能天気で底抜けに明るいハッピー・ミュージカルである。

〈ピーター・パン〉何と言っても本作の魅力はフライングである。日本ではホリプロが昔から上演しており、そこから笹本玲奈・高畑充希・唯月ふうかといったスターたちが羽ばたいて行った。

〈ファントム〉もう一つの『オペラ座の怪人』。どちらもガストン・ルルーの同じ小説を原作としている。本作の出来は優れているのに、アンドルー・ロイド・ウェバー版が先行したために、気の毒なことにオン・ブロードウェイに進出出来なかった。アメリカよりもむしろ日本の方で愛されている作品ではないだろうか?ロイド・ウェバー版がファーザー・コンプレックスの話であることに対し、本作はマザー・コンプレックスの物語になっているという点が実に興味深い。作曲したモーリー・イェストンの作品としては『グランド・ホテル』や『タイタニック』もお勧め。

〈ウエスト・サイド物語〉僕は劇団四季版も宝塚歌劇版も生で観ているのだが、正直作品が既に古すぎると思う。民族対立の話なのに日本人だけで演じることにも無理がある。映画はロバート・ワイズ監督とスティーヴン・スピルバーグ監督の2つのバージョンが有り、どちらも傑作なのでそれで十分だろう。舞台版は必要なし!!

〈クレイジー・フォー・ユー〉ガーシュウィンの名曲の数々が堪能出来る。正直プロットには無理があると思うが、ハッピーな気持ちになれる作品なので大目に見ようではないか⋯⋯だってタップ・ダンスが大好きだから。

〈オケピ!〉三谷幸喜が台本を書いたミュージカルとしては2026年に初演された『新宿発8時15分』も緻密に伏線が張り巡らされた作品で感銘を受けたが、音楽に関しては服部隆之が作曲した『オケピ!』に軍配を上げる。初演時に指揮者(主人公)を演じた真田広之が素晴らしく、DVD/Blu-rayとして発売されなかったことがとても残念だ(市販されなかったが映像は残っている筈)。三谷は本作で第45回岸田國士戯曲賞を受賞した。

〈ザ・ミュージック・マン〉僕は2001年にブロードウェイでスーザン・ストローマンが振付・演出したリヴァイヴァル版を観劇したのだが、正直今一つだった。しかし2023年坂本昌行主演で観た公演は凄く良かった(演出:ダニエル・ゴールドスタイン/振付:エミリー・モルトビー)。1957年に初演され、トニー賞でミュージカル作品賞・演出賞・主演男優賞(ロバート・プレストン)など5部門受賞。同じ年に初演された『ウエスト・サイド物語』を抑えての快挙だった。ロバート・プレストンは62年の映画版にも出演、そちらの出来もすこぶる良い。

〈ある男〉映画にもなっているが、よくぞこれだけ難しいテーマ(社会問題)の小説をミュージカルにしたもんだと感心した。ホリプロ偉い!ジェイソン・ハウランドはミュージカル『若草物語』などブロードウェイでも活躍する作曲家であり質が高い。

〈マイ・フェア・レディ〉

Kanda

イライザを大地真央が演じている間は「絶対観に行かない!」と誓いを立てていた。漸く神田沙也加になり若返ったと喜んでいた最中⋯⋯。彼女が投身自殺をしたのは『マイ・フェア・レディ』札幌公演中に宿泊していたホテルだった。その後、大阪公演が予定されており僕はそのチケットを持っていた。ダブルキャストの朝夏まなとが代演すると発表があったものの到底劇場に足を運ぶ気にもなれず払い戻しをした。考えてみれば僕は神田沙也加がミュージカル女優としてデビューした『イントゥ・ザ・ウッズ』(宮本亜門演出)も東京で観ていた。可憐で素敵な赤ずきんちゃんだった。

〈ジプシー〉究極のステージ・ママ(stage mother)を主人公とする実話である。毒親の物語とも言える(マイケル・ジャクソンの父親を彷彿とさせる)。このローズというキャラクターが強烈であり、今まで沢山の大女優が演じてきた。初演のエセル・マーマンを筆頭にアンジェラ・ランズベリー、バーナデット・ピーターズ、パティ・ルポーン、オードラ・マクドナルドなど錚々たるメンツである。TV版のベット・ミドラーも良かった。日本では現在、大竹しのぶが演じており見応えあり。

〈ノートルダムの鐘〉僕は本作がアラン・メンケンの最高傑作だと確信している。特にクワイヤ(聖歌隊)によるコラール(讃美歌)の美しさが素筆舌に尽くしがたい!ディズニー・アニメでは無理やりハッピー・エンドに改変されてしまい「なんだかなぁ」だったが、舞台版はヴィクトル・ユーゴーの原作通り、悲劇的な幕切れとなっている。

〈カム フロム アウェイ〉2001年9月11日、アメリカ同時多発テロが発生し、全米の領空が閉鎖された。その日、カナダの小さな町に何が起こったか?を描く実話。目の付け所が素晴らしく、これは企画の勝利である。舞台を丸ごと収録した映像作品がアップルTVから配信されている。

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2026年4月10日 (金)

大阪桐蔭高等学校吹奏楽部 定期演奏会 2026(思い出の「アナと雪の女王」「ライオンキング」)

3月15日(日)フェスティバルホールへ。大阪桐蔭高等学校吹奏楽部定期演奏会(最終公演)を聴く。指揮は監督の梅田隆司先生。

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 I部

 ・ミュージカル「アナと雪の女王」
 ・ミュージカル「ライオン・キング」

II部

 ・ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」より
 ・吹奏楽部21年間の歩み(郷間幹男 編曲「嵐メドレー」)
 ・甲子園応援コーナー〜リクエストコーナー
 ・卒業生を送る歌(ゆず「友 〜旅立ちの時〜」)
 ・Superfly「愛をこめて花束を」
 ・フィナーレ(「銀河鉄道999」「星に願いを」「Sing Sing Sing」)

今年の1月10日まで定演でミュージカル『キャッツ』をする予定だったが、梅田先生が姪っ子に訊ねると「それ知らない。『ライオンキング』ならよく知ってる」と反応があり、急遽演目を変更したそう。学校は今回の演目のために4台の3Dプリンターを購入した。それにより、『アナと雪の女王』のオラフ(雪だるま)や『ライオンキング』に登場するライオンのお面、キリン、プンバァ(イボイノシシ)などの造形が素晴らしく、ブロードウェイ版と比べても遜色ないと思った。またアナとエルサが着る、青と緑のドレスが洗練されたデザインでとても美しく、息を呑んだ。

『アナ雪』のナンバー〈雪だるまつくろう〉〈生まれてはじめて〉を久しぶりに聴きながら、いろいろなことが頭の中を走馬灯のように駆けめぐった。真っ先に目に浮かんだのがアニメの日本語吹替版を担当した神田沙也加だ。彼女が18歳で舞台デビューしたミュージカル『イントゥ・ザ・ウッズ』(スティーヴン・ソンドハイム作詞・作曲)の赤ずきんちゃん役を僕は東京で観ており(可憐だった!)、最後に出演したミュージカル『マイ・フェア・レディ』大阪公演のチケットも持っていた。しかし大阪に来る前の札幌公演で彼女は宿泊していたホテルから飛び降り自殺してしまった。痛ましいことだ。愛着障害が原因と考えられ(共演していた前山剛久の言動はトリガーでしかなく、根はもっと深い)、幼少期に受けた心の傷(両親の不在)は大人になっても癒やされないのだということを思い知らされた。彼女が14歳の頃から大地真央のことを「ママ」と呼び慕っていたというエピソードが胸に刺さる。『アナと雪の女王3』は2027年に公開予定だが、アナの吹替は誰がするのだろう?考えただけでも胸がキュッとなる。

『アナ雪』が2014年3月に日本で公開された当時僕は劇場で3D上映を観たと記憶している。雪が立体的に降り落ちてくるのが印象的だった。あの頃は3Dがブームだったが、3D眼鏡が煩わしいからなのか現在は完全に下火になった。特にアニメの3D上映って皆無なのでは?

また映画が公開された年、紅白歌合戦で『アナ雪』コーナーがあり神田も出演したが〈ありのままで〉を歌ったのはMay J.であり、エルサ役の松たか子はこの曲を一度もTVの歌番組で披露していない。あくまで声優としての契約であり、どうやら生歌を披露するにはディズニーからの許可が必要らしい(それを一手に引き受けているのがMay J.というわけ)。

『アナ雪』は一応アンデルセンが原作ということになっているが、映画『ウィキッド ふたりの魔女』を観てむしろミュージカル『ウィキッド』を徹底的に研究し作劇しているのだな、ということにはたと気付いた。『ウィキッド』のエルファバとグリンダの友情=シスターフッドが、エルサとアナという文字通り姉妹の関係に置き換えられており(アンデルセン童話に姉妹は登場しない)、『ウィキッド』第一幕のクライマックスで歌われる"Defying Gravity"を基に『アナ雪』の名曲"Let It Go"〈ありのままで〉が生まれた。歌詞の内容は殆んど同じである。両者の繋がりの決定的証拠は舞台版『ウィキッド』のエルファバ初演キャストであるイディナ・メンゼルが『アナ雪』英語版でもエルサのアフレコを担当し、"Let It Go"〈ありのままで〉を歌っていること。因みにイディナ・メンゼルは伝説的傑作ミュージカル『レント』モーリーン役のオリジナル・キャストであり、映画『ウィキッド ふたりの魔女』でもエメラルド・シティの場面でグリンダ役だったクリスティン・チェノウェスと一緒にカメオ出演している。

というわけで梅田先生、いつか大阪桐蔭の定演でも『ウィキッド』を取り上げてください!

それからオラフの日本語吹替は元々ピエール瀧だったのだが、2019年に麻薬取締法違反容疑で逮捕された後はオラフの声を差し替えたものが配信・販売されている。よってピエール瀧バージョンは今や幻となってしまった。なおテレビ出演も出来なくなった彼はその後『全裸監督』『地面師たち』『新幹線大爆破』などNetflix専属俳優として大活躍している。こうしたキャンセル・カルチャーは本当に愚かなこと。ディズニーには猛省を促したい。

『ライオン・キング』演奏前に梅田先生が「先日劇団四季の公演を家族と観てきましたが、うちの方が優れているという自信があります」と仰った。その根拠の一つとして劇団四季はオーケストラが録音音源であり、大阪桐蔭は迫力のある生演奏であることを挙げておられた。

ここで少し補足説明をしておきたい。1998年12月20日(日曜日)『ライオンキング』東京公演初日、僕は四季劇場[春]の客席にいた。これがこけら落としだった。その時はブロードウェイと同様、全てが生演奏だった。

調べてみると劇団四季『ライオン・キング』が東京限定で生オーケストラ演奏を実施していたのは2011年までだっようだ。つまりその年の3月11日に東日本大震災があり公演を一時休止。再開にあたり節電への協力や公演維持の安定性を考慮する形で、現在のスタイル〈(管弦楽器は)カラオケ+客席左右のバルコニー等で演奏する生パーカッション〉へと移行したらしい。

現在劇団四季が東京公演で生オーケストラを起用しているのは『オペラ座の怪人』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のみ。ただしこれらの演目も東京以外の劇場では全てカラオケである。

過去に遡ってみよう。ミュージカル『キャッツ』1983年の東京初演(新宿・西口の特設テント劇場「キャッツ・シアター」)は生演奏だったが、85年に大阪(梅田「キャッツ・シアター」)へ移る際、以下のような理由で録音音源に切り替わったと言われている。

劇団四季を創設した演出家・浅利慶太は「生オーケストラだと、その日の指揮者や奏者のコンディションでテンポが微妙にズレる」「ダンサーは(ジャンプしたあと)空中で止まることができない。重力に従って必ず決まった時間に着地する。だから完璧に計算されたダンスを見せるためには、テンポが不変のテープ(当時)でなければならない」 という屁理屈を展開した。また劇団四季は最新の音響設備を導入しており、「生演奏よりも録音の方が、劇場内のどこにいてもクリアで迫力のある理想的なバランスで音楽を届けられる」とも主張した。もしこの言い分がまかり通るのであれば『白鳥の湖』『ジゼル』『ロメオとジュリエット(プロコフィエフ)』などすべてのバレエ演目は生演奏ではなく、録音音源に切り替えなければならないことになる……んなアホな!!

また1989年10月1日近鉄劇場(天王寺区上本町)で開幕した『オペラ座の怪人』大阪初演は生オーケストラによる演奏だったが、1995年MBS劇場(大阪市北区堂島)での再演はカラオケになった。

まぁ要するに真の目的は経費、特に人件費を削減したかったのだろうと僕は推測する。劇団の仕事だけで役者が食っていけるようにするということが一番重要で、浅利にミュージカルに対するはそもそもなかったのだ。

では何故東京だけ(一部劇場は)生オーケストラなのか?おそらくそれは演劇評論家などマスコミ対策なのだろうと僕は邪推する。「どうして生の舞台なのに音楽はカラオケなの?」と問い詰められたり、記事に書き立てられたら都合が悪いでしょ?再演とか地方公演なら口うるさいライターは来ない。

ただ劇団四季の名誉のために言い添えておくと、1999年11月14日に福岡シティ劇場(福岡県福岡市博多区)で幕を開けたミッシェル・ルグラン作曲のミュージカル『壁抜け男』は地方公演としては珍しく生演奏だった(僕は初日に観た)。実はこれ、たった3人の奏者でピアノ・木管楽器・パーカッションを演奏するという小編成なので、人件費がかからないから実現したのだろう。しかし後の全国ツアーでは従来のカラオケ上演になってしまったのだけれど……閑話休題。

大阪桐蔭定演の感想に戻ろう。全日本吹奏楽コンクールで銀賞に終わった自由曲『火の鳥』は精彩を欠いた(指揮者と曲目との相性の問題だろう)。

 ・ 史上初の快挙「オペラ座の怪人」全日本吹奏楽コンクールへ!〜梅田隆司/大阪桐蔭高等学校吹奏楽部 (2024年はこの自由曲で全国大会金賞受賞)

〈リクエストコーナー〉で客席から要望があったのは『ハウルの動く城』から〈人生のメリーゴーランド(JAZZ Ver.)〉と〈カリスマックス(Snow Man)〉。〈カリスマックス〉ではサングラスをした9人の男子生徒が歌った。特に〈人生のメリーゴーランド(JAZZ Ver.)〉に痺れた!『ウエスト・サイド物語』やミシェル・ルグラン作曲の〈キャラバンの到着(映画『ロシュフォールの恋人たち』より)〉でも感じるのだが、梅田先生のタクトって『火の鳥』のような生真面目なクラシック音楽ではなく、こういったJAZZYな曲でその真価を最大限に発揮するんだよね。グルーヴがある。

そしてアンコール。大阪桐蔭の魅力爆発、真骨頂の『銀河鉄道999』を聴きながら、アニメでメーテルの声を当てた池田昌子に思いを馳せた。彼女は今年3月3日に亡くなった。享年87歳。原作者の松本零士はメーテルのモデルの一人としてジュリアン・デュヴィヴィエ監督のフランス映画『わが青春のマリアンヌ』のヒロインを挙げており、実はテレビ放映時にマリアンヌの吹替を担当したのが池田昌子だったのである。松本零士には『わが青春のアルカディア』という作品もあり、タイトルの類似は決して偶然ではない。『わが青春のマリアンヌ』はとっても素敵な映画なので機会があればぜひ観てみてください。

 ・ 大阪桐蔭高等学校吹奏楽部 定演/ミュージカル「銀河鉄道の夜」〜宮沢賢治の深層心理にダイブする。 2017.02.21

で通常は『銀河鉄道999』の後に『星に願いを』で〆なのだが、曲が終わると梅田先生が「もうあと2分ある」と無茶ぶりで疾風怒濤の『Sing Sing Sing』に突入!えっ、えっ、えっ!!前代未聞のアンコールに大興奮。ノリノリで最高!!!場内が熱気で包まれたことは言うまでもない。いいものを聴かせてもらった。来年もまた来ます。

 ・ 第55回全日本吹奏楽コンクール高校の部を聴いて 前編 2007.10.25 (大阪桐蔭の演奏をこの日初めて聴いた)
 ・ 
第57回全日本吹奏楽コンクール高校の部を聴いて 2009 《後編》 2009.10.31 (大阪桐蔭がこの年初めて全国大会金賞に輝く)

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2026年3月19日 (木)

2026年アカデミー賞総括!

さて、先日公開した僕の受賞予想で外れたのは撮影・長編ドキュメンタリー・短編アニメーション・短編実写映画・キャスティングの各賞で計5部門。つまり全24部門中19部門的中した。まずまずの成績だろう。

ちなみに星海社新書から刊行されている【なぜオスカーはおもしろいのか? 受賞予想で100倍楽しむ「アカデミー賞」】の著者、 Ms.メラニーは今年18部門的中だったので、また勝った。

作品賞と新設されたキャスティング賞が一致するのはつまらない。この状況があと5年続いたら「キャスティング賞不要論」が噴出するに違いない。

『ワン・バトル・アフター・アナザー』のショーン・ペンはこれが3回目のオスカー受賞。果たしてそれほどの役者だろうか?大いに疑問である。だってあのメリル・ストリープと同数だぜ!?授賞式に出席もしないし、やはりすごく感じ悪い(ウクライナでゼレンスキー大統領と面会していたらしい)。どうしても好きになれない。

『罪人たち』のオータム・デュラルド・アーカポーは女性として初めて撮影賞を受賞したのだそうだ。これは大いに喜ばしい。

主演男優賞をまたしても逃したティモシー・シャラメは気の毒だが、考えてみればもし彼が受賞していれば演技賞の4人全員が白人になってしまうわけで、またSNSで#OscarsSoWhite(アカデミー賞はあまりに白い)というハッシュタグが流行し、叩かれる事態になりかねなかった。だから『罪人たち』のマイケル・B・ジョーダン受賞は妥当だったと言えるだろう。

さて、黒人がアカデミー監督賞を手にするのはあと何年後になるのだろう?(女性は既に2人受賞している)

 

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2026年3月14日 (土)

2026年アカデミー賞大予想!

恒例の第98回 米アカデミー賞受賞予想である。2026年の授賞式は日本時間3月16日(月)に開催される。自信がある(鉄板)部門には◎を付けた。

 ・ 作品賞:ワン・バトル・アフター・アナザー◎
 ・ 監督賞:ポール・トーマス・アンダーソン『ワン・バトル・アフター・アナザー』◎
 ・ 主演女優賞:ジェシー・バックリー『ハムネット』◎
 ・ 主演男優賞:マイケル・B・ジョーダン『罪人たち』
 ・ 助演女優賞:エイミー・マディガン『ウエポンズ』
 ・ 助演男優賞:ショーン・ペン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
 ・ キャスティング賞:罪人たち◎
 ・ 脚本賞(オリジナル):ライアン・クーグラー『罪人たち』◎
 ・ 脚色賞(原作あり):ポール・トーマス・アンダーソン『ワン・バトル・アフター・アナザー』◎
 ・ 視覚効果賞:アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ◎
 ・ 美術賞:タマラ・デヴェレルシェーン・ヴィア『フランケンシュタイン』◎
 ・ 衣装デザイン賞:ケイト・ホーリー『フランケンシュタイン』◎
 ・ 撮影賞:マイケル・バウマン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
 ・ 長編ドキュメンタリー賞:パーフェクト・ネイバー:正当防衛法はどこへ向かうのか(Netflix)
 ・ 短編ドキュメンタリー賞:あなたが帰ってこない部屋(Netflix)
 ・ 編集賞:アンディ・ユルゲンセン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
 ・ 国際長編映画賞:センチメンタル・バリュー◎
 ・ 音響賞:『F1』
 ・ メイクアップ&ヘアスタイリング賞:『フランケンシュタイン』◎
 ・ 作曲賞:ルドウィグ・ゴランソン『罪人たち』
 ・ 歌曲賞:"Golden"『K-POPガールズ!デーモン・ハンターズ』◎
 ・ 長編アニメーション賞:K-POPガールズ!デーモン・ハンターズ◎
 ・ 短編アニメーション賞:バタフライ(Papillon)
 ・ 短編実写映画賞:ドロシーの友人

作品賞・監督賞は確実だが、今年一番分からないのは演技部門だ(ただし主演女優賞を除く)。主演男優賞は『マーティ・シュプリーム』のティモシー・シャラメ、助演女優賞は『罪人たち』のウンミ・モサクかも知れない。また、助演男優賞は正直『センチメンタル・バリュー』のステラン・スカルスガルドが取って欲しい。ショーン・ペンはあんまり好きになれないんだよね。

新設されたキャスティング賞。作品賞と同じだったら意味がないよね。

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2025年12月31日 (水)

2025年映画ベスト30選+個人賞発表(ファム・ファタール賞もあるよ)!

2025年に初めて日本で劇場公開された作品、並びに配信された映画のなかからベスト作品を選んだ。ただし、『アドレセンス』『セヴェランス』『ザ・スタジオ』『ザ・ピット/ピッツバーグ救急医療室』といったTV シリーズ/ミニ・シリーズは対象外である。

【映画ベスト30】

1. チェインソーマン レゼ篇
2. ワン・バトル・アフター・アナザー
3. ウィキッド ふたりの魔女
4. 教皇選挙
5. トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦 
6. アプレンティス ドナルト・トランプの創り方
7. 国宝
8. ふつうの子ども
9. 罪人たち
10. ナイブズ・アウト ウェイク・アップ・デッドマン(Netflix配信)
11. フロントライン
12. ブルータリスト
13. フランケンシュタイン(Netflix配信)
14. スーパーマン
15. F1/エフワン
16. ハウス・オブ・ダイナマイト(Netflix配信)
17. 野生の島のロズ
18. サブスタンス
19. K-POPガールズ!デーモン・ハンターズ(Netflix配信)
20. ジェイ・ケリー(Netflix配信)
21. 旅と日々
22. 秒速5センチメートル(実写版)
23. 名もなき者 COMPLETE UNKNOWN
24. 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
25. リアル・ペイン~心の旅~
26. 天国と地獄 Highest 2 Lowest(Apple TV+ 配信)
27. 藤本タツキ17-29(Part-1,2)
28. ノスフェラトゥ
29. ひゃくえむ。
30. 悪い夏
次点. ANORA アノーラ
次々点. Flow
次々々点. WEAPONS/ウェポンズ

【個人賞】

ファム・ファタール賞:上田麗奈「チェンソーマン レゼ篇」レゼ役
主演女優賞:河合優実「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」「悪い夏」「旅と日々」
助演女優賞:アリアナ・グランデ「ウィキッド ふたりの魔女」
主演男優賞:レオナルド・ディカプリオ「ワン・バトル・アフター・アナザー」
助演男優賞:ルイス・クー「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」 
監督賞:ポール・トーマス・アンダーソン、あるいは、PTA! PTA!!PTA!!!「ワン・バトル・アフター・アナザー」
オリジナル脚本賞:高田亮「ふつうの子ども」
脚色賞:ポール・トーマス・アンダーソン、あるいは、PTA! PTA!!PTA!!!「ワン・バトル・アフター・アナザー」
作曲賞:ジョニー・グリーンウッド「ワン・バトル・アフター・アナザー」/牛尾憲輔「チェンソーマン レゼ篇」
歌曲賞:米津玄師:"JANE DOE"「チェンソーマン レゼ篇」
撮影賞:オータム・デュラルド「罪人たち」
美術賞:ネイサン・クロウリー、リー・サンデルズ「ウィキッド ふたりの魔女」
衣装デザイン賞:ポール・タゼウェル「ウィキッド ふたりの魔女」
編集賞:スティーヴン・ミリオン「F1/エフワン」

【コメント】

僕にとってファム・ファタールの定義は〈その人のためだったら破滅してもいい、命を失っても構わないと思える女〉である。そして「チェンソーマン レゼ篇」にはなんとファム・ファタールが二人も登場する。言わずもがなマキマさんとレゼだ。クゥーッ!痺れるぜ。上田麗奈の声の演技には陶然となった。まさにこれぞ男を狂わす魔性の女。最早ひれ伏すしかない。

河合優実は昨年「ナミビアの砂漠」「あんのこと」で各映画賞の主演女優賞を総なめにしたわけだが、今年も気を吐いた。僕が挙げた作品以外にも今年は「敵」「ルノワール」があり、まさに飛ぶ鳥を落とす勢い、〈インディーズ(独立プロ)の女王〉の名をほしいままにしている。あとNHK朝ドラ「あんぱん」美人3姉妹の次女"蘭子"役も光り輝いていた。主演の今田美桜が気の毒なくらい。

レオナルド・ディカプリオはアカデミー主演男優賞を(お情けで)受賞した「レヴェナント:蘇りし者」よしも、その後の肩の力が抜けたコメディー路線の方が断然好きだ。いや~「ワン・バトル・アフター・アナザー」のダメ親父、最高!!

アカデミー作品賞・監督賞を受賞した「ANORA アノーラ」よりも、ショーン・ベイカー監督の映画なら前作「レッド・ロケット」の方がしみじみ良かった。これは恐らく多くの人が同意してくれる筈だ。

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2025年10月16日 (木)

近況報告(あるいは、なぜ当ブログは最近更新頻度が低下しているのか?)

最近、記事の更新を怠っていて読者に対して申し訳なく思っている。事情を説明しよう。

ふと「フランス語を勉強しよう!」と思い立ち、2020年4月からNHKラジオ『まいにちフランス語』を3年間聴いた。

それと並行して22年4月から『まいにちドイツ語』を3年、23年4月から『まいにちイタリア語』を聴いている。

週に6日ラジオ講座を聴いて学習期間は25年4月に1500日を達成、イタリア語とドイツ語講座の聴講はそれぞれ1000回を超えた(来年度からフランス語に戻ろうと考えている)。同じ日に3つ以上の放送を聴いたのは現在520回に上る(ラジオストリーミング『NHKゴガク』で自分の視聴履歴が確認出来る)。だからブログを書く時間的余裕がなくなった。

まさに「五十の手習い」である。動機となったのは以下の通りだ。

僕は中学生の頃からオペラを愛好していた。まずはヴェルディやプッチーニのイタリア・オペラ、そしてワーグナー(ドイツ)が作曲した楽劇『ニーベルングの指環』(全4夜)のLPレコードをお小遣いをためて購入し、熱心に聴いた。たしか全部で16枚だったと記憶している(『ラインの黄金』3枚+『ワルキューレ』4枚+『ジークフリート』4枚+『神々の黄昏』5枚)。1980年前後の話だ。当時LPレコードには日本語対訳が添付されており内容の理解には困らなかった。

配信時代の今、逆に歌詞対訳を手に入れることが難しくなってしまった(対訳付きCDのニューリリースもコストが嵩むのでなかなか困難だ。CDの売上は落ち込むばかりで、はっきり言って採算が取れない)。

そういった経緯でオペラやベートーヴェンの第九の歌詞を原語で理解出来たら楽しいだろうな、と思った。ただ想定外の事態が発生した。先日より『ニーベルングの指環』対訳本を購入し勉強し始めたのだが、なんと!現在の辞書には載っていない中世ドイツ語とか、古ゲルマン語がいくつも登場するのだ。そうか、この作品は神話の世界を描いており、現代の日本人が『古事記』とか『源氏物語』を原文で理解しようとしても困難なのと多分似ているのだろう。

フランス語についてはフランソワ・トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』『恋のエチュード』やジャン=リュック・ゴダール監督『気狂いピエロ』、ジャック・ドゥミ監督『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』などヌーベルバーグの作品理解に役立つだろうと考えた。イタリア映画もフェデリコ・フェリーニの『カビリアの夜』『甘い生活』『8 1/2』とかルキノ・ヴィスコンティ監督『山猫』『ルートヴィヒ/神々の黄昏』、あるいはジョゼッペ・トルナトーレ監督『ニュー・シネマ・パラダイス』なんか大好きだしね。クラシック音楽の楽譜も「アレグロ」とか「アダージョ」とか全てイタリア語で表記されている。

先日、テレビでNHK交響楽団の定期演奏会を視聴していたら音楽監督ファビオ・ルイージのインタビューがあった。彼はイタリア語で話していたのだが、その半分くらい何を言っているか聴き取れたので嬉しかった。

オーストリア・ウィーン在住のある日本人音楽家夫婦がYouTubeで語っていたのだが(夫はウィーン放送交響楽団に在籍)言語とその国の音楽には密接な関係があるのだという。確かにJ.S.バッハやベートーヴェンの音楽とドイツ語の硬い響き、ドビュッシーやラヴェルなど柔らかく曖昧模糊として拍子がはっきりしない印象派の音楽とフランス語には共通点がある。つまり言語学習は音楽理解にも役に立つ。

日本語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語。さて、次はどうしよう?いま取り組みたいと考えているのはラテン語。公用語としてはバチカン市国でしか話されていない特殊な言語である。映画『教皇選挙』では台詞に沢山取り入れられていた。イタリア語のルーツであり、イタリア人にとっては日本の中学・高校で古文を勉強するような感覚だろう。そしてフランス語とスペイン語もラテン語から派生した言語。だからヨーロッパの中学・高校ではラテン語が選択科目になっている。一般教養として重要なのだ。

レクイエムやその他のミサ曲など、宗教音楽は全てラテン語で歌われる。だから習得したい。ただし学習には難点があって、残念ながらNHKの語学講座にはないんだよね。しばらく独学でやってみよう。

何事を始めるのにも決して遅すぎることなどない。そうつくづく思う今日このごろである。僕はこのことをこよなく愛する大林宣彦監督の映画『はるか、ノスタルジィ』から学んだ。

(追伸)なお毎年恒例、年末の映画ベスト20(または30?)や来年のアカデミー賞大予想は実施する予定だ。乞うご期待。今年観た作品では『ワン・バトル・アフター・アナザー』『チェンソーマン レゼ編』『ハウス・オブ・ダイナマイト』『教皇選挙』『ウィキッド ふたりの魔女』『国宝』とか痺れたなぁ。あ、アカデミー作品賞・監督賞を受賞した『ANORA アノーラ』はイマイチ。

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2025年9月26日 (金)

柳家喬太郎なにわ独演会2025

9月21日(日)ドーンセンターホール@大阪市へ。

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昼の部

 ・ 柳家喬太郎:白日の約束 
 ・ 坂本頼光:無声映画『日の丸太郎武者修行の巻』『赤ずきん』
 ・ 柳家喬太郎:品川発廿三時廿七分(三遊亭圓朝 作『離魂病』より)

夜の部

 ・ 柳家喬太郎:梅津忠兵衛(小泉八雲 作)
 ・ 坂本頼光:無声映画『國士無双』(伊丹万作 監督)
 ・ 柳家喬太郎:鳥もつ煮込み

喬太郎は安定の面白さなのだけれど、今回なんといっても目をみはったのが坂本頼光の活弁。特に伊丹万作(伊丹十三の父)の『國士無双』(1932)はすっとぼけたコメディで秀逸の出来であった。もともとの上映時間は84分だが、現在見られるのは21分の短縮編集版であり、とても残念なことだ。

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2025年9月25日 (木)

柳家喬太郎独演会 IN 兵庫県立芸術文化センター 2025

5月17日(土)兵庫県立芸術文化センターへ。柳家喬太郎独演会を聴く。

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昼席(古典)

 ・柳家やなぎ:初天神
 ・柳家喬太郎:夢の酒
 ・玉川奈々福:陸奥間違い(浪曲)
 ・柳家喬太郎:寝床

夜席(新作)

 ・柳家やなぎ:ベランダ
 ・柳家喬太郎:侵略指南
 ・玉川奈々福:金魚夢幻(浪曲)
 ・柳家喬太郎:やとわれ幽霊

なんと!兵庫芸文で浪曲が口演されるのはこれが初めてだそう。

喬太郎は半年前に新潟に行ったとき、十二指腸潰瘍で緊急搬送され10日間入院したそう。その後禁煙していると。

トレードマークの白髪を真っ黒に染めていて驚いたのだけれど、劇団ラッパ屋の公演『はなしづか』に出演するための役作りだったと。共演は春風亭昇太、ラサール石井ほか。

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2025年3月 2日 (日)

2025年 アカデミー賞大予想! 

恒例の第97回 米アカデミー賞受賞予想である。2025年の授賞式は日本時間3月3日(月)午前9時から開催される。自信がある(鉄板)部門には◎を付けた。

 ・ 作品賞:『教皇選挙』
 ・ 監督賞:ショーン・ベーカー『ANORA アノーラ』◎
 ・ 主演女優賞:デミ・ムーア『サブスタンス』◎
 ・ 主演男優賞:ティモシー・シャラメ『名もなき者』
 ・ 助演女優賞:ゾーイ・サルダナ『エミリア・ペレス』◎
 ・ 助演男優賞:キーラン・カルキン『リアル・ペイン 心の旅』◎
 ・ 脚本賞(オリジナル):ジェシー・アイゼンバーグ『リアル・ペイン』
 ・ 脚色賞(原作あり):ピーター・ストローハン『教皇選挙』◎
 ・ 視覚効果賞:『デューン 砂の惑星 PART2』◎
 ・ 美術賞:ネイサン・クロウリー『ウィキッド ふたりの魔女』◎
 ・ 衣装デザイン賞:ホリー・ワディントン『ウィキッド』◎
 ・ 撮影賞:ロル・クローリー『ブルータリスト』◎
 ・ 長編ドキュメンタリー賞:ノー・アザー・ランド 故郷は他にない◎
 ・ 短編ドキュメンタリー賞:ザ・レディ・イン・オーケストラ NYフィルを変えた風
 ・ 編集賞:ニック・エマーソン『教皇選挙』◎
 ・ 国際長編映画賞:アイム・スティル・ヒア(ブラジル)◎
 ・ 音響賞:『デューン 砂の惑星 PART2』◎
 ・ メイクアップ賞:『サブスタンス』◎
 ・ 作曲賞:ダニエル・ブルンバーグ『ブルータリスト』◎◎◎
 ・ 歌曲賞:“El Mal”『エミリア・ペレス』
 ・ 長編アニメーション賞:野生の島のロズ
 ・ 短編アニメーション賞:フシギなフラつき
 ・ 短編実写映画賞:The Man Who Could Not Remain Silent

今年最大の博打は作品賞と主演男優賞である。巷では作品賞が『ANORA アノーラ』、主演男優賞は『ブルータリスト』のエイドリアン・ブロディが最有力と言われている。『ANORA アノーラ』を観たが、僕は作品賞にふさわしい内容と思えなかった。Sex workerが主人公で成人指定(R18+)されており、万人向けではない。面白い作品だし、カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを受賞するのは理解出来るのだけど。

『ブルータリスト』も『名もなき者』も鑑賞済みだが、ティモシー・シャラメの演技は本当に素晴らしかった。スターとしてのオーラがある。ティモシーがもし主演男優賞を受賞したら、現在29歳ということで『戦場のピアニスト』で受賞した時のエイドリアン・ブロディと最年少受賞タイ記録ということになる。

レオナルド・ディカプリオが『レヴェナント』で受賞したのが41歳、ブラット・ピットが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で受賞したのが56歳。イケメン男優に演技力があることを認めるのが余りにも遅すぎるという【ハリウッド業界人の悪癖】を、ここで打破すべきだ。女優の場合は20歳代でも惜しげもなくオスカーを与えるくせに(グウィネス・パルトロー【疑惑の】受賞は25歳、ジェニファー・ローレンスは22歳、シャーリーズ・セロンとエマ・ストーンは28歳、リース・ウィザースプーンは29歳)。まあ女優は【旬】が短いから早めに与えているというのはあるのだけれど。グウィネスは消えてしまったし、リースは最早映画スタジオからお声がかからないため、テレビ・シリーズに活路を見いだしている。

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2024年12月30日 (月)

2024年映画ベスト30+個人賞+今年はテレビドラマも!

毎年恒例、映画ベストを発表しよう。2024年に劇場で初公開された作品及び、Netflix, Amazon Prime Video, Max(日本ではU-NEXTと提携)などインターネットで配信された作品を対象とする。また今回は連続テレビドラマ(Limited Series)も特別賞として取り上げる。

配信まで待てばいいかと高をくくって見逃した作品がいくつかある。『パスト ライブス/再会』『侍タイムスリッパー』『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』『悪は存在しない』『グラディエーター2』『ロボット・ドリームズ』などは後日適宜追加していくだろう。

個人賞については2020年にベルリン国際映画祭で男優賞・女優賞という区別が廃止され、主演俳優賞・助演俳優賞に置き換えられた。日本でも毎日映画コンクールで今年から演技賞が統合され、男女を問わず主演・助演それぞれ2人までを選ぶ方法となり、そのシステムを当ブログでも採用することに決めた。

それではいってみよう。

 1.デューン 砂の惑星PART 2
 2.チャレンジャーズ
 3.ルックバック
 4.哀れなるものたち
 5.オッペンハイマー
 6.夜明けのすべて
 7.関心領域
 8.ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
 9.マッドマックス:フュリオサ
 10.  落下の解剖学
 11.異人たち
 12.  カラーパープル(ミュージカル版)
 13.ブリッツ ロンドン大空襲(アップルTV+配信)
 14.陪審員2番(ワーナー・ブラザース → Max → U-NEXT配信)
 15.ラストマイル
 16.エイリアン:ロムルス
 17.  ナミビアの砂漠
 18.ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽
   (ドキュメンタリー/ディズニープラス配信)
 19.ボーはおそれている
 20.ミッシング
 21.あんのこと
 22.アメリカン・フィクション(Amazon プライム・ビデオ配信)
 23.シビル・ウォー アメリカ最後の日
 24.憐れみの3章
 25.カラオケ行こ!
 26.瞳をとじて
 27.オーメン・ザ・ファースト
 28.デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション
 29.ジム・ヘンソン:アイディアマン
   (ドキュメンタリー/ディズニープラス配信)
 30.マリウポリの20日間(ドキュメンタリー/NHKで放送)
 31.  ツイスターズ
 32.Cloud クラウド
 33.18x2君へと続く道
 34.あのコはだぁれ?

特別賞(テレビドラマ部門)『ディスクレーマー 夏の沈黙』(アップルTV+)/『海に眠るダイヤモンド』(TBS)/『虎に翼』(NHK)/『地面師たち』(Netflix)/『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』(テレビ東京)

監督賞:ドゥニ・ヴィルヌーヴ(デューン 砂の惑星PART 2)/アルフォンソ・キュアロン(ディスクレーマー 夏の沈黙)
主演俳優賞(映画):エマ・ストーン(哀れなるものたち、憐れみの3章)/河合優実(あんのこと、ナミビアの砂漠、ルックバック)
主演俳優賞(Limited Series):ケイト・ブランシェット(ディスクレーマー 夏の沈黙)/豊川悦司(地面師たち)
助演俳優賞(映画):ジェシー・プレスモン(シビル・ウォー アメリカ最後の日)/マーク・ラファロ(哀れなるものたち)
助演俳優賞(Limited Series) :杉咲花(海に眠るダイヤモンド)/ピエール瀧(地面師たち)
脚本賞(オリジナル):野木亜紀子(ラストマイル、海に眠るダイヤモンド)
脚色賞(原作あり):トニー・マクナマラ(哀れなるものたち)
撮影賞:グリーグ・フレイザー(デューン 砂の惑星PART 2)/エマニュエル・ルベツキ、ブリュノ・デルボネル(ディスクレーマー 夏の沈黙)
作曲賞:ルドウィグ・ゴランソン(オッペンハイマー)
編集賞:マルコ・コスタ(チャレンジャーズ)
歌曲賞:幾田りら feat. ano「青春謳歌」(デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション)
美術賞:ショーナ・ヒース 、ジェームズ・プライス哀れなるものたち)
衣装デザイン賞:ホリー・ワディントン(哀れなるものたち)
音響賞:デューン 砂の惑星PART 2
視覚効果賞:デューン 砂の惑星PART 2
流行語大賞:ピエール瀧「もうええでしょう!」(地面師たち)

2024年はなんといっても河合優実の年だった。新たな才能の出現に震えた。

テレビドラマにおいては向田邦子賞受賞の二人、野木亜紀子(獣になれない私たち)と吉田恵里香(恋せぬふたり)が『海に眠るダイヤモンド』と『虎に翼』で大いに気を吐いた。最高傑作と言っても過言ではない。そして2025年、本家本元・向田邦子の『阿修羅のごとく』が是枝裕和監督の手でNetflexオリジナル・ドラマとして蘇る……感無量。

『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』で2度アカデミー作品賞・監督賞を受賞した巨匠クリント・イーストウッドの新作『陪審員2番』が劇場公開されず、12月20日に配信スルー(北米はMax、日本はU-NEXTで見放題)となったことに全世界の映画ファンは衝撃を受けた。紛れもなく堂々たる傑作だが、地味だし、低予算なので、仮に劇場公開したところで採算が取れる可能性はほとんどない。時代を象徴する事件だった。

『チャレンジャーズ』はキレッキレの編集とトレント・レズナー&アッティカスによる斬新な「テクノ」ミュージックが圧倒的に素晴らしい。僕は昔からテニスってとても「映画的」なスポーツだと思っていた。対戦する選手の表情の切返し(カットバック)、飛び散る汗、ラケットに弾き返されるボールの軌跡、左右に振られる観客の首の動き。そこにはリズムが生まれる。加えて本作は「ボール目線」という信じがたいショットもインサートされ、興奮はクライマックスへ。途轍もない体験だった。これが映画だ!

『異人たち』は山田太一の小説『異人たちとの夏』をイギリスを舞台に置き換えて翻案したものだが、大林宣彦監督版を上回る出来だったと思う。

『カラーパープル』はスピルバーグ監督版(1985)よりリメイク版に軍配を上げる。85年版の上映時間が2時間34分なのに対し、2023年版は2時間21分。通常ミュージカル化したら長くなるはずなのに、なんという手際の良さ。お見事。

ピクサーの『インサイド・ヘッド2』は期待外れ。物語として詰まらない。

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』前章・後章については、原作と異なるラストに僕は納得いかなかったのだが、後日発表されたアニメシリーズ版(全18話)の方が断然いい!オープニングでano×幾田りらが歌う新曲「SHINSEKAIより」もいい!!作詞・作曲は『デデデデ』の原作者・浅野いにお。大した才能だ。

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